メガチプス社長:新分野注力で5年後売上倍増目指す

任天堂ゲーム機向け電子部品が全売 り上げの8割を超えるメガチップスは、現在400億円超の売り上げを 5年後に倍増させる計画だ。スマートグリッド関連機器事業などを成 長させ、任天堂向けの売り上げに上乗せする。倍増後はファブレスI C企業の売上高世界順位を現在の19位から10位以内に引き上げたい 考えだ。

同社の鵜飼幸弘社長が2日、ブルームバーグ・ニュースのインタビ ューで明らかにした。現在の任天堂関連の事業規模を維持、拡大しつ つ新規事業を育成し、任天堂とそれ以外の部門の「売上高比率を5年 くらいのレンジで50%対50%にしたい」と語った。新規事業の利益率 は高いため、営業利益ベースでは3年後に任天堂依存度が半分になる という。

メガチップスは任天堂向けの大規模集積回路(LSI)を台湾半 導体メーカーなどに依頼して製造・納入する「ファブレス」企業。任 天堂向けの9割以上は「ゲームカードに内蔵するメモリー」(同社長) という。同社の有価証券報告書によると、任天堂向け販売が2009年3 月期で全販売の87%を占める。現状では任天堂の業績に大部分の売り 上げが大きく左右されるため依存度を薄め、経営の安定性を高めるの が課題だ。

同社は「任天堂依存からの脱却」を目指し、既に「スマートグリ ッド」関連事業の実証実験に着手している。スマートグリッドは、電 力網を発展させ、通信や逆方向の送電なども行えるようにし、電力消 費の管理や売電などを通じて電力消費の平準化や節約などを目指す新 システム。

10年度中に量産化も視野

メガチップスはテレビや冷蔵庫など家庭内の電気製品の消費電力 の管理やコントロールのためにコンセントに取りつける機器「センサ ーネットワーク・モジュール」を開発中という。2010年度中には機器 の量産化にこぎつけたい考えだ。

スマートグリッドについての具体的な構想は国内では明らかにな っていないが、仮に電力を消費する世帯にスマートグリッド関連機器 の利用が広がれば、出荷が急拡大する可能性もある。鵜飼社長はスマ ートグリッド関連機器の販売で「3年後には50億円から100億円」の 売り上げを目指しているという。

スマートグリッド関連では、東京電力系の東光電気が昨年7月、 東芝と電力、ガス、水道向けの計器事業を統合し、次世代計器の開発 や拡販を目指すと発表。新たなビジネスとして徐々に企業の動きが出 始めている。

パチンコ向けメモリーは今年度から出荷

もう一つの柱に育てようとしているのが、パチンコ台向けのメモ リー。パチンコ台のライフサイクルが短くなり機能も高度化している ため、収益性が高いという。第4四半期(1-3月期)中には出荷を 始める予定で、来年度には「15億円から20億円は見込める」(鵜飼社 長)としている。他にデジタルカメラ向け専用LSIなどの新規分野 への進出も加え「脱任天堂」路線を確実にしたい考えだ。

ただ、任天堂が発表した2009年4-12月期の連結売上高は年末商 戦の苦戦などから前年同期比23%の減だった。メガチップスが1日発 表 した2009年4-12月期の売上高も任天堂の影響で、前年同期比 26%減と大幅減となった。鵜飼社長は目先の業績だけをみれば苦しい が、任天堂関連は新規ソフトや新機種の登場があればその分の売り上 げ増は見込めると話す。

また、中期的にみればスマートグリッドやパチンコ関連などのよ うに新しい「ポートフォリオが組める事業がみえてきており、楽しみ な部分が増えている」と語った。

米IC調査会社、ICインサイトの調べによると、2009年のファ ブレスIC企業の売上高世界1位は米クアルコムで、2位は米アドバ ンスト・マイクロ・デバイス(AMD)。20位以内では19位にメガチ ップスが唯一の日本勢としてランクされている。鵜飼社長は「売り上 げが倍増すれば10位以内に入れる」とみている。

ただ、ドイツ証券の中根康夫アナリストは、5年後の世界10位入 りは、「売上が基準になるため容易ではない」とみる。むしろ同社は収 益重視の舵取りを行っていることもあり「売り上げにこだわる必要は ない」と話す。

中根氏はメガチップスの足元の業績は厳しいが、「中長期的には収 益牽引役となりうる製品が育ってきており、方向性としては良い方向 に向かっている」とみている。株価は足元の業績悪化で下落している が、「今後の成長性を考えると魅力的な水準」だと中根氏は判断してい る。

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