10月の輸出額は前年比23.2%減、減少率は過去1年間で最小

日本の10月の輸出額はアジア向 けを中心とした持ち直しを受け、前年比の減少率が3カ月連続で縮小 して過去1年間では最小となった。一方、輸入額は原油価格の下落な どを背景に輸出額を上回る減少が続き、貿易収支は9カ月連続で黒字 を維持した。

財務省が25日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によ ると、輸出額は前年同月比23.2%減の5兆3089億円と1年1カ月連 続のマイナスとなったが、減少率は前月(同30.6%減)に比べて縮小 した。輸入額は同35.6%減の4兆5018億円と12カ月連続の減少。こ の結果、貿易収支(原数値)は8071億円の黒字となった。

三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは 統計発表後、ブルームバーグ・ニュースに対し「中国をはじめとした 各国の景気対策の影響で、東アジア域内の内需が出てきている。また、 在庫調整が一巡して在庫を積み上げ始めている」と指摘。先行きにつ いては「来年の前半にかけて日本の経済成長は鈍化するものの、外需 に支えられて二番底は回避する」との見方を示している。

今年7-9月期の日本の実質国内総生産(GDP)は輸出が前期 比6.4%増と好調だったことなどから同1.2%増、年率換算では4.8% 増と2四半期連続でプラス成長となった。昨年秋のリーマンショック 以降の輸出の急減速を引き金に、昨年10-12月、今年1-3月期は戦 後最悪に匹敵するマイナス成長に陥ったが、中国を中心とした海外経 済の回復に伴う輸出や生産の増加が実質GDPの回復を後押しした。

輸出動向を地域別に見ると、米国向けは前年同月比27.6%減の 8738億円と26カ月連続の減少となったものの、自動車を中心に回復 傾向にあり、減少率は3カ月連続で縮小した。欧州連合(EU)向け も同29.0%減の6675億円と2カ月連続で減少率が改善した。

また、アジア向けは前年同月比15.0%減の2兆8821億円で、前 月の減少率(同22.2%減)に比べて7.2ポイント改善した。このうち、 中国向けは同14.3%減の9934億円と前年比減少率が2カ月ぶりに若 干拡大。ただ、自動車の部分品が同32.1%増と引き続き好調なことな どから、前月の9810億円に比べると増加した。

10月の輸出数量指数は前年同月比13.0%の減少で9月の同

21.8%減からは大幅な改善を示した。地域別では、アジア向けが同

1.9%減とほぼ前年の水準まで回復。一方で、米国向けは改善している ものの同21.1%減、対EUも同26.8%減と出遅れている。

10月の輸出入額を品目別にみると、輸出では自動車と鉄鋼が前年 同月比37.2%減、38.0%減と引き続き落ち込みが大きいものの、前月 に比べて減少幅は大きく縮小した。輸入は中東はじめスーダン、ベト ナムなどからの原粗油が同51.7%減、液化天然ガスが同52.8%減と大 幅に減少した。

カリヨン証券の加藤進チーフエコノミストは発表後のリポートで、 「日本の貿易黒字は予想以上に順調な拡大を示した」とした上で、「日 本の輸出はアジア向けの回復が主導して予想以上に順調な回復を見せ た。この傾向が続けば、11月には前年同月の水準を大きく上回り、久々 の大きなプラスを記録することが確実だ」と予想している。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査の予想中央値は、 10月の輸出額が前年同月比26.8%減、輸入額が同34.0%減。貿易収 支は原数値が4655億円、季節調整済みでは3000億円の各黒字だった。

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午前11時35 分現在、1ドル=88円26銭。発表直前は同88円61銭近辺で推移し ていた。東京株式市場の日経平均株価の午前終値は前日比3円60銭高 の9405円18銭と反発。債券相場は堅調で、東京先物市場の中心限月 12月物は同16銭高の139円60銭。

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