2月11日の海外株式・債券・為替・商品市場(Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロがすべての主要通貨に対 して下落。欧州連合(EU)首脳会合がギリシャに財政赤字の抑制を 命じることで合意したものの、具体的な支援策がほとんど提示されな かったことが嫌気された。

EU首脳声明では、ギリシャやスペイン、ポルトガルといった財 政赤字削減に苦しむ国に対する新たな投機攻撃の波への対応は棚上げ された。オーストラリア・ドルは上昇。同国の1月の失業率が予想外 に低下したことや中国の銀行融資拡大が背景にある。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの外国為替調査部門バイスプレ ジデント、メグ・ブラウン氏(ニューヨーク在勤)は「欧州の状況が 短期間で変わる可能性は低い」と指摘。「危機という概念が依然当て はまる状態だ」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時10分現在、ユーロはドルに対し1ユ ーロ=1.3685ドルと、前日の1.3737ドルから0.4%安。対円で は前日比0.6%値下がりし、122円77銭(前日は123円56銭)。 ドルの対円相場は前日比0.3%安の1ドル=89円72銭(前日は 89円94銭)。

EU首脳会合では、ドイツのメルケル首相やギリシャのパパンド レウ首相、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁を中心に協議が進 められ、ギリシャの経済状況をより厳重に監視することが必要との見 解で合意した。ただ、同国の債務危機に対する具体的な支援策を提示 するには至らなかった。

「構造面での一致」

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は、ユーロ の対ドル相場見通しを1ユーロ=1.28ドルと、従来の同1.35ド ルから下方修正した。救済が実行されても、短期的な措置にとどまる ためと説明している。

RBSセキュリティーズの為替戦略責任者、アラン・ラスキン氏 はリポートで、「長期的かつ構造的な収束が見られないという根強い 懸念が、ドルに対するユーロの上値を抑える可能性が高い」と記した。

ユーロ圏の一部の国が財政赤字削減に苦慮するとの見方を背景に、 ユーロはドルに対し年初来で5%下落している。ギリシャの09年の 財政赤字は、対国内総生産(GDP)比で12.7%と、EUの規定で ある3%を4倍余り上回っている。ファンロンパイEU大統領は11 日、ギリシャに対し、10年末までに赤字を4ポイント低下させるよ う求めた。

「危機で半減」

シティグループの為替ストラテジスト、トッド・エルマー氏(ニ ューヨーク在勤)は「欧州での緊張状態で、金融緩和策からの出口戦 略が遅れる可能性がある」と指摘。「スプレッドの拡大が米国にプラ スの形で進むことになる。ユーロ圏の景気低迷がユーロを押し下げる だろう」と述べた。

ロイター通信は、ドイツ連邦銀行のウェーバー総裁が国内経済に ついて、1-3月(第1四半期)に縮小する可能性を排除できないと の認識を示したと報じた。この報道にも反応し、ユーロは対ドルで下 落した。また同総裁は、金利の現行水準は「適正」だと述べた

EUの行政執行機関である欧州委員会のバローゾ委員長は、銀行 融資の減少が欧州の景気回復を抑制しており、域内の成長性は「危機 により半減した」と語った。

◎米国株式市場

米株式相場は反発し、1週間ぶりの高値に上昇。欧州連合(EU) 首脳会合がギリシャ支援で合意したことを好感した。たばこ大手のフ ィリップ・モリス・インターナショナルが120億ドルの自社株買い を発表したことも追い風になった。

フィリップ・モリス・インターナショナルは4%高。銅生産のフ リーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールドや石油大手の エクソンモービルも上昇し、商品や石油株の上げをけん引した。ニュ ーヨーク商品市場で非鉄金属や原油相場が値上がりしたことが背景。 公益事業のアリゲニー・エナジーは急伸。同業のファーストエナジー が47億ドルでの同社買収を発表したことがきっかけ。

S&P500種株価指数は前日比1%高の1078.47。一時は

0.7%下落する場面もあった。ダウ工業株30種平均は105.81ド ル(1.1%)上昇の10144.19ドル。ニューヨーク証券取引所の騰 落比率は6対1。

EU首脳会合はギリシャに財政赤字の抑制を命じることで合意。 同会合は同時に、統一通貨ユーロにとって導入来11年で最悪の今回 の危機の沈静化に向けて、「断固とした」行動を取る用意があると表 明した。一方、今回の合意では、ギリシャをはじめスペインやポルト ガルなど財政赤字に苦しむ域内各国を標的に新たな投機的攻撃があっ た場合のEUの対応については明確にされていない。

波及懸念が後退

オークブルック・インベストメンツ(イリノイ州ライル)のピー ター・ジャンコウスキーズ氏は「ここ最近のギリシャに関するニュー スを非常に心強く受け止めている」と語る。「投資家はEUの合意に 対して楽観的な見方を強めており、欧州市場の状況が米国に波及する ことはないとの確信を強めた」と述べた。

4日の市場では、ギリシャやスペイン、ポルトガルには債務の返 済能力がないとの観測が広がり株式相場は大きく下落。S&P500 種株価指数は3.1%安と昨年4月以来の大幅な下げを記録した。

フィリップ・モリス・インターナショナルには自社株買い戻し 計画を好感した買いが入った。同社発表の09年10-12月(第4 四半期)決算は、一部項目を除く1株当たり利益が81セントとアナ リスト予想平均の79セントを上回った。

米労働省が発表した先週1週間の新規失業保険申請件数が前週か ら予想以上に減少したことも、株式相場の支援材料になった。6日に 終わった1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は44万件 と、前週の48万3000件(速報値48万件)から4万3000件減 少した。失業保険の継続受給者数と延長して失業保険を受け取ってい る人数も減少した。

持続的回復への鍵

グリーンウッド・キャピタル・アソシエーツで7億7500万ド ルの運用に携わるウォルター・トッド氏は、「今回の失業保険申請件 数の数値は好ましい」と評価。「ただ、労働市場の改善が継続して示 される必要がある。それが持続可能な景気回復への鍵だからだ」と述 べた。

エネルギー株や素材株指数はいずれも上昇し、S&P500種の セクター別10業種中の値上がり率上位2位を占めた。国際エネルギ ー機関(IEA)が今年の世界石油需要見通しを上方修正したことを 背景に、ニューヨーク原油先物相場が4日続伸したことがきっかけ。

エクソンモービルは0.6%高。コノコフィリップスは1.3%値 上がり。フリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールドは

4.4%上げた。

アリゲニー・エナジーは12%高。ファーストエナジーはアリゲ ニーを47億ドル相当の株式交換で買収することで合意した。買収を 通じて発電能力を高め、顧客ベースを拡大する。

◎米国債市場

米国債市場では30年債利回りが4週ぶりの高水準をつけた。午 後に実施された過去最大規模の30 年債(160億ドル)入札で投資 家からの需要が予想を下回ったのが嫌気された。また欧州連合(EU) 首脳会合がギリシャ財政問題の対応について合意したことも材料視さ れた。

米財務省が実施した30年債入札の結果によると、最高落札利回 りは4.720%。ブルームバーグ・ニュースがプライマリーディーラ ー(政府証券公認ディーラー)10社を対象にまとめた入札直前の市 場予想(4.687%)を上回った。投資家の需要を測る指標の応札倍 率は2.36倍と、前回の2.68倍を下回った。過去10回の平均値 は2.48倍。

ドイツ銀行のプライベート・ウェルス・マネジメント部門の債券 トレーディング責任者、ゲーリー・ポラック氏は、「全体としては低 調な入札だった。30年債という長期債への需要が短期債ほどではな いことが分かった。明るさを増した景気動向とインフレ見通しを考慮 し、投資家は30年間も資金を預けるということに警戒心を抱いてい る」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時12分現在、既発30年債利回りは前日比4ベーシスポイ ント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇の4.68%。一時は1月 14日以来で最高となる4.71%まで上昇した。同国債価格(表面利 率4.375%、2039年11月償還期限)は18/32下げて95 6/32 だった。10年債利回りは3bp上げて3.72%、2年債は1bp下 げて0.87%だった。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループの米国債ス トラテジスト、ウィリアム・オドネル氏とCRTキャピタル・グルー プ(コネティカット州スタンフォード)の国債ストラテジスト、イア ン・リンジェン氏によると、落札利回りは入札前に取引されていた同 年債利回りを2.5bp上回った。

入札結果

プライマリーディーラー以外の直接入札が落札全体に占める割合 は24.1%と、少なくとも過去5年で最高だった。1月14日の入札 では4.9%だった。プライマリーディーラーによる入札は47.4% と前回の54.4%から低下した。

外国中央銀行を含む間接入札が落札全体に占める割合は28.5%。 前回は40.7%だった。過去10回の同平均値は43.2%。

前回の30年債入札時では最高落札利回りが4.64%と、市場予 想の4.689%を下回っていた。

前日の10年債入札では、間接入札が落札全体に占める割合は

33.2%で、過去10回の同平均値39.3%を下回った。応札倍率は

2.67倍、過去10年間の平均(2.76倍)を下回った。

ギリシャへの対応

欧州連合(EU)首脳会合はギリシャに財政赤字の抑制を命じる ことで合意し、今回の危機の沈静化に向けて「断固とした」行動を取 る用意があると表明した。これを受けてギリシャ債は3日続伸した。

モルガン・キーガンの債券セールス・トレーディング・調査責任 者、ケビン・ギディス氏は「ギリシャへの対応は、最近みられた『質 への逃避』の巻き戻しにつながった」と述べた。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は上昇。上げ幅はここ約1週間で最大と なった。景気回復の兆しを手掛かりに商品への需要が増したほか、ギ リシャの財政赤字が拡大するとの懸念を背景に、ユーロに代わる投資 先として金が買われた。

金とドルはいずれも上昇。欧州連合(EU)首脳会合は財政問題 解決に向けてギリシャを支援することで合意したが、具体的な支援内 容を提示するには至らなかった。また、オーストラリアと中国の経済 統計が両国の景気回復を示唆する内容となったことで、銅を中心に非 鉄金属が金属が上昇した。

MFグローバル傘下のリンド・ウォルドック(シカゴ)の市場担 当シニアストラテジスト、アダム・クロプフェンスタイン氏は、「金 はほかのすべての商品と並行して上昇している」と指摘。景気に対す る楽観的な見方から、「この日は全般的なリスク志向が市場に戻って きたことで、投資家が金を求めた」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物4月限は前日比18.40ドル(1.7%)高の1オンス=1094.70 ドルで取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は4日続伸。1週間ぶり高値を付けた。ス ペインのサパテロ首相がギリシャ問題で合意に達したことは欧州連合 (EU)に安定をもたらすと述べ、株価が上昇したことが手掛かりと なった。

S&P500種株価指数の上昇が原油買いの背景となった。EU 首脳会議では、当局者がギリシャの債務危機を食い止めるための措置 を取る決意を表明した。ギリシャの財政問題により、最近は南欧の債 券市場で動きが荒くなり、世界の株式相場およびユーロが軟調に推移 している。

トラディション・エナジー(コネティカット州スタムフォード) の市場調査ディレクター、アディソン・アームストロング氏は「原油 は株の動きに支配されている」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物3月限は前 日比0.76ドル(1.02%)高の1バレル=75.28ドルと、3日以 来の高値で取引を終了。年初からは5.1%下げている。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は4日続伸。欧州連合(EU)首脳会議で、ギリシ ャの債務危機に対する取り組みを支援することで合意に達したことを 好感した。

世界3位の鉱山会社、英・オーストラリア系のリオ・ティントが 上昇し、鉱業株の上げをけん引した。同社の2009年通期決算が市 場予想を上回ったことが背景。世界2位の航空機エンジンメーカー、 英ロールス・ロイス・グループも高い。同社も09年通決算が予想よ り好調だった。一方、固定電話ネットワーク大手、フランスのアルカ テル・ルーセントは大幅安。同社による利益率見通し引き下げを嫌気 した。

ダウ欧州600指数は前日比0.3%高の241.74で引けた。日 中はもみ合いの展開だった。

ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントのファンドマネジ ャー、ケビン・リリー氏は「ギリシャの状況は初めから解決に至ると 予想されていた」と指摘。「これもまた、大き過ぎてつぶせない状況 だった。短期的な見通しが晴れるまで、市場が大きく動くのは難しい だろう」と述べた。

10日の西欧市場では、18カ国のうち10カ国の主要株価指数 が上昇。ダウ・ユーロ50種指数は前日比0.7%安、ダウ・欧州50 種指数は0.4%値上がり。

リオ・ティントが高い

リオ・ティントは2.4%高。09年通期決算では純利益が49億 ドルに急増。同社は配当の再開を明らかにした。

ロールス・ロイスは6.5%高。アルカテル・ルーセントは12% 値下がり。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではギリシャ国債が3日続伸。欧州連合(EU)首脳 らはギリシャに財政赤字の抑制を命じ、会合を終了した。ただ、ギリ シャの財政規律に向けた具体策を講じるには至らなかった。

ファンロンパイEU大統領はブリュッセルで、「ユーロ圏全体の 金融安定を守るために必要ならば、加盟国は断固とした協調行動を取 る」と表明。EU当局者は、ユーロ圏首脳がギリシャ向け融資制度の 設立に向け協議していると述べた。ギリシャからの金融支援要請はな かったとの声明発表を受けて、ギリシャ国債は上げ幅を縮小した一方、 ドイツ債はやや下げ渋った。

コメルツ銀行の債券戦略部門の共同責任者、クリストフ・リーガ ー氏(フランクフルト在勤)は、ギリシャ救済に関する「発表を見込 んでこれまで相場が動いたことを考慮すると、この日のニュースは大 した内容ではない」と指摘し、「明確な方向性が得られるまで、相場 の不安定な状態は続くだろう」と述べた。

ロンドン時間午後4時7分現在、ギリシャ2年債利回りは前日比 39ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の5.10%。一 時は62bp低下した。8日時点では6.68%だった。10年債利回り は9bp低下し5.93%。この日は25bp低下する場面もあった。

一方、独10年債利回りは前日比3bp上昇の3.23%。一時は6 bp上昇した。同国債(表面利率3.25%、2020年1月償還)価格は

0.25ポイント下げ100.18。2年債利回りは1.05%と、前日を1b p上回った。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、ギリシ ャ国債の保証コストが9.5bp低下し347.5bp。ポルトガル債の保 証コストは4.5bp低下し186bp。

フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相は記者団に 対し、今回の声明の狙いはすべての利害関係者がギリシャの財政赤字 削減努力を支援していることを投資家に説得することだと説明した。

ポルトガルの10年国債利回りは13bp低下し4.40%。2年国 債利回りは19bp低下の1.55%。一方、スペインの10年国債利回 りは1bp上昇し3.99%。イタリアの10年国債利回りは2bp上昇 し4.03%。

◎英国債市場

英国債相場は下落。欧州連合(EU)当局者がギリシャの財政危 機への対応で合意したことを背景に、安全資産としての国債需要が後 退した。

10年債利回りは3週間ぶり高水準に近づいた。この日の株式市 場で、FT100種指数は0.6%上昇した。ユーロ圏首脳会合は、域 内最大の財政赤字を抱えるギリシャへの具体的な支援を発表するには 至らなかった。英国政府が2022年償還のインフレ連動債を発行し たことも、相場への押し下げ要因となった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)の債券ストラテジスト、ジョ ン・レース氏(ロンドン在勤)は「英国債は一段安となった」とし、 「EU声明とEUの支援プログラムが要因だ。英国が参加するとの観 測もあるようだ」と語った。

ロンドン時間午後5時現在、10年債利回りは前日比10ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.02%。一時は

4.05%と、先月19日以来の高水準を付けた。同国債(表面利率

4.5%、2019年3月償還)価格は0.73ポイント下げ103.61。 2年債利回りは7bp上昇し1.20%となった。

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