11月27日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場はドルが大半の主要通貨に対して上 昇。ドバイが債務返済の繰り延べを要請したことを受け、ドル・キ ャリー取引(ドルを借り入れ高利回り資産に投資する取引)の解消 が進んだ。

円は対ドルで一時14年ぶり高値を付けたが、その後値下がり。 藤井裕久財務相が、欧米諸国の通貨当局と連絡を取り為替に関する 共同声明を出すことも含めて臨機応変に対応すると述べたことを受 け、日本が為替介入に動くとの観測が広がった。共同通信は27日、 日銀が同日の東京外国為替市場で、金融機関の市場担当者に為替取 引の水準などを聞く「レートチェック」を実施したことが市場関係 者の話しで分かったと報じた。円高が進む市場への口先介入との見 方もあると共同は伝えている。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RB S)の為替ストラテジスト、ポール・ロブソン氏は「市場はドバイ 問題の影響を過小評価したようだ。短期ポジションの手じまいを急 ぐ動きが見られる」と指摘。「われわれはドルの状況が良くなって いると考えてはいるが、このリスク資産の売りは行き過ぎだ」と述 べた。

ニューヨーク時間午後3時28現在、ユーロはドルに対し1ユ ーロ=1.4960ドル。前日は1.5019ドル、前週末は1.4862ドルだっ た。円は対ドルで前日比0.1%安の1ドル=86円69銭。一時84円 83銭と、1995年7月以来の高値を付ける場面もあった。ユーロに 対しては1ユーロ=129円70銭(前日は128円85銭)。一時126 円91銭と、4月29日の高値を付けた。

ドルは主要16通貨中13通貨に対して上昇。対韓国ウォンで

1.7%、対オーストラリア・ドルでは0.8%それぞれ上げた。

「システミックリスクへの懸念」

UBSのアナリスト、ガレス・ベリー氏(シンガポール在勤) は「システミックリスクへの懸念と米国の休暇シーズンに伴う流動 性の低下が相まって、可燃性の混合ガスのような状態になってい る」と指摘。「ドバイ債務問題の余波拡大は、市場とリスク選好の 双方が依然としていかに脆弱(ぜいじゃく)かということを示し た」と述べた。

590億ドルの債務を抱えるドバイ政府系投資持ち株会社ドバ イ・ワールドは今週、全債務について支払い繰り延べを債権者に求 めた。返済繰り延べの交渉を進める間、全債権者に対し「静止合 意」を求める。

藤井財務相の発言

BNPパリバの為替ストラテジスト、セバスチャン・ゲーリー 氏(ニューヨーク在勤)はドル・円相場について、「対円でのドル 押し下げの動きには非常に驚いている」と言及。「藤井財務相は欧 米諸国の通貨当局と連絡を取ると述べたが、これは本気だ」との見 方を示した。

ゲーリー氏は「円売り・ドル買い」を推奨。ドルが対円で14 年ぶり安値付近という現在の水準は、1年超の長期で見れば「プラ ス」だと説明している。

ウェルズ・ファーゴの為替ストラテジスト、ヴァシーリ・セレ ブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は「ドルが円に対し、1ドル= 85円を超えて下げた場合、介入の確率は大きく高まる」と指摘し た。

◎米国株式市場

米株式相場は下落。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国 での債務返済問題が嫌気された。前日の米株式市場は感謝祭の休日 で休場、この日は午後1時までの短縮取引だった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)やJPモルガン・チェース は下落。前日は金融株を中心に売りが広がり、MSCI世界指数が 下落した。石油のエクソンモービルも安い。原油相場の値下がりが 売り材料だった。

ただロッチデール・セキュリティーズのアナリスト、リチャー ド・ボーブ氏は米国の金融機関によるドバイへの投融資は「最小 限」にとどまっていると述べたことから、米国株は下げ幅を縮小し た。

S&P500種株価指数は前営業日比2.1%安の1087.27。取引開 始後の15分では一時2.4%安まで売り込まれる場面もあった。ダ ウ工業株30種平均は154.48ドル(1.5%)下げて10309.92ドルだ った。MSCI世界指数は1%安。

フィフス・サード・アセット・マネジメントでチーフ投資責任 者として180億ドルの運用に携わるキース・ワーツ氏は、ドバイの 債務返済遅延要請について、「昨年の恐ろしい出来事を思い起こさ せる。われわれがまだ完全に危機を脱したわけではないことを思い 知らされた」と語った。

ドバイ・ワールド

ドバイ首長国の政府系投資持ち株会社ドバイ・ワールドは全債 務について支払い繰り延べを債権者に求めた。同社は590億ドルの 債務を抱えている。

米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは債 券保有者が条件受け入れを余儀なくされた場合、それをデフォルト (債務不履行)と見なすことも可能だと述べた。

金融株

BOAは3%安、JPモルガンも2%値下がりした。

金融株の動きに連動する上場投資信託(ETF)のファイナン シャル・セレクト・セクターSPDRファンド(XLF)は2.7% 安。一時は3.2%安まで売り込まれた。

シティグループとウェルズ・ファーゴもそれぞれ2.6%と2.5% 下落した。ゴールドマン・サックス・グループは2.8%の値下がり。

アクシオム・キャピタル・マネジメント(ニューヨーク)で14 億ドル相当の資産運用を監督するリアム・ダルトン社長は、「カウ ンターパーティーリスクの概念が広範にわたって再び台頭しつつあ るのか、もしくは一部地域に限定された単独の要素なのかを見極め るには、月曜日が非常に重要だ。この日は動向を見極めるには難し い日だ」と述べた。感謝祭明けのこの日はまだ休暇中の市場関係者 も多く、出来高はそれほど多くなかった。

ボーブ氏は顧客向けリポートの中でドバイの債務返済問題に関 連し、「ドルが安全資産としての地位を確保し続け、恩恵を受ける だろう。また米金融システムにとっても好影響を及ぼす可能性があ る。市場関係者は厳しく規制された金融機関を安全逃避先とみる可 能性があるからだ。米金融機関による直接投資は最小限にとどまっ ているとみられている」と述べた。

エクソン、ニューモント

石油のエクソンは2.1%安。同業のシェブロンも1.9%下落した。 この日のニューヨーク原油先物相場は10月14日以来の安値に落ち 込んだ。投資家がドバイでの債務問題を背景に商品に売りを出した。

産金のニューモント・マイニングも安い。ドル上昇に伴う代替 資産需要の減退を背景に金相場は下落した。

◎米国債市場

米国債市場では2年債が上昇。利回りは11カ月ぶりの水準に低 下した。ドバイが債務返済の延期を 要請したため、株式と高利回り資産が売りを浴びた前日の海外市場 を受けて買い優勢で始まった。26日の米国債市場は感謝祭のため 休場だった。

円が対ドルで14年ぶりの高値を付けたため、日本の通貨当局 が為替市場で円売り・ドル買い介入に踏み切るとの憶測が強まり、 介入資金が米国債に流れるとの思惑につながった。10年債は週間 ベースでは3週連続で上昇。エコノミストは米連邦公開市場委員会 (FOMC)が来年7―9月(第3四半期)まで事実上のゼロ金利 政策を維持するとみている。2年債と10年債の利回りは今月に入 って最大の低下となった。

フェデレーテッド・インベストメント・マネジメントの国債・ MBS担当共同責任者、ドナルド・エレンバーガー氏は「ソブリン 債が債務不履行に陥る可能性があることは非常に重大だ。リスク資 産を売却する場合、再び資金を振り分けるまで、一時的に資金が米 国債市場にとどまる」と指摘した。

BGキャンター・マーケット・データによると、2年債利回り はニューヨーク時間午後2時18分現在、前日比7ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)低下の0.68%。一時は0.61%と、昨年 12月17日以来の低水準を付けた。2年債(表面利回り0.75%、償 還2011年11月)価格は1/8上昇の100 1/8。

10年債利回りは7bp低下の3.20%。一時は3.15%まで低下 した。週間ベースでは17bp低下。8月14日に終わった週以来の 大幅な低下となった。

UBSのストラテジストのクリス・アーレンズ、ジーン・キュ ロ両氏は顧客向けリポートで、「依然として利回りは低下傾向にあ るものの、現時点では少し行き過ぎ感がある。今週の入札で買い持 ちにした参加者が、押し目で買うことを視野に入れながらも、少し 売りを出すことは妥当だ」と語った。

財務省短期証券(TB)3カ月物レートは1カ月物を0.032ポ イント下回った。これは2008年10月2日以来で最大。年末に向け て3カ月物が最も安全とみなされた。

アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系投資持ち株 会社ドバイ・ワールドは25日、返済繰り延べの交渉を進める間、 全債権者に対し「静止合意」を求めた。同社は590億ドル(約5兆 1700億円)の債務を抱えている。

MSCI世界指数は0.9%下げた。前日は1.4%安。S&P500 種株価指数もこの日、下げた。

入札は好調

今週実施された2、5、7年債の入札ではそれぞれ需要が強か った。米連邦準備制度理事会(FRB)が24日に公表したFOM C議事録が一因。当局者はインフレ期待が落ち着き、失業率が高水 準にとどまる限り、政策金利を「長期にわたり」ゼロ近辺で維持す ることを示唆した。

議事録によると、失業率については「FOMCメンバーの大半 が、この先数年間はかなりの高水準で推移する」と予測しており、 「インフレ率はFRBの長期的目標を引き続き下回る」と見込んで いる。

23日の2年債入札(規模440億ドル)では最高落札利回りがこ れまでの最低を記録。24日の5年債利回りは発行額が420億ドル と同年限としては過去最大となったが、需要は約2年ぶりの強さを 示した。25日の7年債入札も規模が過去最大となったが、落札利 回りは予想を下回った。

円売り介入観測

円はこの日、対ドルで1ドル=84円83銭と、1995年7月以来 の円高・ドル安水準まで買い進まれた。これを受け、日本の金融当 局が円高を抑制するため、為替介入を実施するのではないかとの懸 念が高まった。

大和証券SMBCの永井靖敏チーフエコノミストは日本当局が円 を売り、米国債を購入する可能性があると指摘。そうなった場合、 米国債のプラス要因になると述べた。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は下落。ドルの上昇を受け、代替投資 先としての金の需要が後退した。

主要6通貨のバスケットに対するICEのドル指数は反発。ド バイ首長国の政府系投資持ち株会社ドバイ・ワールドが債務の返済 繰り延べを債権者に要請したことが背景。この日は金以外の貴金属 も下げた。26日には金の現物相場は過去最高値に達した一方、ド ルは1年半ぶり安値まで下げていた。

スイスの金精錬業者、MKSファイナンスのチーフトレーダー、 バーナード・シン氏(ジュネーブ在勤)は、「市場はドバイ情勢に 左右されている。ドルの反発は金の下落につながる可能性が高い。 投資家は利益確定の金売りに動いている」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物2月限は前日比13.10ドル(1.1%)安の1オンス=1175.50 ドルで取引を終了した。金は前日までの9営業日で続伸し、過去 27年で最長の上げを記録していた。11月に値下がりしたのはわず か2営業日。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は下落。アラブ首長国連邦(UAE)ド バイ首長国での債務返済問題を背景にドルが上昇、投資家は商品に 売りを出した。

この日の原油は2.5%下落。ドルが上昇し、代替投資としての 原油の魅力が薄れたほか株式下落も売り材料だった。政府系投資持 ち株会社ドバイ・ワールドは債務について支払い繰り延べを債権者 に求めた。同社は590億ドルの債務を抱えている。

ドイツ銀行のエネルギー担当主任エコノミスト、アダム・シミ ンスキー氏(ワシントンDC在勤)は「ドバイ情勢で景気回復への 懸念が再燃した。景気回復の強さは原油需要と価格に直接影響を及 ぼす」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物1月限は前 営業日比1.91ドル安の1バレル=76.05ドルで終了した。前日の 原油先物取引は米感謝祭の休日につき通常取引は行われなかった。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇。ダウ欧州600指数は前日の7カ月ぶり大 幅安から反発した。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政 府系投資会社ドバイ・ワールドの債務返済遅延要請をめぐる市場の 懸念が和らいだことが背景。

ドバイ・ワールド向け協調融資取りまとめで2007年1月以降 の最大とされる英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グ ループ(RBS)は5.2%高。ドイツのフォルクスワーゲン(V W)は自動車株の上げを主導した。

ダウ欧州600指数は前日比1.2%高の242.60で終了。朝方は

1.8%下げる場面もあった。前日は、ドバイの債務問題が2001年に アルゼンチンが起こしたような国家債務不履行に展開するとの懸念 から、4月以来の大幅安となっていた。

MFCグローバル・インベストメント・マネジメント(ロンド ン)の欧州株式責任者、デービッド・ハシー氏は、「さまざまな憶 測が飛び交ったが、現時点ではドバイの債務問題はUAE内部で解 決できそうだと市場はみている」と指摘。「アブダビはおそらくド バイを救済できるだろう。現時点での報告によると、銀行のエクス ポージャーも管理可能な範囲だと聞いている」と語った。

27日の西欧市場では、18カ国のうちルクセンブルクとアイス ランドを除く16市場で主要株価指数が上昇した。ダウ・ユーロ50 種指数は前日比1.1%上昇、ダウ欧州50種指数は1%上げた。

ドバイ証券取引所が最大の株主であるロンドン証券取引所 (LSE)は2.9%上昇。前日は4月以来の大幅安だった。ドバイ が一部を保有する航空宇宙・防衛関連企業EADSは2%上昇。

自動車用ケーブル製造でドイツ最大のレオニは4.2%高。シュ ブルーが同銘柄の投資判断を「アンダーパフォーム」から「アウト パフォーム」に引き上げたことが背景。

欧州エンジニアリング最大手、ドイツのシーメンスは1.3%高。 同社の補聴器事業の価値が最大30億ユーロ(約3870億円)と推定 されており、同事業に対して米KKRとBCパートナーズなどのプ ライベートエクイティ(未公開株、PE)投資会社が関心を示して いることが背景。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場がほぼ変わらず。アラブ首長国 連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系企業が債務返済の延期を求め たことが投資家心理に影響を及ぼしたことが支援材料となったもの の、この日発表されたユーロ圏景況感が改善を示したことから、相 場は結局上げを消した。

独10年債利回りは7週間ぶり低水準まで下げた後、上げに転 じた。欧州連合(EU)の欧州委員会が27日発表した11月のユー ロ圏景況感指数が約1年ぶり高水準となったことがきっかけだった。 独10年債とギリシャ10年債の利回り格差(スプレッド)は今週初 めて縮小した。イタリアは10年債を26億3000万ユーロ入札した。

カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロ ンドン在勤)は、「アブダビがドバイを救済し、早急に問題が解決 されるとの観測が投資家の間で広がり、相場は若干下落した」と語 った。

ロンドン時間午後4時45分現在、10年債利回りは3.16%と、 前日からほぼ変わらず。一時は先月8日以来の低水準となる

3.11%を付けた。同国債(表面利率3.25%、2020年1月償還)価 格は前日比0.02ポイント下げ100.72。週間ベースでは9ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。

一方、ギリシャ10年債利回りは6bp低下の5.12%となり、 独10年債とのスプレッドは194bpに縮小した。

◎英国債市場

英国債市場では、10年債利回りは3.54%となった。一時は前 日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げ3.48%と、 先月14日以来の低水準を付ける場面もあった。20日は3.64%だっ た。

同国債(表面利率4.5%、2019年3月償還)価格は0.12ポイ ント下げ107.51。一方、2年債利回りは3bp上昇の1.19%。週 間ベースでは4bp下げた。

バイエルン州立銀行のシニア債券ストラテジスト、マリウス・ ダハイム氏(ミュンヘン在勤)は、「ドバイの金融危機は世界的な 出来事だ。英利回りが他国債利回りとともに低下したのは驚きでは ない」と述べ、「英国のファンダメンタル(経済の基礎的諸条件) は悪いことから、投資家が安全を模索するなかで、相場上昇への障 害とはならない」と付け加えた。

メリルリンチの英国債指数によれば、6月末以来の英国債のリ ターン(投資収益率)はプラス3.9%。同期間のドイツ国債は

2.9%のプラスとなっている。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Yoshito Okubo 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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