【今週の債券】長期金利1.3%半ばで推移か、米雇用不安も財政懸念重し

今週の債券市場で長期金利は1.3% 台半ばでの推移が見込まれる。米国市場では雇用情勢が依然として厳 しいことが示されて金利が低下したことは円債相場の支援材料となり そうだ。半面、投資家の買い意欲が鈍いとみられるほか、根強い財政 悪化懸念から長期金利に上昇圧力がかかる可能性もある。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、米国景気が一進一退を続けるかぎり日米金利は上振れないと いい、「10年債利回りは今週も1.3%台のレンジ取引が続く」とみる。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが5日夕方までに市場参加者3人に聞いた今週の予想 レンジはいずれも1.30-1.40%となった。

前週の長期金利は上昇に転じた。1日につけた1.325%が週間の 最低水準となり、その後は徐々に水準を切り上げて、4日午後には一 時1.38%と昨年11月12日以来の高い水準を記録した。結局は1.355% で週末の取引を終えた。

米国市場で5日に発表された米雇用統計によると、1月の非農業 部門雇用者数は前月比2万人減少して、エコノミスト予想の同1万 5000人増から下振れた。昨年12月は速報値の同8万5000人減から同 15万人減に下方修正された。指標発表後の米債市場では景気回復が鈍 いとの見方から、2年債利回りが2カ月ぶり低い水準をつけるなど金 利低下基調となったため、国内債市場でも買い材料視されそう。

株安・円高観測

また、欧州各国の財政不安を背景に世界的な株安や円高観測が強 いことも、安全資産とされる国債市場を下支えするとみられる。みず ほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、為替市場では消去 法的に円高バイアスが生じやすいため、今後は日銀への緩和圧力が高 まることが考えられるといい、「債券のキャリー(金利収入)収益を狙 った平準買いは怠るべきでない」という。

こうした中、市場では長期金利がレンジ内で推移するとの見方が 多く、水準が切り上がれば投資家の買いが見込まれている。シティグ ループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、5年債利回り0.5% 台では金利収入確保の買いが入りやすく、10年債でも1.4%に近づけ ば押し目買い意欲が強まるとみており、「今週の305回債利回りは

1.305-1.38%での推移ではないか」という。

野放図な国債増発に警戒の声も

一方、今後の国債需給悪化への警戒感がくすぶっていることは、 長期金利の上昇を通じて利回り曲線のスティープ(傾斜)化要因とな りそうだ。三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは、債 券市場では野放図な国債増発への警戒感が高まっていると指摘する。

もっとも、石井氏は今後については「財政運営戦略」や「中期財 政フレーム」など財政再建策の具体化が、「悪い金利上昇」リスクを抑 える上で重要性を帯びるともみている。財務省が2010年度予算案の参 考資料として国会に提出した「10年度予算の後年度歳出・歳入への影 響試算」によると、2011年度の新規国債発行額は51.3兆円と当初ベ ースで初めて50兆円の大台に乗せる見通しとなった。

9日には30年利付国債の入札実施が予定されている。新発30年 債は前回の31回債と銘柄統合されるリオープン発行。超長期ゾーンの 需給悪化懸念は根強いものの、利回りが2.3%台に乗っていれば需要 が見込まれている。発行額は6000億円程度と他の年限の国債入札より も少ない。シュローダー証券投信投資顧問運用部の塚谷厳治債券チー ムヘッドは、「発行額が少額なので、無難に消化されると思う」という。

市場参加者の予想レンジとコメント

2月5日夕までに集計した市場参加者の予想レンジは以下の通り。 先物は中心限月2010年3月物、新発10年国債利回りは305回債。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物3月物138円50銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「積極的に動きづらい相場が続く。円高や株安が進んでも、ギリ シャ問題など財政リスクがクローズアップされれば、必ずしも債券買 いにはならない。国内投資家は買いを急いでいないうえ、先物も海外 勢の戻り売りが根強そうだ。ただ、現物を売っていく状況でもない。 30年債入札は利回り水準から考えて機関投資家の需要が見込める」

◎シュローダー証券投信投資顧問運用部の塚谷厳治債券チームヘッド

先物3月物138円50銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「中国の株価動向に注目。中国首脳陣がバブルを抑えるため引き 締めを継続するか見極めたい。世界経済をけん引してきた中国経済が 鈍化すれば、日本の輸出にも影響が出る。株式が売られやすくなり債 券は買われる。30年債入札は発行額が少額なので無難に消化されると 思う。景気ウオッチャー調査で低下が続くのかも注目される」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダ ー

先物3月物138円40銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「10年債利回りは1.3%台で推移か。中長期的な財政悪化リスク が根強いほか、大手銀行などの様子見もあって需給はやや緩い。もっ とも、10年債利回りが久しぶりに1.4%付近まで切り上がれば、投資 家から一定の買い需要がにじみ出てくるため、結果的に取引レンジを 大きく変えることはない。30年債入札も無難に通過するだろう」

--取材協力:船曳三郎、池田祐美 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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