今日の国内市況:ドバイ危機で株大幅安、債券上昇-円14年ぶり高値

東京株式相場は大幅続落し、日経 平均株価が二番底を形成した7月13日の安値(9050円)に接近した。 ドバイ首長国の資金繰り懸念が浮上したことを受け、大成建設や近畿車 両、コマツなど中東関連銘柄が総じて売られ、為替市場での円高加速を 背景にホンダやファナックなど輸出関連株も安い。

日経平均株価の終値は前日比301円72銭(3.2%)安の9081円52 銭。下落率は3月30日(4.5%)以来、およそ8カ月ぶりの大きさ。 TOPIXは同18.55ポイント(2.2%)安の811.01。両指数ともこの 日の安値圏で終えた。

26日の欧州株式相場は、主要株価指数が軒並み急落。アラブ首長 国連邦(UAE)のドバイ首長国の政府系投資持ち株会社ドバイ・ワー ルドが、全債務について支払い繰り延べを求めたことを嫌気した。欧州 株安は南米市場の取引にも影響、ブラジル株も過去2週間で最大の下げ を演じ、通貨レアルも急落。新興国市場に高い投資リターンを求めてき た投資家の動きが目先急変する兆しを見せている。

この日の東京市場では、中東諸国のインフラプロジェクトに関与し た企業群や、中東地域でビジネス展開する銘柄が売り込まれ、東証1部 の下落率上位には鹿島、近畿車両、日機装、大林組などが並んだ。東洋 エンジニアリング、千代田化工建設、酉島製作所も安い。

一方、東京外国為替市場では朝方に円買い・ドル売りの動きが一段 と加速、円相場は1995年7月以来、14年ぶりに1ドル=85円台を突 破した。対ユーロでは一時126円台後半まで円高が進行。急激な円高 は輸出企業の収益悪化や輸入物価の下落を通じ、日本経済に打撃を与え るとの警戒感もみられた。

トヨタ自動車やホンダ、キヤノン、ソニーなど主要輸出関連株が売 られ、世界的な信用不安の再燃懸念を背景に三井住友フィナンシャルグ ループなど3大金融グループも下落。野村ホールディングスなど証券株 も安い。国際商品市況や運賃市況の下げを嫌気し、商社や海運も下落、 鉄鋼株も下げが目立った。

日経平均での下値支持線と見られていた200日移動平均線(9372 円)をあっさりと割り込み、次の下値めどが注目された。3月10日の バブル後安値7054円(終値)から8月26 日の年初来高値1万639円 までの上昇幅に対し、黄金分割比で38.2%に当たる9200円台を終値で 維持できるかに焦点が集まったが、この水準も下回って終了。3月安値 を大底とし、二番底となった7月13日安値(9050円)にも迫り、仮に これを下回れば、テクニカル分析上はめどが立たなくなる。

東証1部の売買高は概算で22億5673万株、売買代金は1兆3582 億円。値下がり銘柄数が1282、値上がりは309。業種別33指数は31 業種が下落、電気・ガスとパルプ・紙の2業種のみ上昇。

債券先物9カ月ぶり高値、円高進展やドバイショック

債券相場は上昇(利回りは低下)。先物相場は中心限月として9カ 月ぶり高値圏での推移となった。ドル安・円高に伴って景気減速やデフ レ深化の観測が広がったほか、ドバイ首長国の資金繰り懸念を背景に安 全資産とされる債券が買われた。

東京先物市場の中心限月12月物は前日比40銭高い139円90銭で 始まり、中心限月として2月23日以来の高値を記録。いったんは売り が膨らんで139円67銭まで伸び悩だが、午後には再びじり高に推移し て、結局は32銭高の139円82銭で取引を終えた。

この日の東京外国為替市場では円が対ドルで一段と上昇。一時は1 ドル=84円83銭を付け、1995年7月以来、約14年ぶりの円高水準を 記録した。その後の日中取引で円は86円台半ばまで反落する場面もあ った。

さらに、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系持ち株 会社の資金繰り問題が発生したことも、債券市場で買い材料視されてい た。

ドバイ首長国の政府系投資持ち株会社ドバイ・ワールドが25日に 債務返済延期を要請したことで、高収益を求めて新興市場に資産を投じ ていた投資家に動揺が広がり、前日の欧州株式相場はこの7カ月で最大 の下げとなり、一方で債券相場は大幅に上昇していた。

現物市場で新発10年物の303回債利回りは、前日比2ベーシスポ イント(bp)低下の1.26%で開始。新発10年債としては10月8日以 来の低い水準を更新しており、午前は1.255-1.26%で推移となった。 午後には3.5bp低下の1.245%まで買い進まれている。

市場では、円高進展に伴う国内景気の先行き不透明感に加えて、ド バイ首長国の債務問題に関する懸念も債券買いの材料となった。

午前には地方銀行などの売りが憶測されるなど、外部環境が追い風 だったわりに投資家の買いは積極的でなかったが、午後は中期ゾーンを 中心に買われたもよう。

朝方に発表された消費者物価指数(CPI)ではデフレ基調が示さ れたが、この日の債券相場への影響は限定的だったようだ。10月の消 費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)は前年同月比2.2%低下。9月 の同2.3%から下落幅は縮小したものの、8カ月連続のマイナスを記録 した。また、食料(酒類除く)とエネルギーを除く「米国型コアCP I」は同1.1%低下して、前月の同1.0%低下からマイナス幅を拡大さ せた。

円、対ドルで一時14年ぶりの84円台に上昇

東京外国為替市場では円が対ドルで一時約14年ぶりとなる1ドル =84円台に突入した。ドルの先安観測や中東の信用不安を背景に円買 いが加速した。半面、市場では、通貨当局の円売り介入に対する警戒感 もくすぶっており、政府要人から円高をけん制する発言が相次ぐ中、円 は急速に上昇幅を縮小するなど、この日の相場は値動きが荒かった。

日本時間午後4時52分現在、ドル・円相場は1ドル=86円台前半 で推移している。相場は前日からの円買いの流れを受け継ぎ、朝方には 86円、85円の節目を次々と突破し、一時、84円83銭と1995年7月6 日以来の円高値を付けた。しかし、84円台の滞空時間は短く、午後に かけては86円に戻す展開となった。一時は東京時間の円安・ドル高水 準となる86円台半ばまで全値戻しとなる場面もあった。

ユーロ・円相場は1ユーロ=129円、128円、127円を連続的に割 り込み、一時は126円91銭と4月29日以来約7カ月ぶりの水準まで 円が対ユーロで上昇した。その後は128円台に水準を移しもみ合う展開 となった。

一方、ユーロ・ドル相場は朝方の1ユーロ=1.50ドル台前半から

1.48ドル台前半までユーロ売りが進行。アラブ首長国連邦(UAE) ドバイ首長国の政府系投資持ち株会社ドバイ・ワールドの資金繰り危機 が欧州金融機関に悪影響を及ぼすとの懸念が高まった。

藤井裕久財務相は27日午前の閣議後会見で、急激な円高が続いて いることについて、「一方的に偏った動きであることは間違いない」と した上で、欧米諸国の通貨当局と為替に関する共同声明の検討も含め て、臨機応変に対応を協議する方針を明らかにした。

菅直人国家戦略相も、急テンポの円高は景気の下押しになりかねな いとの懸念を示し、亀井静香金融・郵政担当相は「米や国際社会に対応 も止めるべき」と発言。午後には古川元久内閣府副大臣が、「政府とし てこのまま急激な円高が進むことは望ましくないとの認識で一致してい る」と強調した一方、市場では日銀による「レート・チェック」の話も 聞かれた。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は26日、欧州の 銀行がドバイ関連で計400億ドル(約3兆4700億円)相当のリスクに 直面していると報じた。ドバイ・ワールドは前日、全債務について支払 い繰り延べを債権者に要請。米格付け会社のムーディーズ・インベスタ ーズ・サービスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、繰り 延べ計画はデフォルト(債務不履行)と見なすことも可能だとして、同 国の複数の政府系企業を格下げした。

ドバイの資金繰り危機表面化を受け、26日の欧州株式相場は過去 7カ月で最大の下げを記録。この日の東京株式相場も大幅続落し、アジ アの主要株価指数も軒並み大幅安となっている。

中東の信用不安が浮上する中、外国為替市場ではリスク回避の動き から新興国通貨や欧州通貨などの売り圧力が強まっており、クロス円 (ドル以外の通貨の対円相場)で円の買い戻しが加速する展開となって いる。

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