EU首脳会合、ユーロ危機沈静へ「強い行動」確約

欧州連合(EU)首脳会合はギリ シャに財政赤字の抑制を命じる一方、統一通貨ユーロ導入以来11年 で最悪の危機沈静化に向けて、「断固とした行動を取る用意がある」と する声明を発表して終了した。

ブリュッセルで開かれた同会合では、ドイツのメルケル首相やギ リシャのパパンドレウ首相、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁 を中心に協議が進められ、ギリシャの経済状況をより厳重に監視する ことが必要との見解で合意した。ただ、同国の債務危機に対する具体 的な支援策を提示するには至らなかった。これを背景にギリシャ債相 場は上昇した一方、ユーロは下げた。

ファンロンパイEU大統領は会合後の記者会見で、「明確な政治的 意思の表示だ」と言明。「この日われわれが送りたいと望んだのは政治 的なメッセージだ。この政治的なメッセージは責任という要素を伴う。 ギリシャ政府は責任を負う」と語った。

明確な政治的シグナル

ドイツのメルケル首相は、EUはギリシャに「明確な政治的シグ ナル」を送ったと述べた。

今回の合意では、ギリシャをはじめスペインやポルトガルなど財 政赤字に苦しむ域内各国を標的に新たな投機的攻撃があった場合のE Uの対応については明確にされていない。首脳会議前の声明は、ギリ シャに対し財政立て直しと国際通貨基金(IMF)の監視を受けるこ とを求めた以前の呼び掛けと同様の内容となっている。

匿名を条件に応じた欧州当局関係者によると、各国財務相らはギ リシャ向けに融資ファシリティーの設立といった対策を検討している。 同ファシリティーは各国が自国の経済規模に応じて資金を拠出する。 同関係者は欧州債を発行する時期ではまだないと述べた。

ウニクレディトMIBのエコノミスト、アンドレアス・リース 氏 (ミュンヘン在勤)は「各国がより詳しい措置を明らかにしない限り、 市場は正常化しないだろう。声明だけで投資家を安心させることはで きない。やっと少し呼吸ができるようになったという程度だ」と述べ た。

ブリュッセル時間で午後7時45分現在、ギリシャ2年物国債の 利回りは前日比35ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント) 低下の5.11%。

EU首脳会合前にメルケル首相を中心にギリシャのパパンドレウ 首相、トリシェECB総裁、ファンロンパイEU大統領、サルコジ仏 大統領、スペインのサパテロ首相、ユーロ圏財務相会合(ユーログル ープ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼国庫相)がギリシャ支 援について協議。ブラウン英首相らは参加しなかった。

アイルランドのカウエン首相は、ギリシャ支援について声明内容 以外の「詳細な協議はなかった」と述べた。

ギリシャのパパンドレウ首相はEU首脳会合後、記者団に対し、 「ギリシャはこの信頼喪失のため、主権の一部を失った。失った信頼 を回復する決意だ。必要なことは何でもする」と語った。

IMF支援を拒否

EU首脳はギリシャを国際通貨基金(IMF)単独の手に委ねる ことは拒否した。外部からの支援を仰げば、欧州内の規律を自力で維 持することができないと示すことを恐れたためだ。

マーストリヒト条約はECBや各国中銀が債券買い取りや融資提 供で加盟国を救済することを禁じている。一方、政府間の支援につい てはそれよりも柔軟な規則を設けている。

ギリシャに財政上の生命線を提供することは、二国間あるいはE U全体によるものかにかかわらず、加盟国が独自に経済を運営すると の従来の慣行が崩れることを意味しており、ユーロにとって新たな一 章となる。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS) の欧州担当チーフエコノミスト、ジャック・カイユ氏は「虚勢を張っ ているわけではないと思う。ギリシャへの非常に真剣なコミットメン トだ。EUにとって一生に一度の出来事だ」と指摘した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE