10月失業率は5.1%、3カ月連続低下-有効求人0.44倍に改善

10月の国内雇用指標は、完全失業 率が予想に反して3カ月連続の低下となり、有効求人倍率も2カ月連 続で改善した。日本経済が輸出や生産を中心に持ち直しを続ける中、 雇用情勢は政府の支援策などもあり、悪化に歯止めがかかっている。

総務省が27日発表した労働力調査によると、10月の完全失業率 (季節調整値)は5.1%と前月から0.2ポイント低下した。完全失業 者数が前月から16万減少したことなどが低下の要因。完全失業率は7 月に過去最高の5.7%を付けた後、8月は5.5%、9月は5.3%に低下 した。厚生労働省が発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は

0.44倍と前月から0.01ポイント改善した。一方、新規求人数倍率は

0.78倍と前月から0.01ポイント悪化した。

菅直人国家戦略相は同日発表された完全失業率など一連の経済指 標について「多少明るい数字も出ている」とする一方、「急激な円高が 起きている。閣議の席でも多少の議論があった」ことを明らかにした。 菅氏は「今、日本経済は持ち直しと言われながらも自律性に乏しく、 厳しい状況にある中で、円高が急テンポで進めば、景気の下押し要因 となりかねない」と懸念を示した。

日本総研の枩村秀樹主任研究員は、雇用指標は「改善したものの、 基本的にはまだまだ厳しい」とした上で、「このまま完全失業率が4% 台に改善していくとは思えない」と語った。足元で進行している円高 が定着すれば1-2年にわたって輸出数量や生産の減少をもたらす可 能性があり、雇用にも当然マイナスの影響が及ぶとの見方を示した。

雇用情勢は一進一退か

今年7-9月期の日本の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、 前期比年率4.8%増と2四半期連続でプラス成長となったが、より生 活実感に近い名目GDPは前期比0.1%減(年率換算0.3%減)と6期 連続の減少となった。政府は25日、企業内での雇用維持のため、雇用 調整助成金の支給条件の緩和を12月から緊急実施することを決めた。

クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは、就業者 数が季節調整済み前月比で20万人減少したことなどに触れ、雇用情勢 は「明確な底打ち感がない」と指摘。その上で、「鉱工業生産は10- 11月までは回復基調を継続させるとみられるため、雇用が大幅な調整 に入る可能性は低いが、回復力は弱く一進一退となろう」との見通し を示した。

就業者数は21カ月連続減

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査の予想中央値は、 完全失業率が5.4%、有効求人倍率が0.44倍だった。男性の失業率は 前月から0.3ポイント低下の5.3%、女性は0.1ポイント低下の4.8%。

完全失業者数は344万人と前年同月比で89万人増加。失業者を求 職理由別にみると、倒産やリストラなどの「勤め先都合」が前年同月 比55万人増加と増加幅は前月に比べ4万人拡大。「自己都合」も同6 万人増加した。就業者数は6271万人と同117万人減少と21カ月連続 の減少となった。

就業者数を産業別にみると、製造業が1050万人と前年同月から 88万人減ったほか、職業紹介・労働者派遣業は97万人と同25万人減 った。総務省の栗原直樹・労働力人口統計室長は記者説明で、10月は 製造業の就業者数の減少が拡大したことを挙げ、全体としては厳しい 状況を反映しているとの見方を示した。また非労働力人口は前年比32 万人増加し、4438万人となった。

失業率6%に届く可能性も

明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「今後は正社 員の雇用調整圧力が残ること、公共投資の削減によって建設業従事者 の転職に伴って発生する『摩擦的失業』が増加する懸念がある」と指 摘。完全失業率は「年度末までに6%に届く可能性はある」とみる。

小玉氏は、雇用調整助成金は企業内の雇用維持に「強烈な効果が あり、これがなければ失業率はとっくに6%を超えていた」とする一 方、「生産は元の水準に戻らない限り、そこに張り付いている雇用に調 整圧力がかかる」との見方を示した。

現行制度で支給を受けるためには、生産量・売上高が直近3カ月 または前年同期と比べ原則5%以上減少していることが要件となって いる。生産活動は低水準ながらも3月以降は持ち直しているため、一 部の企業では同要件を満たせなくなる恐れがある。

消費支出

総務省が27日発表した10月の家計調査によると、2人以上の世 帯の消費支出は前年同月比1.6%増加した。エコノミスト調査の予想 中央値は同0.7%の増加だった。季節調整済み前月比も0.7%増加した。 10月の消費支出の増加に寄与した品目は、自動車・自動車関連用品、 テレビ、パソコンなど。

大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは「引き続きエコポイン ト・エコカー減税といった経済対策関連の耐久財消費が消費全体を押 し上げている格好」と指摘し、「また、新型インフルエンザの流行の影 響で、先月と同様に保険医療サービス、医薬品が押し上げに寄与して いる」と分析する。

熊谷氏は当面は「政策効果による耐久財消費に下支えされ、所得 から上振れる形で、個人消費が底堅く推移する可能性も十分にあろう」 とする一方、「所得環境の停滞は当面続く可能性が高く、個人消費の自 律的な成長は期待できない状況が続く」とみる。

10月の景気ウオッチャー(街角景気)調査によると、3カ月前と 比べた景気の現状判断DIは40.9と、9月の43.1から低下した。新 型インフルエンザへの懸念、商品やサービスの低価格化の拡大、9月 の大型連休での需要増の反動などの要因が、家計関連部門を中心に判 断を押し下げた。

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午後零時10 分現在、1ドル=85円96銭。発表直前は同85円76銭近辺で推移し ていた。東京株式市場の日経平均株価の午前終値は前日比169円73 銭安の9213円51銭。債券相場では東京先物市場の中心限月12月物が 同26銭高の139円76銭。

--取材協力:藤岡徹 Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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