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ペットも高齢化する日本、肥満対策など市場拡大急-上位寡占(訂正)

犬24%、猫30%――。日本ペット フード協会の調査によると、自身のペットが「太っている」「やや太っ ている」と回答した飼い主の比率は全体の約4分の1に上る。日本人 の間に広がる高齢化、生活習慣病リスクの増大は寝食を共にする動物 たちにも及び、健康に配慮した食事などペット関連市場の拡大は急だ。

ペットフード協会の安田公俊事務局長は、「ペットの寿命が延びる 一方で室内飼いが主流となっており、運動不足のペットが多い」と指 摘。肥満など生活習慣病のリスクを抱えるペットが今後も増えると予 測され、「メーカー各社は高齢ペット向けの商品開発に注力し、実際に 売り上げも伸びている」と話す。

5年前に1億円程度だった高齢用ペットフード市場は、2008年に 122億円へ拡大、業界最大手のユニ・チャーム ペットケアの売上高 はこの3分の1強の46億円だ。同社が顧客調査などを通じて推計した ところ、10歳以上用のフード市場は最大710億円まで膨らみそう。同 社の山条省吾経営企画部長は、「高齢ペット向けフードは今上半期で前 年同期比29%増の19億円、グルメフードは同20%増の25億円と、予 想以上に好調」とし、注力分野の潜在力の大きさに手ごたえを感じる。

矢野経済研究所によると、ペット関連産業の市場規模は08年度に 1兆1371億円に達し、過去6年間で15%拡大した。いちよし経済研 究所の橋口和明アナリストは、ペット関連産業について「安定成長基 調にあり、中長期的に拡大トレンドが続く」との見方を示す。

大事な家族、みそ汁ご飯は卒業

08年の日本国内の犬・猫の飼育数は前年比5.1%増の2684万匹。 独身者が増える中、大切な家族として位置付けられ、ペットの長寿化・ 高齢化も進む。「ペットはそもそもがホビー(嗜好品)」と語るのは、 ゴールドマン・サックス証券の田中克典アナリストだ。食料品や生活 必需品分野では低価格の独自企画商品(プライベートブランド)が選 好されている半面、ペット用品は嗜好性が高く、「安いものを求める動 きはそんなに出てこない」と、同氏は言う。

業界最大手で11%のシェアを有するユニペットは、10歳以上の犬 用フードの店頭価格を1キログラム当たり336円と設定、市場平均(同 184円)より8割高く販売している。チワワなど犬種別フードでは同 798円と、市場平均の4.3倍。同社執行役員の松岡逸海氏は、「昔はご はんにみそ汁をかけてペットに食べさせたりしていたが、ペットは大 事な家族。ヘルシーでおいしいものが選ばれる」と指摘する。

旅行も一緒、病院通いや保険加入も

ペット同伴の宿や愛犬の運動施設を運営するベリークルーズ(千 葉県館山市)は4月、静岡県修善寺の高級老舗旅館「絆(きずな)」を 愛犬家の富裕層向け施設にリニューアルオープンさせた。1人1泊5 万円台の部屋もあるなど値も張るが、広報担当の高橋幸弘氏によると、 週末はほぼ満室状態、年末年始は既に予約でいっぱいだ。「10月はテ レビ番組2件で取り上げられたこともあり、宿泊客が増えた。10月の 稼働率は60%台後半、11月は60%前後」と話す。

日本ペット宿協会の事務局長で、「ペット宿.com」の藤野宇一郎社 長によると、全国の宿泊施設でペットと一緒に泊まれる宿は全体の

1.5%。ペット同伴で旅行に出かけた経験を持つ飼い主も約30%にと どまるが、最近は「経営悪化で閉館した温泉宿をペット同伴宿に再生 したところ、ペット可に切り替えた部屋から予約が入る現状も出てき ている」という。飼い主とペットの関係がより密になる中で、受け入 れ施設側も変容、家族旅行の形態も様変わりしつつある。

ペット保険を扱うアニコムは、2000年の開業から約10年で26 万 匹の保険を引き受けるようになった。ペットの高齢化で動物病院に通 う飼い主が増え、ここ数年で保険の普及が急速に進む。同社広報担当 の井上舞氏は、「顧客の約半数が保険の支払い請求をしている状況から 推測すると、顧客の約半数が月1回以上、動物病院に通院している」 との認識だ。

85社でシェア9割超、寡占化の下地

ペットフード協会によると、ユニペットのほかアイシア、はごろ もフーズ、日清ペットフード、日本配合飼料、花王など上場企業、傘 下企業が名を連ねる協会員85社で、ペットフード市場の9割以上を占 める。ゴールドマン証の田中氏は、ユニペットのシェアが10%を超え たのを契機に、業界構造が変わると予測。「ユニ・チャーム ペットが 売り場のカテゴリーリーダーを任されるようになると、彼らのマーケ ティング戦略が力を発揮、一段とシェアを高めていくサイクルに入る」 とし、今後は上位企業の寡占化が進むとみる。

ペット関連業界での存在感向上を見通すように、TOPIXが直 近安値を付けた今年3月12日以降、ユニペット株は11月27日まで 28%上昇。同期間の上昇率が16%のTOPIX、19%の東証食料品株 指数を上回る。ゴールドマン証では、向こう数年間のユニペットの売 上高成長率を年率10%、営業増益率を同20%と試算。「彼らの成長力 からみれば、来期の予想PER16倍は割安」と、田中氏は言う。

一方、コンサルティング会社JPRの服部憲一取締役は、「日本の 企業は良いものを多く作っている。海外に進出しないともったいない」 と強調。中国のペットフード関連メーカーが欧米展開を図っているこ とを例に、日本企業も世界で勝負すべきと提言する。米国のペット関 連市場は、およそ5兆円とされる。

ただ、これまでのペット関連行政は、生態系の保全やペットフー ドの安全性審査などに力点が置かれ、ペット関連産業の振興や育成を 担う司令塔が不在だった。服部氏は、「ペットビジネスを成長産業とと らえ、中小企業の側面支援をするため、経済産業省がもっと音頭を取 って欲しい」と話している。

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