村田製社長:リチウムイオン電池市場参入、1年以上遅れも(Update1)

電子部品専業の村田製作所の村田 恒夫社長は、開発中のリチウムイオン電池の市場投入時期が、当初の今 年秋から1年以上遅れる見込みであることを明らかにした。自社電池の 特性を生かせる用途を選ぶために時間がかかっているとしている。

村田氏は京都府長岡京市の本社で19日、ブルームバーグ・ニュー スのインタビューに答え、リチウム電池の開発が「少し遅れている。 1年以上かかるかもしれない」と話した。

村田製は06年にパソコンや携帯電話、ハイブリッド車用などとし て需要増加が予測されるリチウム電池の開発に着手すると発表。電動工 具や電動自転車用など小型の商品向けとして09年秋からサンプル出荷 を開始する計画だった。

同社のリチウム電池は、従来の他社製品と比べて短時間で充電を完 了できる点が強みだが、村田氏によると「アプリケーションによって求 められる電池の能力が違う。うちの電池が持っている特性がどのアプリ にフィットするか、競争力が発揮できる市場を探している」と参入時期 が遅れる理由を説明した。

村田製は先月開いたアナリスト説明会のためのプレゼンテーショ ン資料で、成長市場の1つにリチウムイオン電池(エネルギー・環境事 業)を位置づけ、取り組みを強化すると表明。このほか自動車部品事業、 ヘルスケア事業も注力分野としていた。

自動車調査会社カノラマのアジア・ディレクター、宮尾健氏は「村 田製作所は第一陣の波に乗り遅れた」と指摘した。自動車用リチウムイ オン電池の市場について同氏は、「石を投げればバッテリーメーカーに 当たるぐらい多い」とし、さらに政府の支援を受けた韓国勢が攻勢をか けてくる可能性もあるとみている。

ただ、リチウムバッテリーの完全な技術は大手メーカーも含めて出 ておらず、同氏は「他社を圧倒する性能の製品を出せば今後、村田製が 追い抜く可能性は残されている」と話した。

リチウムイオン電池は、パソコンや携帯電話などのモバイル機器や ハイブリッド車や電気自動車の電力源などとして需要の急増が見込ま れている。民間調査会社の富士経済によると、自動車用リチウムイオン 電池の市場規模は14年には08年比で216倍の2兆2500億円に成長す ると予想している。

国内メーカーでは自動車用鉛蓄電池で世界3位のジーエス・ユア サ・コーポレーションが滋賀県栗東市で工場用地取得を目指して市側と 交渉を始め、来年10月の着工を目指す。充電池世界最大手の三洋電機 を年内に子会社化するパナソニックも約1000億円を投じて大阪市住之 江区に建設中のリチウムイオン電池工場で、来年4月から生産を開始す る予定だ。そのほか国内2位の重工メーカー、IHIなど異業種からの 参入表明も相次いでいる。

競争激化でも開発は継続

これについて村田氏は「リチウム電池はまだ出始めたところで、い ろんなタイプのものが必要とされる」と述べ、過当競争への懸念はなく、 開発は続ける意向を示した。事業展開では「いつまでもニッチだと難し い。将来は自動車のような大きな需要のところに入っていかないとコス ト的にかなり厳しくなる」と話した。

08年6月のブルームバーグテレビジョンとのインタビューではハ イブリッドカーや電気自動車向けのリチウムイオン電池について「12 年のモデルに間に合うよう開発を進めたい」と話していたが、この日の インタビューでは、「そういう段階ではない」と明言を避けた。

下期も受注は好調

主力の電子部品の10月の受注は前月比10%減だった。村田氏によ ると例年の同時期の受注の下落幅は10-15%であり、レンジ内で最小 のマイナス幅の今年は「比較的好調」と表現した。村田製は10月の決 算発表時に10年3月期の純利益予想を従来の10億円から120億円に増 額している。

クリスマス商戦が低調だった場合は、市場在庫がたまる可能性を村 田氏は指摘。一方で、「昨年の経験もあって各社とも大きな在庫を積ん でいないと聞いている。最近は年明けの中華圏での旧正月の需要も増え ており、あまり心配はしていない」と話した。

村田製の20日の株価終値は前日比変わらずの3970円。

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