10-12月期成長率は3期連続プラス、輸出と景気刺激策で-民間調査

昨年10-12月期の日本の実質国内 総生産(GDP)は3四半期連続でプラスとなり、成長率も前期より 拡大したもようだ。世界経済の回復を背景に輸出が拡大したことに加 え、自動車や家電製品の購入を促す経済対策の効果が持続。個人消費 がかさ上げされたほか、減少していた設備投資も下げ止まり、7期ぶ りに小幅プラスになりそうだ。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査によると、10-12 月期の実質GDPの予想中央値は前期比0.9%増(年率換算3.6%増)。 7-9月期の実質GDPは前期比0.3%増(同1.3%増)だった。住宅 投資と公共投資はマイナスが見込まれている。内閣府は15日午前8時 50分に1次速報値を発表する。

三菱総合研究所の対木さおりエコノミストは「けん引役のアジア を含む世界経済全体の回復が継続していることを背景に、輸出が伸び、 内需も消費と設備投資のプラスが見込まれる」と指摘する。ただ、消 費は「昨年4-6月、7-9月に比べ伸びが鈍化し、政策効果が一巡 していくと言わざるを得ない」とし、今年1-3月期以降も政策効果 は弱まるとの見方を示した。

日本の最大の輸出先となった中国の昨年10-12月期のGDPは 前年同期比10.7%増で、2007年以来の高い伸びを記録した。同期の米 国のGDPも前期比年率5.7%増加した。ギリシャなど一部欧州諸国 の財政懸念に伴う株安・円高などのリスク要因はあるものの、世界経 済の回復は輸出主導で持ち直しつつある日本経済には追い風だ。一方 で内需はなお力強さに欠け、全体に自律的回復には至っていない。

外需に不確定要因

民間エコノミストは1月末段階で、10-12月期GDP伸び率を年 率4%台と見込んでいた。しかし、内閣府が2月3日のホームページ で、輸出と輸入に関する季節調整方法の変更を公表したことから、同 期の年率の成長率予想を引き下げる向きが相次いでいる。

三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは、 今回の変更で「内需は影響を受けないが、外需が不確定要因であり、 どうなるか分らない」とした上で、内閣府の試算を踏まえ、10-12月 期の実質GDPは「前期比年率で1ポイント強の下方修正」になると 予測する。

内閣府は、今回の変更が過去の実質GDPの前期比伸び率に与え る影響として、例えば08年10-12月期は0.4ポイント、09年1-3 月期は0.2ポイントそれぞれ低下する半面、09年4-6月期は0.5ポ イント上昇すると試算している。ただ、輸出入への詳細な影響などを 公表していないため、試算結果に不確実さが残るとエコノミストらは みている。

100年に一度と言われる08年9月のリーマン・ショックに伴い、 同年10-12月期と09年1-3月期のGDPは急減した。これを通常 の季節性とみなすと、翌年以降に出る数値が高く出る可能性があるた め、同期間を異常値とみなして、数値の変動をなだらかにする狙いが ある。

消費の息切れリスク

内閣府が需要側と供給側の統計を総合して指数化した消費総合指 数は10-12月期に前期比0.5%増加した。雇用・所得環境は厳しい上、 昨年11月に政府がデフレ宣言を出したこともあり、消費者マインドは 一時的に悪化したが、経済対策効果で環境対応車や薄型テレビの販売 は好調だ。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎主任研究員は「エコカー減税・補 助金、エコポイント制度といった政策効果を主因として個人消費は持 ち直しの動きが続いている」と指摘する。ただ、「あくまでも需要の 先食い的な面が強い。政策効果一巡後には雇用・所得環境の悪化を主 因として消費息切れのリスクが高まるだろう」とみている。

一方、設備投資の回復にとって好ましい数字も見られる。内閣府 が10日発表した昨年12月の機械受注統計によると、船舶・電力を除 く民需(コア機械受注、季節調整値)は前月比20.1%増、10-12月期 も前期比0.5%増と7四半期ぶりの増加に転じた。

名目GDPはプラスか

大和総研の渡辺浩志エコノミストは設備投資について、「10-12 月期、1-3月期が底固めの時期で、4-6月期ぐらいから緩やかに 増加してくる」とみる。ただ、「企業が更新投資を再開し始めるだけで あり、能力増強で設備投資をどんどんと増やすというステージではな い」とみている。

一方、鳩山政権が重視する名目GDPは7四半期ぶりにプラスに 転じる見通し。日本経済は物価下落が続くが、企業の生産や販売が回 復しており、名目値のプラス要因に寄与する見込み。ただ、依然とし て実質成長率が名目成長率よりも高いデフレ状況には変わりない。

みずほ総研の草場洋方シニアエコノミストは、名目成長率で前期 比1.4%増を予測するが、それは「国内のデフレ色緩和などポジテイ ブな動きを表しているわけではない」ともいう。モルガン・スタンレ ー証券の佐藤健裕チーフエコノミストも「GDPギャップのマイナス は当面継続するとともに、デフレ圧力は根強く残ろう」と予想する。

1-3月期は下振れ

JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は、1-3月期は「減速が 免れない」と予測。「足元で輸出と内需の乖離(かいり)が一段と拡大 しつつあるようにうかがえる」とし、「個人消費、公共投資などの需要 項目が足かせになり、全体を下押しする可能性が高い」とみている。

野村証券金融経済研の野木森稔エコノミストは、09年暦年の名目 GDPは約5.1兆ドル(476兆円、年平均1ドル=93.5円で換算)と 推計し、同年の中国の名目GDP約4.9兆ドル(33.5兆元)を小幅に 上回るため、「世界第2の経済大国としての地位を日本は辛うじて維持 する」とみている。

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