林氏:長期金利上昇リスクが現実に-中期目標で消費税上げを

麻生内閣で経済財政相を務めた自 民党の林芳正参院議員(政調会長代理)は、鳩山政権の経済財政運営 と公的債務残高の膨張に強い懸念を示し、将来の消費税率の引き上げ を盛り込んだ中期財政見通しが示されなければ、金利が上昇する「懸 念が現実になってしまう」と警戒感を示した。

林氏はブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、政府が 特定年度までに財政収支を均衡化させるプライマリーバランス(基礎 的財政収支)や対国内総生産(GDP)比で債務残高を引き下げてい くような具体的な財政健全化の目標を「常に持っていることは当たり 前の話だ」と強調した。インタビューは1月29日に行った。

その上で、鳩山内閣が現時点でそうした目標を掲げていないこと について「たばこを吸いながらタンクローリーに乗っているみたいで、 ちょっと怖い」ことだと述べ、何かのきっかけで日本の公的債務残高 に市場の「スポットライトが当たる」危険性があるとの認識を示した。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1月 26日、日本の長期債務の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」 に引き下げた。日本政府の債務残高は国債と借入金、政府短期証券を 合わせて2010年度末で973兆1626 億円に上る見込みで、政府が10 年度の経済見通しで示した約475兆円の名目国内総生産(GDP)の 2倍を超える。

現物市場で長期金利の指標とされる新発10年債利回りは1月8 日に、一時1.365%と昨年11月13日以来の高い水準まで上昇したが、

その後は1.3%台前半で推移。週明け1日は前週末に比べて1ベーシ スポイント高い1.325%で始まり、その後も同水準で推移している。

中期財政フレーム

政府は今年6月ごろに複数年度予算を視野に入れた経済財政運営 指針の「中期財政フレーム」を策定する。同フレームの中身に注目す る林氏は、消費税率引き上げを織り込まないで「どういうフレームに なるのか、ちょっと大変だと思う」と述べた。

その一方で、林氏は消費税を盛り込まない場合は、昨年のマニフ ェスト(政権公約)と同様に、「7兆円とか、10兆円無駄が出ますと 強弁するしかないだろう」と述べた。ただ、マニフェストは、10年度 予算編成で「事実上、破たんしている」と述べ、「7兆円削るところ が、実質2兆円なので、非常に糸の切れたたこのような結果になっ てしまった」と語った。

「中期財政フレーム」をまとめる仙谷由人国家戦略相は1月27 日の参院予算委員会で、中期的には公的債務残高の対GDP比を安定 的に引き下げていくことを念頭に議論する考えを示す一方、「確定的 な数字を入れた目標はなかなか容易ならざるを得ない」と慎重な見方 も示している。

選好が落ちる

林氏は、日本国債がこれまで市場の信認を得ていた理由として、 政府の財政健全化目標に加えて、他国と比べ日本の消費税率が現在 5%と低いため、今後引き上げる余地があると海外投資家などからみ られていると指摘。鳩山由紀夫首相は消費税の引き上げを今後4年間 行わない方針を示していることについては、「政治的意思がない」と 批判した。

こうした中、金利が上昇する契機について林氏は、債務残高の対 GDP比が200%にあるというという事実よりも、今の水準が「国内 の金融資産を超える境界で危ないと思っている」と述べ、 対GDP比 の目安としては住宅ローンなどの債務を差し引いた約1000兆円の個 人の純金融資産残高を挙げた。

林氏は、日本国債の消化を海外投資家に依存するようになった場 合、他国と比べて「日本国債はものすごく積み上がっている。マネジ ャー(政策責任者)は何かふらふらしている」と述べ、「他と比べる と、途端に選好が落ちるのではないか。非常に危ない感じがする」と 語った。

デフレ宣言は早過ぎた

林氏は、前回2001年のデフレ認定の際は、消費者物価の下落が2年 程度続いた後だったことを説明した上で、物価下落が 1年も続いてい ない段階で鳩山内閣が昨年11月に「デフレ宣言」を発表したことは、 「少し早過ぎた」と指摘。その結果、消費者マインドが悪化したと語 った。

また、政府のデフレ宣言により、消費者の買い控えなどが発生し、 今後物価下落が「少し加速し、本来デフレ認定しなければいけない状 態が今年の1-3月、4-6月に来てしまう」と述べ、そうなれば、 日本銀行は「何かやらなければならないかもしれない」との見方を示 した。

林氏は日銀が「この次に何かあった時のことは考えておられると 思うし、過去に量的緩和をしており、その検証をされていると思う」 と指摘。 日銀が06年3月まで採用した量的金融緩和政策については、 「私はある程度、効き目があった政策だと思っている」と述べ、前回 の問題点を改めた上で、「適時適切にためらうことなく必要ならやって もらいたい」と語った。

--取材協力 赤間信行 Editor:Hitoshi Ozawa,Masaru Aoki,Hidekiyo Sakihama

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