石油精製マージン:アジアで上昇、米で低迷-消費見込み明暗くっきり

米国ではニュージャージー州やニ ューメキシコ州などで製油所が過去30年で最も速いペースで操業を停 止している。一方、シンガポールのトレーダーらはインド西岸で新設さ れた製油所から利益を上げ、タンカーがジェット燃料を満載して台湾か ら米フロリダ州に向かっている。

ブルームバーグがアナリスト5人を対象に実施した調査によると、 精製後の燃料と原油との価格差である精製マージンを示すクラックスプ レッドは今年、シンガポールで50%上昇し1バレル当たり最大4.50 ドルとなる可能性がある。一方、ニューヨーク商業取引所(NYME X)の先物価格によると、米国の精製マージンは12月までに30%低下 すると予想されている。

これは、消費が欧米と比較して約13倍の伸びを示すとみられるアジ アで、石油各社やトレーダーがより高い利益を見込めることを意味す る。これが、米モルガン・スタンレーが台湾でジェット燃料を購入し、 1万1500マイル(約1万8400キロメートル)離れたフロリダ州エバ ーグレーズ港まで輸送しても利益を上げることができる理由だ。

三井物産のデリバティブマネジャー、上山晃氏は、ファンダメンタ ルな面から見て、アジアは現在、現物石油製品事業の中心だと指摘。シ ンガポールは数年以内に、石油製品の現物だけでなく、デリバティブ (金融派生商品)の主要な取引拠点として浮上する可能性があるとの見 方を示す。

国際エネルギー機関(IEA)によると、アジアの石油消費の伸び は今年3.3%と、欧米の0.26%を上回る見込み。欧米では1976年以 降、製油所は新設されていない。IEAは昨年6月、北米の製油所のう ち、約25%が2014年までに遊休状態になるとの見通しを示した。

米国の斜陽

ドイツ銀行は、アジアの精製マージンの上昇率は03年以降で最大 になると予想している。この年には前年比で89%上昇し1バレル当た り3.95ドルとなった。同銀は、インド最大の石油精製会社リライアン ス・インダストリーズと中国石油化工(Sinopec)の買いを推 奨している。

米石油精製会社バレロ・エナジーは、クラックスプレッドがニュー ヨークでの取引で過去1年間に46%低下したことから困難な状況に陥 っている。NYMEXの先物市場のクラックスプレッドは、12月限が

5.31ドルと、3月限の7.47ドルを29%下回る水準となっている。

新製油所

リライアンスはインド西岸でジャムナガル製油所を新設し、中国も 09年に日量約80万バレルの精製能力の稼働を開始した。米JPモルガ ン・チェースが昨年12月に顧客向けに発表した文書によると、今年は さらに150万バレルの精製が開始される見通しで、その大部分はインド と中国が占める。

石油生産各社がガソリンとディーゼル燃料の供給を増やすなか、製 油所の新設は利益拡大の最大のリスクになる。

ドイツ銀のアナリスト、デービッド・ハード氏(香港在勤)は 「世界の精製能力の過剰は09年と比較してわずかに緩和されるだろう。 ただ、マージンが急激に回復するほどではない」との見方を示した。

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