アジア初の高頻度取引拠点を国内開設、海外資金呼び込む-メリル証

メリルリンチ日本証券はこのほど、 超高頻度取引(ハイ・フリークエンシー・トレーディング)を行う海 外投資家向けのトレーディング拠点を開設した。東京証券取引所の超 高速システム「アローヘッド」の導入に伴い、発注処理速度が欧米並 みに向上。旧東証システムでは難しかった超高頻度取引を日本の市場 に呼び込む。

メリル日本証のアジア太平洋地域エレクトロニック・トレーディ ングのディレクター、キャリー・チャン氏が4日、ブルームバーグ・ ニュースの取材で明らかにした。チャン氏は「欧米市場で超高頻度取 引を行う投資家は多い。アローヘッドの導入で欧米並みになった東証 に、海外投資家は興味を示している」と述べた。

超高頻度取引は高性能コンピューターを駆使し、短時間に超高速 で大量に発注するトレーディング。例えば1000分の1秒というミリセ カンドの間にプログラムが数百回という売買を繰り返す。大和総研に よると、米国株式取引の7割程度を占有している。有名な投資家とし ては、米シタデル・インベストメント・グループ(シカゴ)などがあ る。しかし旧東証システムでは遅過ぎ、日本では本格的に始まってい なかった。

メリル日本証は、米フィデリティ系の通信会社であるKVH(東 京・港区)、マーケット情報配信のアクティブ・フィナンシャル・シス テムズ(米国・シカゴ)と提携し、東証のデータセンター近くにトレ ーディング拠点を設立。拠点を物理的に取引所に近づけることで、よ り高速の取引を可能にした。拠点からは、カブドットコム証券などP TS(私設取引所)のほか、来年にデータセンターを東京に移設予定 の大阪証券取引所にも発注できる。

近づく距離、コスト軽減に

メリル日本証によると、発注する拠点から取引所の距離が遠いと、 回線が長くなり、注文が届く時間が遅くなる。特に海外投資家は、注 文が海を超えてくるため、それだけで不利だ。東証では、物理的に近 づきたい投資家のため、取引所のデータセンター内に発注サーバーを 設置する「コロケーションサービス」を始めたが、大証のデリバティ ブ取引で同時にヘッジをかける向きなどは、それぞれの取引所のサー ビスを受ける必要があり、コストがかさむ要因になっている。

メリル日本証のチャン氏は、「1つの拠点から、東証、大証に発注 でき、取引所のコロケーションと同様の取引速度を実現した。投資家 のコスト軽減につながる」と説明する。

他ブローカーも参入へ

また拠点には、メリル日本証以外のブローカーの参入も予定して おり、投資家はコスト面などで利便性の高いブローカーを瞬時に選択 し、さらにPTSと取引所の価格を比べ、より有利な条件で取引でき る市場にも瞬時に発注できる。投資家は1つの拠点から各市場、ブロ ーカーを選ぶことが可能になり、高頻度取引の投資家の利便性を高め る。現在、契約している海外投資家は1社だが、すでに年内に3社の 契約が決まっている。

「拠点に置かれた顧客のパソコンから、マイクロセカンド(100 万分の1秒)以内ですべて判断できる。これまで日本市場で機能しな かったストラテジーが可能になっている」と、メリル日本証の法人顧 客グループ株式部・エレクトロニック・トレーディングの中村友治ア ナリストは説明。「欧米ではこうしたサービスはよくあるが、アジアで は初めてとなる」という。

東証は1月4日、高速取引システム「アローヘッド」を始動した。 1株当たりの売買を処理する時間を従来の2-3秒から5ミリ秒(ミ リは1000分の1)へ大幅に短縮。売買の際の株価の刻みが細かくなり、 小口取引も可能になった。システムの高速化でさまざまなトレーディ ング手法・戦略を活用でき、従来は日本株の売買をしてこなかった海 外投資家が新たに参加する可能性が出てきている。

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