【今週の債券】上昇か、長期金利は今年度最低更新も-円高で景気懸念

今週の債券相場は上昇(利回りは 低下)しそうだ。急激な円高進行で景気の先行き懸念が強まるなか、中 東で発生した信用不安問題もあって投資家はリスク回避に傾いており、 債券買いの展開となりやすい。長期金利の指標である新発10年債利回 りは10月上旬につけた今年度最低の1.24%を下回る可能性がある。

JPモルガン・アセット・マネジメントの国部真二債券運用部長は 「ドバイ問題で世界的なリスク資産回避の動きがある。円高が進み、政 府のデフレ宣言もあり、日銀の金融緩和策の強化が見えてきているので 相場はさらに上値を試す可能性が出てきた」と述べた。

ブルームバーグ・ニュースが27日夕までに市場参加者4人から聞 いた今週の新発10年債利回りの予想レンジは全体で1.20%から1.30% となった。前週末の新発10年債(303回債)の終値は1.245%。10月6 日につけた1.24%を下回ると、今年1月以来の低い水準となる。

前週の債券相場は上昇。ドバイ首長国の政府系持ち株会社であるド バイワールドの資金繰り危機が表面化したことで、週末にかけてリスク 回避の動きが広がり、世界的に「質への逃避」による債券買いが膨らん だ。さらに為替市場での14年ぶりの円高・ドル安で、輸出企業の収益 悪化懸念が強まり、国内株価が急落したことも買い材料となった。

週初は30日で、月末に恒例となっている投資家が保有債券の年限 長期化を狙った買いが見込まれている。大和住銀投信投資顧問の伊藤一 弥国内債券運用第2グループリーダーは、「1.24%を突破すれば、週末 にかけて1.2%割れをうかがう場面もありそうだ」という。

10年入札が焦点、クーポン1.3%か

材料面では、12月1日に行われる10年利付国債の入札が焦点だ。 表面利率(クーポン)は、前回債より0.1ポイント低い1.3%が見込ま れている。相場が一段と上昇すれば1.2%の可能性も出てくる。発行予 定額は前回債より1000億円増の2兆2000億円程度。

DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンド マネジャーは、10年債入札について、足元で金利が低下していること への警戒感はあるとしながらも、「相場の地合いの強さを踏まえると、 入札結果が波乱を伴うことは考えにくい」とみている。

一方、シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、 「外部環境は債券相場のフォロー要因となっているが、投資家の動意は どちらかと言えば鈍い。それが入札をきっかけに変わるかどうかを確認 したい」と慎重な見方を示した。

11月30日には鉱工業生産が発表される。ブルームバーグ・ニュー スの予測調査では、10月の鉱工業生産速報値は前月比2.5%上昇と前月 (同2.1%上昇)から伸びが拡大する見通し。

もっとも、市場の関心は個別の経済指標よりも、急速な円高進行と 日本経済のデフレ状況に対する政府や日銀の対策に向けられており、債 券相場への影響は限定的となりそうだ。30日付の日本経済新聞は、鳩 山由紀夫首相は29日、首相公邸で菅直人副総理・経済財政担当相、藤 井裕久財務相らと急激な円高や株安への対策を協議し、今年度第2次補 正予算案に盛り込む追加経済対策に、円高・株安対策を加えるよう指示 したと伝えた。

市場参加者の予想レンジとコメント

27日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは、以下の 通り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは303回債。

◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長

先物12月物139円40銭-140円20銭

新発10年債利回り=1.22%-1.30%

「月末の長期債需要が予想されるものの、10年入札を控えて一方 的な金利低下は考えづらい。ドバイショックは規模を考えれば世界経済 を揺るがすほどではない。流動性が潤沢ななかで、ショック後の回復も 早くなっている。円高や株安はすぐには戻らなくても、政府・日銀の対 策への催促とみれば加速しづらい。ここからの金利低下は債券の益出し 売りも警戒するべきだろう」

◎大和住銀投信投資顧問・伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダー

先物12月物139円30銭-140円30銭

新発10年債利回り=1.20%-1.30%

「長期金利は低下余地を探る。ドバイ問題を受けて世界的な信用不 安が再燃したことが、投資家の債券買いを後押しするとみている。10 年債入札を前に週初には取引手控えもありそうだが、入札で需要が確認 できれば金利はじり安推移と見込む。10月6日につけた1.24%を突破 すれば、週末にかけて1.20%をうかがう場面もありそう」

◎DIAMアセットマネジメント・山崎信人エグゼクティブファンドマ ネジャー 先物12月物139円30銭-140円30銭

新発10年債利回り=1.20%-1.30%

「30日は保有債券の年限長期化の買いが入るだろう。金利が低下 しているので10年債入札には警戒感はある。一方、円高やドバイの資 金繰り問題が続く可能性があるので、全体的に相場はしっかりだろう。 経済指標面では、米国では2日の供給管理協会(ISM)製造業景況指 数、4日の雇用統計、日本では10月の鉱工業生産が注目される」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの国部真二債券運用部長

先物12月物139円25銭-140円75銭

新発10年債利回り=1.20%-1.30%

「ドバイ問題で、世界的なリスク資産回避の動きがある。円高が進 み、府のデフレ宣言もあり、日銀の金融緩和策の強化が見えてきている ので、上値を試す可能性が出てきた。月末の年限長期化の買いも入って いる。10年債入札では、クーポンは1.3%だろう。しかし、日銀の金融 緩和強化見通しを背景に、入札後には1.20%を試すのではないか」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Kazu Hirano

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