【コラム】T・ウッズ事故、スーパースターに問われる責任-ソシュニ

【コラムニスト:Scott Soshnick】

11月30日(ブルームバーグ):米プロゴルファーのタイガー・ウ ッズ選手はいつも、崇拝するファンから至近距離のロープの内側でゴ ルフに没頭しているが、今度は憩いの場所から外に出ることを迫られ ている。今回だけは他に方法はない。

タイガー、あの晩一体何が起ったんだい-。世界で最も人気のあ るスポーツ選手のファンは、憶測ではなく確かな事実を彼自身の口か ら聞くことを望んでいる。彼らは少なくともその資格があるはずだ。 真の愛情は相互の交流を求める。彼らの愛は報われないのだろうか。

報われないファン

ファンはウッズ選手のグリップやショットを見る権利を確保する ためだけに縦20列も並ぶことがある。大挙して何度も現れては「ナ イキ」ブランドの帽子やシャツ、靴を誇示し、「ゲータレード」での どの渇きをいやす。彼らがそうするのは、ウッズ選手がナイキを着用 し、ゲータレードを好むからだ。

これまでファンから質問が飛ぶことはなかったが、今回はウッズ 選手に質問が投げ掛けられている。その多くは、自宅の外で自動車の 自損事故を起こした27日未明、彼に何が起ったかを問うものだ。

たとえ最もプロ意識の強いスポーツ選手であっても、未明の時間 帯のつぶれたキャデラックとの組み合わせは、輪転機を止めるほどの ニュースではない。しかし今回の場合、スポーツ専門局ESPNでは なく、CNNの出番だ。ウッズ選手といえば、生涯獲得賞金とコマー シャル契約料などの合計額が10億ドル(約867億円)を超えた最初の 選手だからだ。

10億ドルのプレーヤーの責任

フロリダ州コーラル・ゲーブルズを拠点とするスポーツ・アン ド・スポンサーシップスのプレジデント、スコット・ビーチャー氏は 「タイガーがほとんど発言しないことや私生活を他人に知らせないこ と自体は容認できる」としながらも、「沈黙を保つことは話が別だ」 と話す。

わたしは猥雑(わいざつ)な内容ではなく、ウッズ選手自身が何 かを語ることを期待している。彼は事故の責任が自分にあると認め、 ゴルフクラブでリアウインドーをたたき割って救出してくれた妻のエ リンさんをたたえる声明を発表したが、このあいまいな内容の声明を 含めて、われわれは断片的な情報しか提供されていない。

警察当局者と会う予定を29日に再びキャンセルしたウッズ選手 は「これはプライベートな問題であり、そうしておきたい」と述べた。 警察によれば、事故の原因はアルコールの摂取ではない。ウッズ選手 がしばらく意識を失っていたと伝えられていただけに、それは良いニ ュースだ。

ニュージャージー州イーストラザフォードの「16Wマーケティ ング」の共同創業者、スティーブ・ロスナー氏は「何が起ったかにつ いてタイガー自身が今後24時間以内に声明を出すことが決定的に重 要だ。個人的な問題であることは分かるが、彼の自身の口から説明を 行うことが良い印象を与えるだろう」と話す。

だが、有利か不利かは忘れてほしい。ウッズ選手のようなウエア を着て、ウッズ選手のようにプレイしたいと望む人々に対する責任を 感じないのかどうか、疑問を抱かざるを得ない。

プライバシーなど存在しない

ウッズ選手を理解するには、ちょっとした過去の教訓を知る必要 がある。1997年に雑誌GQの記者に私室を公開し、際どいジョーク が記事になった事件だ。ウッズ選手はその後、私生活をガードするよ うになった。自分のヨットを「プライバシー号」と命名したのもその ためだ。昨今、ファンの崇拝の対象となるスポーツ選手にプライバシ ーなど存在しないことを知っておくべきだ。

彼が注意深く練り上げた声明だけでは、今回ばかりは十分ではな い。ゴルフコースのウッズ選手はボールを自在に転がしたり、ホール からわずか数インチ手前で止めたり、ホールの底に沈めたりする正確 なコントロールの持ち主だ。

しかし、タイガー・ウッズほどの選手が最大のスピンを利かせて も、今回の出来事を制御することはできない。今度ばかりは駄目だ。 なぜなら、これがゴルフコースのロープの外の出来事だからだ。ウッ ズ選手はギャラリーのどよめきを聞くことにキャリアを費やしてきた が、今度はギャラリーが彼の声を聞く番なのだ。

(スコット・ソシュニク氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニ ストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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