当面の国債消化は問題ないが2010年代後半に財政リスク-野村証券

野村証券の西川昌宏チーフ財政アナ リストは、財務省が今年度予算案の参考資料として4日に国会に提出 した「2010年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」で、過去最大 に膨らんだ新規国債発行額が今後も増える見通しが示されたことにつ いて、「当面の国債消化に問題はないが、10年代後半には財政リスク が意識される」との見方を示した。

13年度までの財政見通しを示した同試算によると、13年度は一般 会計総額が、社会保障関係費や国債費などの増加により、100兆円を 超える可能性があるとしている。一方、09年度に46.1兆円に落ち込 んだ税収は10年度には37.4兆円まで減少し、その後はやや回復する ものの13年度は40.7兆円にとどまるとしている。

増税や税収外収入の積み増しがなければ国債発行で補う必要があ り、この結果、新規国債発行額は、11年度は51.3兆円と当初ベース で初めて50兆円の大台に乗せることになり、12年度には52.2兆円、 13年度には55.3兆円に膨らむ見通しだ。

西川氏は、50兆円台に乗せてさらに増える見通しになっているこ とについて、債券市場に若干影響はあるかもしれないとしながらも、 金融機関は資金余剰なので、「当面の国債消化は可能」と指摘。応札が 予定額に届かない「札割れ」を懸念する状況ではないとの見方も示し た。

一方、「借換債も増えてくることから、全年限満遍なく増発される 場合もありうる」と指摘。特定の年度の金額が可膨らむ発行額の段差 ができないように早めに増発することが必要になるとも述べ、「将来的 に日本銀行への国債買い切り増額圧力が出てくるのではないか」との 見方を示した。

試算では、11年度から13年度の名目成長率を1.7-2.2%、消費 者物価上昇率をマイナス0.5-プラス0.5%、長期金利を2.2-2.6% としている。11年度以降に実施される可能性のある新規の政策は除い ている。一方、税外収入は11年度以降、4兆円前後になるとしている。

中期財政フレーム

政府は、今年6月ごろに複数年度予算を視野に入れた経済財政運 営指針「中期財政フレーム」を策定する予定。しかし、市場では、政 府債務残高の膨張を抑制し、財政健全化への明確な道筋を示すことに 懐疑的な見方が出ている。

西川氏は、「新規国債発行を大幅に減らすことは限りなく不可能に 近い。多少無駄を削っても、国債発行が増える方向は変わらない。今 のままであれば、10年先には国債発行額が年200兆円の時代が視野に 入る」と分析。「20年ごろには普通国債残高が1000兆円に達するほか、 財投債が約100兆円、地方債も加わる」と推計している。

複数年度予算に関しても、「無駄が排除されて予算が余るとは思え ない」と語り、財政改善に大きな寄与は難しいとみている。

政府が1月25日に国会に提出した資料によると、国債と借入金、 政府短期証券を合わせた国の債務残高は10年度末で973兆1626億円 に上る見込み。

消費税上げいずれ不可避

鳩山由紀夫首相は消費税の引き上げを今後4年間行わない方針を 示している。しかし、国債発行額は、借換債などで量自体が増えるほ か、歳出面の見直しや政策の効率化が進まない限り、基本的には右肩 上がりで増えていく公算が大きい。

西川氏は、恒久的な財源確保が急務で、税収増を図るために増税 が必要だと指摘。「財政の悪化を食い止めるためには、現状の税収では 苦しい」と説明し、消費税の引き上げはいずれ不可避とみており、早 急に議論を始めるべきだと提言した。

--取材協力:野沢茂樹、下土井京子 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ 東京 池田祐美 Yumi Ikeda +81-3-3201-2490 yikeda4@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Rocky Swift +81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE