東京外為:円が下落、上昇スピードに警戒感-米雇用統計を見極め

東京外国為替市場では、円が主要 16通貨中15通貨に対して下落した。前日の海外市場での円高進行が 急速だったことから、高値警戒感を背景とした円売り圧力がかかった。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、円は急速な上昇 から自律的に下落する格好になり、この日の東京市場では、クロス・ 円(ドル以外の通貨と円の取引)を中心に円売りの動きが広がったと 説明。足元では、行き過ぎた持ち高が調整され、中立に戻った感があ るとして、この日の米国時間に発表される雇用統計に関しては、「強弱 両方向に反応しやすい」とみている。

ユーロ・円相場は午前の取引で一時1ユーロ=123円19銭まで 円が下落し、午後は123円ちょうど前後で推移した。前日の海外市場 では一時121円59銭と、昨年2月24日以来の水準まで円が急騰。 相対力指数(RSI、14日ベース)は30を割り込み、ユーロ安・円 高の行き過ぎが示されている。

ドル・円相場は1ドル=89円台後半で取引された。海外市場では 一時88円56銭と、昨年12月14日以来の円高値を付けていたが、 この日の午前には89円78銭まで円が売られる場面も見られた。

米雇用統計を見極め

米国では、前日に発表された1月30日までの1週間の新規失業 保険申請件数が市場の予想に反して前週から増加。3日に民間調査会 社が発表した雇用関連統計を受けて生じていた雇用回復への期待感は 冷やされる格好になったとみられる。

これを受けて、米株式相場が大幅安の展開となり、株価の予想変 動率の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティ リティ指数(VIX指数)は前日比で20%を超えて急上昇。リスク資 産向け投資が敬遠される可能性が示されていた。

みずほ証の林氏は、週前半は米指標の強含みなどを背景にリスク 選好の動きが見られたが、新規失業保険申請件数を受けて調整の動き が活発化したと説明している。

この日は1月の米雇用統計が発表されるが、ブルームバーグ・ニ ュースがまとめた市場予想では、非農業部門の雇用者数が前月比で1 万5000人の増加と、2カ月ぶりの雇用増が見込まれている。

林氏は、足元ではセンチメントが悪化しているだけに、雇用がプ ラスに転じれば、ドル高・円安が進みやすいと予想。半面、雇用減の 継続が確認された場合は、「株安を通じてリスク回避的な円買いにつな がる」とみている。

また、この日からは、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7) がカナダのイカルウィットで2日間にわたって開かれる。米財務省の 当局者が3日に匿名で記者団に語ったところによると、中国・人民元 の柔軟化も含め、通貨が議題に上る予定だという。

ユーロが一段安

一方、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) は4日、今年はスペインとロシアの地方政府の信用の質が「圧力を受 ける」見通しだとした上で、年内にスペインの地方政府の格下げがあ ると予想した。

ユーロ圏経済はギリシャの財政悪化以外にも問題を抱えていると の見方から、先行き不透明感が深まっており、ユーロの上値が抑えら れやすい面も残る。

みずほ証の林氏は、ギリシャは今後、国民を説得しつつ緊縮財政 を進めていかなくてはならず、調整に不透明感が残ると指摘。最終的 には欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が救済をせざるを得 ない状況に追い込まれる可能性があり、「ユーロ売り要因になり続け る」とみている。

4日には、民間労働者約200万人を代表するギリシャ労働総同盟 (GSEE)がアテネでの集会で採決を行い、2月24日のスト実施 を承認。公務員の主要労組も今月10日にストに突入する。

この日のユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.3669ドルと、昨 年5月20日以来のユーロ安値を更新。午後は1.37ドル台前半で推 移した。

林氏は、市場でユーロ圏経済を取り巻く状況の深刻化が認識され ており、域内全体に問題が波及するリスクも警戒されていると指摘。 世界的に株安・債券高になるなど、欧州景気の先行き不透明感が、 「質への逃避」を促す構図が生じてきており、リスク回避を背景とし た円高要因になり得るとも語っている。

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