【日本株週間展望】財政リスク懸念続き反落へ、国内デフレも警戒視

2月第3週(15-19日)の日本株 相場は、反落する見通し。欧州を中心に財政問題が懸念され、投資家の リスク回避姿勢が強まっている。日本でも、経済構造の変化に伴うデフ レ進行が警戒され、積極的に日本株を買い進める向きは少ない。

RBCインベストメント(アジア)で11億ドル相当の資産運用に 携わる香港在勤のファンドマネジャー、武田洋二氏は「欧州の財政問題 や中国の金融引き締めなどを、マーケットはある程度織り込んだと思う が、消化している最中。引き続き欧州発のニュースや為替動向に注意が 必要」と見る。特に、日本円が対ユーロや対米ドルで強含んでおり、 「円高傾向の中では日本株は上昇しにくい」との認識だ。

12日の日経平均は前週末比0.3%高の1万92円で、TOPIXは

0.04%高の892.16と小幅ながら4週ぶりに反発した。ギリシャの財政 問題をきっかけに、スペインやポルトガルなど南欧諸国の財政赤字リス クが警戒され、日経平均は9日に約2カ月ぶりの低水準に沈んだ。ただ 週半ば以降、投資家の間で欧州連合(EU)がギリシャの財政再建を支 援するとの観測が広がり、EU加盟国の株式相場が急反発、日本株も連 動して戻した。

ドイツ銀行のロンドン在勤ストラテジスト、ジム・リード氏は「一 部欧州諸国が現在直面している問題は、米国と英国が将来に遭遇し得る 事態の予行演習だ」と指摘。いずれは、英国や米国のソブリンリスクが 意識される局面が来ると予測している。

ブルームバーグのGCDS機能によると、英国国債(通称:ギルト 債)のデフォルト(債務不履行)に備えた保証コストを示すクレジッ ト・デフォルト・スワップ(CDS)の5年物スプレッドは、1月下旬 の75ベーシスポイント(bp)から2月4日には102bpまで急拡大、9カ 月ぶりの高水準に達した。ギリシャへの支援が取り沙汰された2月9日 以降は同スプレッドも縮小しているが、足元も87bpとなお高い。

ギルト債リスク

主要格付け機関から「トリプルA」の最上位格付けを付与されるギ ルト債だが、市場では格下げを織り込むかのような動きを見せており、 英民間企業のCDSスプレッドとのかい離が広がっている。新生証券の 松本康宏シニアクレジットアナリストは、「もともとファンダメンタル ズ(経済の基礎的諸条件)が悪い上、傷んでしまった金融セクターに対 する支援額も大きく、ギルト債が投機対象になりやすい」と話す。

イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)のメンバーを務めた ディアンヌ・ジュリアス氏は、「総選挙までに英国が通貨危機や債務危 機に陥る深刻なリスクがある」と危機感を隠さない。

ヘッジファンドの動きに詳しい草野グローバルフロンティアの草野 豊己代表は、2008年以降の金融混乱で勝ち残ったヘッジファンドは、 米大手企業の破たんを正確に予測し、CDSなどのデリバティブ市場で 稼いでいたと指摘。「英国と日本のソブリン債のCDSスプレッドが足 元で顕著に拡大していることを考えると、今後はこれらの国のソブリン 債相場の暴落と株式相場の下落が想定される」と言う。

GDP回復も実感乏しい

2月3週は、主要各国で経済指標の発表が相次ぐ。15日には、取 引開始前に日本の10-12月期国内総生産(GDP)速報値が明らかに なる。ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査によると、予想中 央値は前期比0.9%増(年率換算3.6%増)と増加が見込まれ、設備投 資も7期ぶりに小幅なプラスになるもよう。

丸紅経済研究所の榎本裕洋シニアエコノミストは、GDP成長率が 示唆するのは景気の「方向性」でしかないとした上で、「08年を100 とした場合の経済規模はいまだ93前後で、水準自体はまだまだ低い」 と強調。水準が伴わない以上、景気回復の実感は広がらないと見る。

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは、 日本経済が「生産拠点」と「企業ガバナンス」の面でグローバル化した 結果、日本の賃金や物価も「ニューノーマル」と言われる世界的な均衡 に向けてレベル調整を強いられると分析。「市場機能をフルに活用して いない日本においては、その調整はだらだらと進まざるを得ず、必然的 にデフレ自体がだらだらと進む」と、森田氏は話している。

バンクーバー五輪開幕、日本株との関係

「メダル獲得数ゼロの時はマイナス1.01%、1個の場合はプラス

0.77%」――。大和証券キャピタルマーケッツ金融証券研究所・投資戦 略部の吉野貴晶チーフクオンツアナリストは、冬季五輪での日本選手団 のメダル獲得数と日経平均の相関関係を調べ、「メダル獲得数が増える に連れ、開催期間の株価はポジティブとなる」と結論付けた。

1952年の第6回オスロ大会以降、計15回の五輪を分析した結果、 メダル獲得数が2-3個の時の日経平均の上昇率は4.42%だった。今 回は、カナダのバンクーバー市で2月12日から28日までの約半月、ス キーやスケートなど計7競技86種目が行われる。日本選手団の橋本聖 子団長は8日、バンクーバー市内のホテルで開いた会見で、「長野五輪 のメダルの個数に匹敵する数を目標に掲げる」と、10個以上のメダル 獲得に意欲を見せた。

このほか、世界の株式市場に影響を与えそうな材料は、国内では 17日に昨年12月の第3次産業活動指数、19日に日本銀行の金融経済月 報の公表など。海外では、15-18日にスペイン・バルセロナ市で世界 携帯電話会議が開催され、17日に米国で1月の米住宅着工件数と鉱工 業生産、18日に2月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、19日 に1月の米消費者物価指数の発表がある。また15日の米国市場はプレ ジデンツ・デーの祝日で休場、17日はチベットのダライ・ラマ14世が 米ワシントンでオバマ米大統領と会談する予定だ。

【市場関係者のコメント】 ●損保ジャパン・アセットマネジメントの中尾剛也シニア・インベスメ ントマネジャー 「相場の調整局面が続いているが、昨年3月10日を大底とした上昇ト レンドの渦中にあるという見方は変えていない。世界的に株式相場は昨 春以降急ピッチに反発してきただけに、買いの勢いはいったん緩み、踊 り場の状況が長引く可能性はある。ただ、企業業績が改善方向にあるこ とは確かで、バリュエーション面でみて、日経平均が1万円の節目を大 きく割り込む公算は小さい」

●十字屋証券・投資情報室の岡本征良室長 「欧州の財政問題が引き続き注目され、その動向に一喜一憂する相場展 開が予想される。国内では決算発表がほぼ出そろった。森永乳業や福山 通運など第3四半期(09年4-12月期)業績がすでに通期(10年3月 期)の計画を上回っている企業も多く、業績上ぶれへの期待から見直し 買いが入りやすい」

●立花証券の平野憲一執行役員 「第3週はどこまで上値をトライできるかという点で重要な週になる。 第3四半期業績発表の一巡で、日経平均の1株利益は同決算前の280円 台から320円程度まで上昇した。しかし株価全体を上げるほどの変化で はなかった。景気や企業業績に安定性が見えない中で過剰な流動性は修 正されており、これまでのように流動性だけに頼って上値を追うのは難 しい。日経平均の予想レンジは9900-1万250円」

--取材協力 河野 敏、浅野 文重、長谷川 敏郎 Editor:Shintaro Inkyo、Tetsuzo Ushiroyama、Makiko Asai

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