12月の経常黒字額は前年比5.5倍-輸出は回復基調

昨年12月の日本の経常収支の黒字 額は、前年比で約5.5倍と大幅に増加した。所得収支の黒字額は縮小 したものの、輸出の回復基調が中国をはじめとしたアジア向けから欧 米向けにも拡大し、前年同月比で15カ月ぶりに増加に転じたことから、 貿易収支が大幅に改善したことが主因。

財務省が8日発表した12月の国際収支状況(速報)によると、海 外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支の黒字額は前年 同月比452.8%増の9008億円となった。このうち貿易収支の黒字額は 6312億円と、前月に続いて大幅に改善。前年同月比の増加額は比較可 能な1986年以降、過去最高を記録した。

昨春以降の輸出の回復は、アジアから米国や欧州連合(EU)な どにも広がりを見せている。日本経済はデフレ状況や厳しい雇用・所 得環境などを背景に景気の二番底懸念が指摘されていたが、外需拡大 に伴い企業収益が持ち直すとの見方から、景気の踊り場はマイルドに とどまるとの見方が強まりつつある。

貿易収支の内訳を見ると、輸出は前年同月比11.7%増の5兆1272 億円。輸入は同6.0%減の4兆4961億円と14カ月連続で減少したも のの、縮小幅は前月(同18.2%減)に比べて大幅に縮小した。

海外への直接投資や証券投資の収益を示す所得収支の黒字額は同

34.7%減の4748億円と黒字を維持したものの、前月(同13.3%減) に比べて減少幅を拡大。同省は円高や金利低下のほか、海外子会社か ら親会社への内部留保の送金の減少などを挙げている。

みずほ総合研究所の千野珠衣エコノミストは5日付のリポートで、 「輸出回復によって貿易収支が前年の赤字から大幅黒字に転じ、経常 黒字は前年を大きく上回った」と指摘。所得収支は対ユーロで円安と なったことなどから、「証券投資の受け取りが前年を上回り、所得収支 黒字額の前年比マイナス幅は縮小する」とみていた。

前月比(季節調整値)では、経常黒字が前月比15.7%減の1兆1005 億円。貿易黒字は同13.9%減の4702億円と2カ月連続で減少した。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査の予測中央値は、 経常収支が1兆117億円、貿易収支が6694億円の各黒字だった。統計 発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午前10時1分現在、 1ドル=89円42銭で推移している。発表直前は同89円30銭。

第一生命経済研究所の岩田陽之助エコノミストは発表前、 円高 が続いたことや国内生産活動の活発化などに伴い輸入も増加しており、 「経常収支は足踏み状態が続く」との見方を示していた。一方で、 2009年4月から企業の海外子会社から親会社への配当金の送金にか かる法人税が非課税になり、送金が四半期末に増加する傾向がある ことから、12月分の所得収支黒字が上振れる可能性があるとも指摘 していた。

09年の経常収支は2年連続減

同日併せて発表された09年の国際収支によると、経常収支は前年 比18.9%減の13兆2782億円の黒字。黒字幅は2年連続で減少した。 円高などの要因から所得収支の黒字幅が同22.2%減の12兆3229億円 と大幅に減少したことが要因で、減少幅は過去最大となった。

貿易収支は輸入幅の減少が輸出額の減少幅を上回ったことから、 前年比0.8%増の4兆611億円と黒字幅がわずかに拡大した。うち輸 出は同34.3%減の50兆8403億円と2年連続減。輸入は同36.2%減の 46兆7791億円と7年ぶりに減少した。輸出入ともに金額、減少率は 過去最大だった。

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