ノムラのマコーミック氏、財政に基づき相場分析-ドルは「悪い」通貨

2008年9月14日の夜、ジェーム ズ・マコーミック氏はロンドンの自宅で、7年間勤めている米証券会 社リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが破産申請しようとして いると聞いた。電話会議で伝えられたこのニュースは、為替相場の動 きを経済データに基づいて予測する分析モデルを構築するという2年 越しのプロジェクトを頓挫させた。

「がっくりした」と、現在41歳の同氏は振り返る。「知的財産を すべて失ってしまった」という。

リーマン破たんの11カ月後、同氏は米シティグループを経てノム ラ・インターナショナルに加わっていた。ノムラの親会社の野村ホー ルディングスはリーマンの欧州事業を買収した。欧州フィクストイン カム責任者となったマコーミック氏は今、一度は失った債券と為替の 分析チームを作り直そうとしている。40人ほどのチームで、メンバー のほぼ8割は古巣の出身者たちだ。

マコーミック氏は為替相場の動きの理由を経済データに求めよう とする。トレーダーやアナリストらは何年も、数学的モデルに基づく 定量分析に頼ってきたが、マコーミック氏のアプローチも受け入れら れ始めている。定量分析モデルは2000年以降の世界的成長とボラティ リティ(変動性)低下の時代にはうまく機能したが、金融危機が15 年余りで最大の為替相場変動をもたらしたとき、この危険を察知する ことができなかった。

マコーミック氏はマクロ経済モデルと定量分析を併用し、危機前 に世界経済へのストレスに気付いていた。

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米経済が公式にリセッション(景気後退)入りする1年前の06 年12月に公表したリーマンの07年見通しで同氏は、米国の経済成長 鈍化と資源国通貨の下落を予想した。

08年半ばにはドルの上昇前にドル買いを勧めた。オーストラリ ア・ドルなどの高金利通貨から相対的に安全な資産に資金が流れ、円 とスイス・フランが上昇することも正しく言い当てた。

記録的な政府債務の重しや貿易収支のバランスの変化、日本と英 国、米国のほぼゼロ金利などで世界経済が苦戦している今、為替の動 きの後ろにある経済要因を理解することが重要さを増していると、パ トナム・インベストメントの上級バイスプレジデント、パレシュ・ウ パダヤ氏は指摘する。「為替相場はマクロ経済という大きな背景に反応 し、動かされている。経済データは今、最も重要だ。現在のような金 利循環の転換点において、経済データの為替相場への影響は通常高ま るからだ」と同氏は解説する。

マコーミック氏は世界を経済と財政の状態に基づき「良い」通貨 と「悪い」通貨に分ける。豪州とカナダ、ノルウェーの通貨に加え、 円以外のアジアの「良い」通貨は政府債務の小ささと銀行の健全性に 支えられる。一方、米ドルや英ポンドなどは政府債務拡大で打撃を受 ける公算が大きい。

「マクロ経済データは問題発見の最良かつ最も早期の手掛かりだ」 と同氏は話す。また、「為替については何年も前から、各国の財政政策 と国債発行高を考慮する必要があった」と指摘した。

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