エビは庶民の味に、養殖輸入の席巻で価格下落-「豊かさ指標」今は昔

高級食材の代表格だったエビの 価格がここ5年ほどで大幅に下落、庶民の味覚へと変化を遂げている。 養殖効率の高いエビの大量輸入が背景にある。エビはかつては消費動 向を占う「豊かさの指標」だったが、それも食糧のグローバル化とと もに昔話になってきた。

貿易統計によると、1984年のエビの1キロ当たりの平均単価は 1804円だった。それが08年には976円と半値に。今年1-9月まで の平均単価は852円まで下落している。

水産庁は2000年に「マグロやエビなどの需要量と家計支出の間に はプラスの相関が認められ、国内景気が回復すると需要増が見込まれ る」と発表、エビはまだ豊かさの目安だった。しかし独立行政法人・ 中央水産研究所の松浦勉・国際漁業政策研究員は、もはやこうした相 関関係はなくなったと指摘する。バナメイという種類のエビが2000年 以降、大量に輸入され始めたためだ。

バナメイはそれまで主流だったブラックタイガーと比べて同じ容 積のいけすで2-4倍の養殖が可能で、病気にもなりにくい特徴を持 つ。国際連合食糧農業機関(FAO)によると、2000年の世界でのエ ビ生産量は、ブラックタイガーが63万トン、バナメイが14万トンだ ったが、06年にはブラックタイガー65万トン、バナメイ213万トンと バナメイの生産が大幅に拡大した。

マクドナルドにも

エビ輸入最大手のマルハニチロホールディングス・水産5部えび 2課の金森正幸課長は「バナメイが出てきたことで単価はどんどん下 がった。エビは安値安定した低位な食材」と語る。鉄鋼業のほか、水 産物を取り扱う阪和興業の山辺厚三・食品部門担当理事も「エビの単 価が安くなり、需要が景気動向や所得に影響を受けることは少なくな った」と話す。ハンバーガー・チェーン店のマクドナルドが販売する 「えびフィレオ」に使われているエビは全てタイ産のバナメイだ。

マルハニチロHDの試算によると、02年には約4000トンだった バナメイの輸入量は08年には9万トン強と全体の3分の1を占めるま でに拡大。ここ2-3年でバナメイがブラックタイガーを上回ったも ようという。昨年のブラックタイガーの輸入量は9万トン弱だった。

冷凍エビを中心とした原料エビの輸入量は減少をたどっているが、 コストを下げるために海外でエビフライや寿司ネタ用に加工した形で の輸入は増加傾向にあることも単価を押し下げた。中央水産研究所の 松浦氏は「バナメイの輸入比率がブラックタイガーを上回った07年ご ろからエビは高級魚から大衆魚へと変わり、所得が増えたからといっ て消費が増えることはなくなった」と語る。

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