NY外為:ユーロ急落、対円で1年ぶり安値-財政懸念で

ニューヨーク外国為替市場では ユーロが円に対してほぼ1年ぶりの安値に下落。ドルに対しては昨 年5月以来の安値となった。一部の欧州連合(EU)加盟国は財政 赤字を削減できないとの懸念が強まり、ユーロ売りが広がった。

ユーロは円に対して一時3.8%下げた。欧州中央銀行(ECB) のトリシェ総裁はギリシャの財政赤字抑制を確信していると述べた ものの、ユーロは売られた。同総裁はまた、ECBが政策金利を過 去最低水準の1%から引き上げる計画は差し迫っていないことを示 唆した。円は高利回り通貨に対して上昇。低金利通貨で資金を調達 し、高金利通貨で運用するキャリー取引の解消が進むとの観測が背 景。

ダンスケ銀行のシニアアナリスト、ジョン・ハイデスコフ氏 (コペンハーゲン在勤)は「トリシェ総裁がギリシャの財政規律に ついて『確信している』という表現以外の発言をしていたら、市場 は大混乱に陥っていただろう」と指摘。「同総裁の現時点での役割 は一段の混乱を避けることだ」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時14分現在、ユーロは対ドルで前日比

1.1%安の1ユーロ=1.3742ドル(前日は同1.3893ドル)。一時は同

1.3728ドルと、2009年5月21日の安値と並んだ。ユーロは対円で

3.1%安の1ユーロ=122円51銭(前日は同126円42銭)。一時は 同121円59銭と09年2月24日以来の安値を付けた。円は対ドルで 2%高の1ドル=89円16銭(前日は同90円98銭)。

「連鎖」

ユーロはドルに対して年初来では3.9%下落。ギリシャやほかの 周辺国の財政赤字削減が難航するとの懸念が背景にある。こうした 各国の財政赤字はEUが定める基準を上回っている。

ウエストパック銀行のシニア通貨アナリスト、ローレン・ロス ボロー氏(ロンドン在勤)は顧客向けリポートで、「市場への波及 が続けば、ユーロは1ユーロ=1.37ドルの節目を割り込み、一気に

1.30ドルが視野に入るだろう」と述べた。

トリシェ総裁は政策金利の据え置きを決定した後にフランクフ ルトで記者会見し、「われわれはギリシャ政府が目標を達成するた めのあらゆる決断を下すと予想し、確信している」と語った。同総 裁はまた、公務員の賃金凍結や年金システム改革など今週ギリシャ 政府が発表した措置について、「正しい方向への一歩だ」と評価し た。

ギリシャでは国内最大の労働組合が今月2回目となる大規模な ストライキ実施を承認。パパンドレウ首相が今週約束した、増税や 定年年齢の引き上げに抗議する。

EUの行政執行機関である欧州委員会のアルムニア委員(経 済・通貨担当)は前日、ギリシャやポルトガル、スペインはユーロ 圏に加入して以来の「恒久的な」競争力低下に見舞われていると語 った。

米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO) の新興市場共同責任者、マイケル・ゴメス氏は、「ユーロとユーロ 圏、それに欧州の一部新興国通貨は避けたい」と述べた。

円は高い

円は主要16通貨すべてに対して上昇した。一方、MSCI世界 指数は2.9%安。S&P500種株価指数は3.1%の値下がり。

HSBCホールディングスのグローバル為替ストラテジー責任 者、デービッド・ブルーム氏は「株式市場はすべて急落しており、 為替市場はそこから方向性を見出している」と指摘。「市場を再生 させた流動性供給による支援が徐々に薄れていくと心配されている。 その反応がドルと円の買いだ」と述べた。

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