長期金利、年明けにも1%に低下-世界的金融不安や信用収縮リスクで

債券市場では長期金利に一段の低 下余地が出てきたとの指摘が出ている。国内の景気減速やデフレ長期化 の懸念のほか、世界的な金融危機の再燃や信用収縮リスクが高まってき たためだ。過去に金利の節目となった1.2%が当面のめどとなり、年明 けには2003年8月以来の1%割れに接近するとの見方もある。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは、先進各国は歴史的 なバブル崩壊後のバランスシート調整に直面しており、財政支出拡大に 伴う景気回復には限界があると指摘する。その上で、「金利は財政悪化 を受けて上昇するのではなく、政策効果が薄れる局面でファンダメンタ ルズ(経済の基礎的諸条件)悪化に沿って低下圧力がかかる」と言う。

長期金利の指標である新発10年国債利回りは11月10日の相場で

1.485%まで上昇したが、足元では1.2%台半ばで推移している。政府が 財政規律の維持を打ち出したことに加えて、前週にはアラブ首長国連邦 (UAE)ドバイ首長国の政府系持ち株会社が債務の返済繰り延べを要 請。円金利に対する低下圧力は内外から一段と強まっている。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダ ーは、日本国債市場のテーマが国内問題からグローバルに展開したと述 べた上で、「投資家にとっては債券買いのハードルが下げられた格好で 年末に向けてじわりと需要がにじみ出てくる」と話した。

年内の金利低下のめどとしては1.2%を挙げる声が多い。損保ジャ パン・アセットマネジメントの平松伸仁シニアインベストメントマネジ ャーは、当面は量的緩和時に推移した1.2%-1.6%のレンジの下限近 くでの低位安定が続くと指摘。日銀の低金利政策が長期化するとの見通 しのもと、「貸し出し難の銀行などの買いが活発化すれば、一時的に昨 年末に記録した1.155%に接近する可能性もある」という。

年明けに1%の大台接近も

10年債利回りは、04年以降の金利低下局面で常に1.2%前後が下限 となり、その後は上昇に転じるという展開を繰り返してきた。しかし、 ここにきて為替相場の円高進展によるデフレ圧力が1%割れの金利下振 れ要因になりかねないとの見方が出ている。

HSBC証の白石氏は、日米で今後2、3年にわたって事実上のゼ ロ金利政策が続くとなれば、両国の長期金利の格差縮小を通じて為替は ドル安・円高に振れやすいと予想。その場合にはデフレ圧力が強まると 言い、「景気回復モメンタムにピークアウト感が高まる来年1-3月期 には1%の大台を割り込んでもおかしくない」と予想する。

日銀による金融緩和観測も根強く残る。クレディ・スイス証券の河 野研郎債券調査部長は、円高が再び進展して政府がドル買い・円売り介 入に踏み切った場合に、日銀は市場の円資金を吸収しない非不胎化を行 う可能性があると指摘。また、介入がない場合の対応では短期国債の買 い入れ活用などが議論に乗りやすいともいい、「債券市場では短い年限 の安定を通じて長期金利にも低下圧力がかかりやすい」という。

03年から04年にかけての円高局面では政府が積極的に円売り介入 を行っており、ほぼ同時期に日銀は当座預金残高の目標を引き上げて量 的緩和を強化した。

一方、直近の市場で下火になりつつある需給悪化への懸念が引き続 き金利低下の足かせになるとの指摘もある。みずほ証券の三浦哲也チー フマーケットアナリストは、これまでの金利低下局面で景気減速リスク や時間軸長期化への期待を織り込んだと指摘。「今年度第2次補正予算 と来年度当初予算編成の過程で増発懸念が高まれば、年内に1.4%手前 まで調整する場面もありそうだ」と警戒する。

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