電力各社:石炭調達先をロシアに拡大-内需拡大の中国からは輸入減

日本の電力各社がロシアからの石 炭輸入を拡大している。中部電力はロシア最大手の石炭会社、シベリ ア石炭エネルギー社(SUEK社)と契約を結び、今年度に20万トン 超を輸入する。景気刺激策で中国の内需が拡大し対日輸出が減ってい ることと、豪州産石炭への依存度を減らしたい電力各社の思惑が背景。

東北電力は昨年SUEK社と契約を結び、石炭の供給を受けてい る。輸入量は明らかにしていない。中国電力も今年度にロシア炭を試 験的に輸入している。経営企画IR担当の上野修氏は「ロシア炭を10 万トン程度輸入した。長期契約を結ぶかについては検討中」と述べた。

日本の発電燃料などに使われる一般炭の輸入量は1億500万トン (08年度)。68%が豪州、インドネシアが16%、中国が8%で、ロシ アは6%。

中国からの一般炭輸入量は04年の1769万トンから08年は837 万トンと半分以下にまで減少した。急速な経済発展を遂げる中国では 国内需要に対応するため、輸出量が減少を続けている。ロシアからの 輸入量は、04-08年で495万トンから680万トンと37%増。

石炭を輸入している電力各社は従来、豪州産への依存度が高かっ た。Jパワー、東北電力に次ぐ年間1000万トンを輸入している中部電 では、豪州炭が50%、インドネシア炭が30-40%を占めている。ロシ ア炭については、08年度は輸入実績がなく、07年度で8万トン、06 年度実績で17万トンにとどまっていた。

SUEK社は昨年、ハバロフスクにムチカ港を建設し、今年から 石炭を出荷している。日本への運航距離が豪州、インドネシアに比べ 短く輸送コストの大幅低下が期待できるため、今後、石炭の対日輸出 が増えそうだ。

中部電広報の澤木敦生氏はSUEK社との契約について、「個別の 契約などについては明かせない」と述べた。SUEK社広報のアレク セイ・ナウメンコ氏も同様に、「契約に関することについてはコメント できない」と答えた。

電力会社の石炭輸入について、みずほインベスターズ証券のアナ リスト、河内宏文氏は「電力会社にとって、石炭火力発電の位置付け は今後も変わらない。石炭輸入量は増加することはあっても減少する とは考え難い」と語った。

石炭火力発電所は、原子力発電所などに比べ二酸化炭素(CO2) 排出量が多く、地球温暖化対策に逆行するとの見方もある。河内氏は 「電力各社は海外の低効率の発電設備の高効率化などによって、排出 権を得るなどして削減に努めるのではないか」とみている。

石炭ガス化複合発電などの技術革新による排出削減にはまだ時間 がかかる見込みで、電力各社のロシアからの石炭輸入は増えそうだ。

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