森トラ副社長:オフィス市況「地方はダメ」-仙台は稼働5割で開業

リーマンショック以前にオフィス ビル建設計画に沸いた地方都市で、オフィス市況の悪化が続いている。 仙台で大型複合ビルの開業を控える森トラスト(東京都港区)の吉田 武副社長は「地方はダメだ」と述べ、地方の主要都市でオフィス市況 の悪化が進んでいるとの見方を示した。

吉田副社長は8日、ブルームバーグ・ニュースに対し「地方はテ ナントが増えないので新規のビルができると取り合うことになる」と 指摘。同社が8月に開業を控えている仙台市中心地の大型複合ビル 「仙台トラストタワー」(地上37階)のオフィス部分の稼働率につい て、同氏は「開業時は半分だ。あと1-2年かけて9割稼働くらいに もっていく」と述べた。

同社は総事業費550億円で複合ビル「仙台トラストタワー」と、 隣接する地上29階建ての住宅棟を開発している。

米不動産サービス大手の日本法人、シービー・リチャードエリス (東京・港)の調査によると、仙台市のオフィス空室率は09年第4 四半期(12月)に18.3%と、同社が調査を開始した1996年第1四 半期(3月)以来、過去最高となった。また、空室率は大阪市(同

10.3%)や名古屋市(同12.5%)でも8四半期連続で上昇、大阪市 は5年6カ月ぶりに10%を超えた。テナント需要が減るなか、新築 オフィスビルの完成で供給過剰になっていることなどが空室率の上 昇につながっていると分析している。

仙台は大型再開発エリアとしての需要を取り込み、国交省の08 年基準地価(商業地)では仙台市青葉区が22%値上がりと全国トッ プの上昇率となった。また、4位に名古屋市中村区、10位に大阪市 北区が入るなど、地方都市の地価上昇が目立った。しかし、その後の リーマンショック後の景気悪化でリーマンショック後の景気悪化で、 状況は一転した。

都心はなだらかな回復へ

一方で、都心のオフィス市況については、吉田副社長は「都心の オフィスビルは昨年の価格調整で引き合いが増え、稼働率が高まった。 今年は大きな賃料の下げはないだろう」と述べた。同副社長によると、 昨年は都心オフィスで10-20%の賃料の引き下げを実施したという。

同社の代表的なビルのひとつ、東京駅駅前の高層オフィスビル 「丸の内トラストタワー」は、開業当初(08年11月)の賃料は月額

3.3平方メートル当たり5-6万円だった。その後、賃料を10-15% ダウンさせたことで2010年3月末には稼働率が9割に上がる見込み という。

景気の持ち直しを示す経済統計も一部で出てきている。内閣府が 5日に発表した景気一致指数は、昨年12月に9カ月連続で上昇し、 半年程度先を示す景気先行指数も10カ月連続で改善した。日本経済 が輸出や生産を中心に持ち直している状況が示されている。

吉田副社長は「オフィスは経済状態と比例している。都心は2010 年に回復するが、なだらかだ。急激な回復は難しいだろう。景気の不 確定要因も多い」と明るい兆しを指摘しつつ、慎重な見方も示した。

オフィス賃貸仲介業の三鬼商事が4日発表した2010年1月末の オフィス空室状況によると、東京・千代田区など都心5区の平均空室 率は8.25%に上昇した。5カ月連続の上昇で、同社が月間統計の開 示を開始した04年2月以来、最高の水準となった。

農中信託銀行の新海秀之シニアファンドマネジャーは「仙台など 地方都市は全体のテナントが減っているため、今後もオフィス市況の 悪化が続く。ただ、東京のオフィス市況に落ち着きが出始めているた め、東京が回復すれば時間をおいて地方も回復に向かう可能性がある」 と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE