トヨタ:新型プリウスなど4車種リコール、世界44万台対象

トヨタ自動車は9日午後、ブレーキ が利きにくいとの苦情が相次いでいたハイブリッド車の新型「プリウ ス」など4車種、計22万3068台について、法律に基づくリコール(無 料の回収・修理)を国土交通省に届け出た。トヨタは北米、欧州、そ の他の国・地域でも、できるだけ速やかに同様の改善措置を取ると表 明。対象台数は全世界で約43万7000台に達するとしている。

トヨタの豊田章男社長は同日午後、東京本社で会見し、あらため て陳謝、信頼回復に向けて全力を尽くすことを表明した。新型プリウ ス以外の3車種については、改善措置の準備が整うまで、販売を停止 すると述べた。また「米国で関係各位に私自身の言葉で伝える努力」 をしたいと述べ、訪米する意向を示した。

豊田社長は会見後、前原誠司国土交通相を訪ねた。前原国交相は 会談で「ユーザーの視点を大事にして機敏に対応していただきたかっ た」と述べたほか、「リコールをしたので、今後はしっかり信頼回復を お願いしたい」と語った。これに対し、豊田社長は「しっかりと対応 していきたいと思っている」と応じた。

豊田社長は国交相との会談後、記者団に対し、来週にも訪米し、 米当局とも直接意見交換することを明らかにした。

リコールでは3カ月ごとの改修状況の報告義務がある。会見に同 席した佐々木真一副社長は、報告義務がなくなる90%の水準達成につ いて、3カ月以内に「それ以上にしたい」と述べた。また、豊田社長 は顧客への対応を最優先するが、黒字化に向けて「最後の最後まで努 力する」とも語った。

政府も十分に注視

平野博文官房長官は同日午後の定例会見で、トヨタに対しユーザ ーなどの不安解消のため「しっかりと対応していただきたい」と述べ るとともに、この問題を政府も「十分に注視していきたい」と語った。

ミズノ・クレジット・アドバイザリーの水野辰哉代表は「相当大 きな規模のリコール」とし、「日本の自動車市場が縮小する中で比較的 よく売れていた期待の星であっただけにダメージは大きい」とみてい る。また、「トヨタは今期見通しを修正したが楽観的過ぎると思う」と 指摘する。

ティー・アイ・ダヴリュの高田悟シニアアナリストは「今年のト ヨタの業績回復は、ハイブリッドとエコカー支援に支えられていた部 分が大きかったので、22万台のリコールは非常に苦しい事態」とコメ ントした。

国交省の発表資料によると、アンチロック・ブレーキ・システム (ABS)の制御プログラムが不適切で、制動力が低下することがあ る。このため、運転者の予測よりも、制動停止距離が伸びる恐れがあ るという。不具合は84件で、事故の報告はない。

全車両の制御プログラムを修正へ

改善措置として、全車両の制御プログラムを修正する。新型プリ ウス以外の3車種については、対策プログラムが準備でき次第、修正 する。

国交省・自動車交通局技術安全部審査課リコール対策室の板崎龍 介室長は同日の記者説明で、新型プリウスについてトヨタが10日から リコール作業を開始するほか、その他の3車種に関しては新規販売を しばらくの間、停止すると聞いていると述べた。2月下旬もしくは3 月までという。

国内のリコール対象は、新型プリウス(製造期間2009年4月20 日-10年1月27日)計19万9666台のほか、同じブレーキシステム を採用しているハイブリッド車「HS250h」(同09年6月10日- 10年2月8日)1万2423台、「SAI(サイ)」(同09年10月2日- 10年2月8日)1万820台、プリウスのプラグインハイブリッド車(同 09年11月25日-10年2月5日)159台。

一方、海外は北米が約15万5000台、欧州が約5万3000台、その 他地域が約5000台。またプリウスは全世界で約39万7000台が対象に なる。

本格的な冬を迎えて苦情件数が増加

トヨタの横山裕行常務役員は4日の記者会見で、苦情に関してA BSが作動するような路面状態で、ブレーキを踏んで利くまでに時間 差が生じる現象とし、「ブレーキを踏み増せば車は確実に止まる」と説 明し、「1月末に設計変更を行った」と述べた。

トヨタの佐々木副社長は9日の会見で、当初はユーザー側の違和 感、フィーリングの問題であると認識していたが、本格的な冬を迎え て苦情件数が増え、発生件数などの観点からリコールに踏み切ったこ とを明らかにした。

国交省の板崎氏は9日の記者説明で「フィーリングというより、 ブレーキ力が低くなる点が問題」と指摘。その上で、「トヨタから安全 上の問題があるとの認識からリコールとして届けられ、これを受理し た」と述べた。

トヨタの豊田社長は9日の会見で、雪道などの滑りやすい路面で ABS作動の際に「一瞬だけブレーキが抜ける」とし、ブレーキを確 実に踏み込んでもらえば止まると強調した。

フロアマット問題以外の苦情も承知

トヨタは昨秋、米国で乗用車の運転席フロアマットがアクセルペ ダル操作に支障を来す恐れの出ていた問題で改善計画を発表。トヨタ の佐々木副社長は、この問題以外にも、減速しないや加速するといっ た苦情があることを承知していると述べたが、車種は明らかにしなか った。その原因を調査中で、現時点で車側に原因があるとの事実はな いとし、今後も調査を継続していくとした。

一方、広報担当の竹内利理子氏によると、トヨタはHS250h とSAIの生産を2月13日から20日まで停止する予定。販売再開時 期は明らかにしていない。両モデルを生産しているトヨタ自動車九州 (福岡県若宮市)は8日から、出荷を停止している。

--取材協力:萩原ゆき、上野きより、広川高史、松田潔社 Editor: Hideki Asai、Hitoshi Ozawa

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