11月30日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨の大半に対して下 落。ドバイ・ワールドの債権者は同社の損失を吸収できるとの楽観が 広がり、リスク資産への需要が高まった。

月間ベースでドルはユーロに対して下落。アラブ首長国連邦(U AE)の中央銀行は29日、ドバイ政府系持ち株会社ドバイ・ワール ドのデフォルト(債務不履行)の可能性に伴い損失に直面するUAE の銀行と国内の外銀を「支援する」と表明し、新しい融資制度の下で 追加資金の供給を実施すると発表した。

ドルは対オーストラリア・ドルで下落。午前に発表されたシカ ゴ購買部協会の11月の景況指数(季節調整済み)は2カ月連続で 景気の拡大を示した。連続拡大は約1年ぶりだった。

UBSの為替ストラテジスト、ブライアン・キム氏は「再びド ルへの売り圧力が強まってきた。UAEでの問題に支援策が提示さ れ、市場参加者は胸をなでおろしている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時現在、ドルは対ユーロで0.2%下げて 1ユーロ=1.5014ドル。前営業日は同1.4988ドルだった。月間ベ ー

スでは1.6%安。過去約5年で最長となる5カ月連続安だった。

円は対ユーロで0.1%下げて1ユーロ=129円80銭。前週末は 同129円67銭だった。円は対ドルで0.2%上昇して1ドル=86円 39銭。前週末は86円53銭だった。

オーストラリア・ドルは対米ドルで1.1%、ニュージーランド・ ドルは同0.8%それぞれ上昇した。投資家が低金利通貨で調達し高金 利通貨で運用するキャリー取引を増やすとの観測が背景。

11月の景況指数

シカゴ購買部協会の11月の景況指数(季節調整済み)は56.1と、 前月の54.2から上昇し、2008年8月以来の高水準となった。ブル ームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は53へ の低下だった。同指数は50が拡大と縮小の分岐点を示す。

アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の国営投資持ち株会社 ドバイ・ワールドは590億ドルの負債を抱える。ドバイ政府は25日 に、 債権者に「スタンドスティル(停止)」合意を求めるとともに債務償 還期限を少なくとも2010年5月30日まで繰り延べることを求めた。

クレジットサイツのアナリストは、UAEに対する米銀の投融資 は欧州の銀行に比べて「かなり管理できる範囲だ」と指摘する。

ドル指数

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は0.3%下げて74.765。月間ベースでは2%下げた。

オプション取引を基にブルームバーグがまとめた予想によると、 来年の3月末までに円がドルに対して14年ぶり高値の1ドル=84円 50銭をさらに上回るとの確率は80%に達する。

11月の月間ベースで円はドルに対して4.4%上昇した。円高によ り日本の輸出企業の利益が損なわれている。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は月間ベースの上昇幅 を拡大した。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系投資 会社、ドバイ・ワールドのデフォルト(債務不履行)の可能性に対す る懸念が後退したことが背景。英国籍ヨットの乗組員がイランで拘束 されたことを受け、原油相場が値上がりしたことも株価の支援材料に なった。

米銀ウェルズ・ファーゴとJPモルガン・チェースはともに上昇 し、金融株指数の上げをけん引した。同指数はS&P500種セクター 別10業種の値上がり率トップ。株式相場は取引終了にかけた1時間 で上げ幅を拡大。

ドバイ・ワールドが約260億ドルの債務再編のプロセスについ て銀行と「建設的」な初期交渉を行っていると発表したことを好感し た。主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数が0.3%低下した一方、原油相場は1.6%値上がりした。

アリエル・インベストメンツの副会長チャールズ・ボブリンスコ イ氏は「ドバイの状況に改善がみられることから安心感が広がってい る」と指摘。「先週時点では欧州の銀行が600億-800億ドルの損 失を被るかもしれないと思われたが、現時点では大事には至らないよ うにみえる」と述べた。

S&P500種株価指数は前週末比0.4%高の1095.63。11月の 上昇率は5.7%。S&P500種の金融株指数はこの日2.7%高。先週 末は2.7%下げていた。ダウ工業株30種平均は前週末比34.92ドル (0.3%)上昇の10344.84ドル。月間ベースでは6.5%値上がり。

米株式相場は下落する場面もあった。米年末商戦が失望を伴うも のになるとの懸念が背景。ディスカウントストア2位のターゲットは

2.4%安。米百貨店チェーン2位、メーシーズは3.9%下げた。

小売売上高

全米小売業協会(NRF)は、感謝際明け週末の消費者1人当た りの支出額は343.31ドルと、前年同期の372.57ドルを下回ったと 発表した。NRFはまた、同休暇期間の小売売上高は前年比1%減少 するとの見通しを据え置いた。

リッジワース・キャピタル・マネジメントのファンドマネジャー、 ドン・ワーデル氏は「感謝祭明けブラックフライデーの週末動向は現 在の株価水準を正当化するほど好調ではなかった」と指摘。「消費者 の収入はどこからくるのか?雇用はあふれていないのだ」と述べた。

アブダビとドバイの株価は下落

アブダビ証券取引所(ADX)株価指数は前営業日比8.3%安と ブルームバーグがデータを取り始めた01年以来の大幅な下げとなっ た。ドバイ金融市場総合指数は7.3%安と1年ぶりの大幅下落。30 日は、ドバイの発表後初の取引となった。

ドルは主要16通貨のうち11通貨に対して下落。ドバイ・ワー ルドのデフォルト懸念が後退したことから、高利回り通貨に対する需 要が膨らんだ。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物1月限は

1.6%上昇した。

◎米国債市場

米国債市場では長期債がほぼ変わらず。アラブ首長国連邦(UA E)の中央銀行が、ドバイ政府系持ち株会社ドバイ・ワールドのデフ ォルト(債務不履行)の可能性に伴い損失に直面するUAEの銀行と 国内の外銀を支援すると表明したものの、大きな材料にはならなかっ た。

10年債利回りは先週、ドバイ・ワールドが債務返済延期を債権 者に求めたことに反応し、10月2日以来の低水準を付けていた。米 財務省は来月3日、来週実施する3年債、10年債、30年債入札の発 行額を発表する。

ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)のチー フ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「ドバイ債務問題の悪影 響が広がることはなさそうだが、主要参加者のデフォルトの可能性は 投資家の脳裏に依然として存在する」と指摘。「運用担当者はリスク 資産の持ち高を減らし、押し目を利用して買いを入れている」との見 方を示した。

BGキャンター・マーケット・データによると、10年債利回り はニューヨーク時間午後4時2分現在、前週末比1ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下の3.19%。10年債(表面利 率3.375%、2019年11月償還)価格は2/32上げて101 18/32。

2年債利回りは2bp低下の0.66%。27日には一時0.61%と、 昨年12月17日に付けたこれまでの最低水準に近づいた。

ニューヨーク連銀は30日、プライマリーディーラー(政府証券 公認ディーラー)を参加させての「小規模かつ実質的価値」に基づく トライパーティー・リバースレポ取引を今後数週間以内に実施すると 発表した。実際に同取引が必要になった場合に備えての試験的導入だ としている。

「金融政策スタンスに変更なし」

同連銀は発表文書で、この試験的導入について「金融政策スタン スの変更を意味するものではない。また今後の金融政策スタンス変更 のタイミングについていかなる推論もされるべきではない」と言明し た。

リバースレポについて米連邦準備制度理事会(FRB)の当局者 は、金融システムから余剰資金の引き揚げを開始するために活用する 可能性があるとの認識を示している。

グッゲンハイム・パートナーズの米金利トレーディング責任者、 トム・ディガロマ氏は「システムを試験するというのは、米金融当局 としては懸命な動きだ」としながらも、「実施ははるか先のことだ。 結局はたいした出来事にはならないだろう」との見方を示した。

ドバイ・ワールド

BNPパリバ・セキュリティーズの金利ストラテジスト、サブラ ト・プラカシュ氏は「ドバイ問題はまだ解決していないが、市場では 最悪の事態を想定した取引が行われてきた」と指摘。「特に今は入札 規模の発表を控え、ロング(買い持ち)ポジションを取る動きは消極 的だ」との見方を示した。

ドバイ・ワールドは先週、債権者に「スタンドスティル(停 止)」合意を求めるとともに債務償還期限を少なくとも2010年5月 30日まで繰り延べることを求めた。

シティグループは、先週の上昇で売りの機会が訪れたと指摘する。 金利戦略世界責任者のマーク・スコフィールド氏は30日付のリポー トで、「最近の上昇を受け、投資家には10年に向けて新たなショー ト(売り持ち)ポジションを建てる素晴らしい機会となるだろう」と 指摘。「われわれはこれまで利回り3.10%が新たなショート・ポジ ションを建てる上での良い目標水準とみてきた。過剰流動性に伴い相 場上昇が行き過ぎるリスクはあるものの、この見方は依然有効だ」と 記した。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は上昇。月間ベースでは2008年11月 以来で最大の上昇率となった。ドルの下落を受け、代替投資先として の金の需要が高まった。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は一時0.7%下落。一方、金は年初から34%上昇しており、 このままいけば年間ベースで9年連続上昇となる。27日には1オン ス=1196.80ドルと、過去最高値を更新した。

商品調査会社ロジック・アドバイザーズ(ニュージャージー州) のパートナー、ウィリアム・オニール氏は「金は代替通貨と見なされ ている」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 2月限は前週末比6.80ドル(0.6%)高の1オンス=1182.30ド ルで取引を終了した。月間ベースでは14%高と、08年11月以来 の大幅な上げとなった。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は上昇。英国籍のヨットの乗組員5人がイ ランで拘束されているとの英政府の発表に加え、シカゴ購買部協会が 発表した景況指数が2カ月連続で上昇したことが材料視された。

原油相場は一時2.6%上昇。英政府の発表によると、同ヨット はバーレーンからドバイに向かう途中に、イラン海軍にだ捕された。 シカゴ購買部協会が発表した11月の景況指数は56.1と、2008年 8月以来の高水準となった。同指数は50が拡大と縮小の分岐点を示 す。

米コンサルタント会社ショーク・グループ(ペンシルベニア 州)のスティーブン・ショーク社長は「原油相場は英国籍ヨットがイ ランで拘束されたニュースに反射的に反応したようだ」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物1月限は前 営業日比1.23ドル(1.62%)高の1バレル=77.28ドルで終了し た。月間ベースの上昇率は0.3%。年初からは73%上昇している。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は下落。アラブ首長国連邦(UAE)の中央銀行が、 ドバイ政府系持ち株会社ドバイ・ワールドのデフォルト(債務不履 行)の可能性に伴い損失に直面するUAEの銀行と国内の外銀を支援 すると表明したものの、一部投資家の間では懸念が解消されず売りが 優勢となった。ダウ欧州600指数は、月間ベースでは上昇した。

同指数は27日、前日比1.2%上昇していた。30日の市場では、 英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS) が安い。米銀JPモルガン・チェースによれば、ドバイ・ワールド向 け協調融資取りまとめでは、RBSが2007年1月以降では最大手。 アイルランド銀行は5.3%安。アイルランドの国家資産管理機関(N AMA)、いわゆるバッドバンクに売却するローンに絡み34億ユー ロの損失を計上する可能性があると発表したことが嫌気された。

ダウ欧州600指数は前週末比1.4%安の239.17。今月は1% 高となった。UAEの中銀は29日、UAEの銀行と国内の外銀に対 し、現地の3カ月物指標金利を50ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)上回る金利で資金が調達できる制度を提示した。

TDセキュリティーズの新興市場担当チーフストラテジスト、ビ ート・シーゲンターラー氏(ロンドン在勤)はブルームバーグテレビ ジョンとのインタビューで、「市場が求めていた最善の解決策でない ことは確かだ」と指摘。「市場が予想していたことではあるが、それ 以上のものではない。問題はドバイ・ワールドなどの政府系企業が今 後どうなるのか、支援を受けられるのかだ」との見方を示した。

30日の西欧市場では、18カ国のうち15カ国で主要株価指数が 下落。ダウ・ユーロ50種指数は前週末比1.3%安、ダウ欧州50種 指数は1.2%下げた。

RBSは4.5%安。住宅ローン英最大手のロイズ・バンキング・ グループは5.9%下落。英スタンダード・チャータード銀行は2.4% 下げた。モルガン・スタンレーは、ドバイ債務再編の余波で最も大き な影響を受けるのは英国の銀行だと指摘している。

アイルランド銀は5.3%安。同行は、NAMAへのローン売却で 30%の割引を適用した場合に34億ユーロの税引き前損失を計上する 可能性があることを明らかにした。アライド・アイリッシュ銀行は

5.5%値下がりした。

◎欧州債券市場

欧州債はほぼ変わらず。アラブ首長国連邦(UAE)の中央銀行 が、政府系持ち株会社ドバイ・ワールドのデフォルト(債務不履行) の可能性に伴い、支援策を発表したことがきっかけとなり、欧州債は 伸び悩んだ。

ドイツ10年債利回りは月間ベースで低下した。先週はドバイ・ ワールドによる債務返済繰り延べ要請を手掛かりに上昇した。欧州 連合(EU)統計局(ユーロスタット)が発表した11月のユーロ 圏消費者物価指数(速報値)は前年同月比0.6%上昇と、7カ月ぶ りのプラスとなった。

ブルームバーグがまとめた予想によると、12月3日の欧州中央 銀行(ECB)定例政策委員会では政策金利の据え置きが見込まれ ている。

RIAキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ニッ ク・スタメンコビッチ氏は「UAEからの支援策が債券投資の魅力 を損ねた。投資家はECBの金利決定会合を前に相場の大幅な上昇 は歓迎していないだろう」と述べた。

ロンドン時間午後5時30分現在、10年債利回りは前営業日比 1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)下げて3.16%。 月間では7bp下げた。同国債(表面利率3.25%、2020年1月償 還)価格は前日比0.06ポイント上げ100.78。2年債利回りは1b p上げて1.25%。

UAE中銀は電子メールを通じて声明を発表、UAEの銀行と 国内の外銀を「支援する」と表明した。同支援策によると、銀行は 当座勘定と直結した特別融資制度を利用できることになり、現地の 3カ月物指標金利を50ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)上回る金利で資金を調達できる。

◎英国債市場

英国債市場は上昇。10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01ポイント)低下の3.52%。2年債利回りは3bp低 下して1.16%。

イングランド銀行のデータによると、海外投資家による先月の英 国債買い越し額は86億ポンド(1兆2000億円)と、2月以来の最 大となった。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Yoshito Okubo 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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