ボルカー氏の影響力拡大、FRBの記録にもくっきり-姿勢も変化

ポール・ボルカー元米連邦準備制度 理事会(FRB)議長(82)が金融当局とオバマ政権への影響力を強 めている様子は、FRBの記録が物語っている。

1979年から87年までFRB議長を務めたボルカー氏は、昨年 11月までの1年間にバーナンキ現FRB議長と6回の会合を持った。 その前年は1回だけだった。FRBから入手できる記録は現在のとこ ろ、昨年11月までとなっている。

ボルカー元議長の下でFRB理事を務めたライル・グラムリー氏 は「ボルカー氏はかねてから規制に関して非常に強固な見解を持って いた」と指摘。政策当局者が危機再来防止に取り組むなかで、「金融改 革に関してバーナンキ議長がボルカー氏と協議するのは論理的だ」と 語った。

バーナンキ議長は過去1年で銀行の資本やレバレッジ、流動性に ついての規制強化を提唱し、金融システムの保護には一段の規制が必 要だとするボルカー氏の認識に近い方針を打ち出すようになった。議 長は昨年10月23日の講演で「監督体制を再構築し、規制と法的な枠 組みを強化する必要性を見失ってはならない」と述べた。

2006年当時は対照的

これと対照的なのが2006年に当時のブッシュ政権が経済報告書 で示した内容で、同報告書には過度の金融規制は革新性と生産性を抑 える要因になる恐れがあると記されている。FRB議長就任前のバー ナンキ氏は当時、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長として報告 書作成に携わっていた。

オバマ大統領は1月21日、商業銀行によるヘッジファンド投資 禁止や自己勘定取引抑制などを柱とする規制案を発表し、これを「ボ ルカー・ルール」と呼んだ。

バーナンキ議長とボルカー氏の過去1年の全6回の会合で、5回 は1対1の会談だった。残る1回はボルカー氏が議長を務めるオバマ 政権の経済回復諮問会議にバーナンキ議長が参加した。FRBのミシ ェル・スミス報道官はこれらの会合についてコメントを控えた。

両氏が会う回数が増えるにつれて、ボルカー氏はバーナンキ議長 とFRBへの支援姿勢を強め、同議長の再任を支持した。ボルカー氏 は電話インタビューで同議長について、「試練をくぐり抜けてきた。そ うした経験を重ねる前だった4年前よりも、FRB議長にふさわしい 資質を一段と兼ね備えている」と語った。

予想と異なる展開

ボルカー氏は当初、FRBの危機対処方法に懸念を表明し、08 年4月のニューヨークのエコノミック・クラブでの講演では米証券会 社ベアー・スターンズの救済について、FRBの法的権限に照らし「極 めてぎりぎりのところ」だとして疑問を呈していた。それが今年1月 14日の同クラブでの講演では、FRBが金融監督機関としての権限を 維持する方向の話に大部分の時間を費やした。

ボルカー氏は「身がすくむような出来事が多かった。バーナンキ 議長もそう感じただろう」と話している。

ボルカー氏を60年前から知るニューヨーク大学のロバート・カ ベシュ教授は、同氏の予想とは「少し異なる状況展開となった」と説 明。大恐慌以来最悪のリセッション(景気後退)に陥った米経済を回 復させるため「FRBはあらゆる選択肢を考えなければならなかった」 と指摘した。

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