日銀:政策金利を据え置き-政府のデフレ宣言で緩和圧力も

(発表内容を追加して第2、第3段落を差し替えます)

【記者:日高正裕】

11月20日(ブルームバーグ):日銀は20日午後、同日開いた金融 政策決定会合で、政策金利を0.1%前後に据え置くことを全員一致で 決定した、と発表した。政府が同日午後公表する月例経済報告で、物 価が持続的に下落するデフレを公式に宣言するとみられており、日銀 に対して今後一段の金融緩和圧力がかかるとの見方が強まっている。

日銀は声明文で「極めて緩和的な金融環境を維持していく」方針 をあらためて表明した。景気は「持ち直している」として、前月の「景 気は持ち直しつつある」から情勢判断を前進させた。情勢判断の上方 修正は3カ月連続。個人消費が「耐久消費財を中心に持ち直している」 として前月の「全体としては弱めの動き」から上方修正した。物価に ついては「資源価格の上昇によって上振れる可能性」にも言及した。

菅直人副総理・国家戦略相は20日の会見で「デフレ状況という認 識を申し上げている」と述べた。16日発表された7-9月の実質国内 総生産(GDP)は前期比年率4.8%増と2四半期連続のプラス成長 となったが、名目GDPは同0.3%減と6期連続のマイナスだった。

モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは「金 融政策に対する民主党のスタンスは現首脳陣への任命責任もあり、足 元では中立だが、政府がデフレ宣言を行うことが見込まれることもあ り、現政権は先行き日銀に対して緩和圧力を強めることが予想される」 と指摘。「2010年はデフレ克服が主要な政策課題となる中で、緩和的 な金融環境維持への政治的風圧は強まる」と語る。

長期金利の動向が鍵

長期国債買い入れ増額の引き金になりそうなのは長期金利の動向 だ。大和総研の田谷禎三特別理事は「長期金利は急騰後、急落したが、 先月初めに比べればまだ高い。財政悪化要因が大きいと思われる。今 年度を含めて毎年、政府の歳出規模が90兆-100兆円、税収が40兆 円前後で続く可能性がある。今後の方向も上昇だろう」と指摘する。

バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジス トは「実質的に麻生政権下の政策によって財政赤字が50兆円規模に達 したわけだが、民主党がこれをさらに60兆円あるいはそれ以上の規模 に引き上げる状況となれば、日銀にも検討の余地が生じてくるのでは ないか」と予想する。

9月の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)前年比上昇率は マイナス2.3%。日銀は先月30日公表した経済・物価情勢の展望(展 望リポート)で11年度まで3年連続でマイナスになるとの見通しを示 した。政策金利は0.1%で下げ余地がほとんどない中、ここから物価 見通しを差し引いた実質金利は高止まりすることになる。

政府と日銀の定期協議に注目

ゴールドマン・サックス証券の山川哲史チーフエコノミストは 「『実質』金利上昇による金融環境タイト化等を勘案すると、日銀が国 債買い切り増額に踏切るのは必至とみられる」とした上で、「これを市 場の『機先を制する』形で実施するのか、あるいは実際の金利上昇に 対し『反応する」形で行うのかは不明」とみる。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「今後設 置されるとみられる政府・日銀の定期協議の場で、どのような話が出 てくるかに注目」と指摘。その上で「長期国債買い入れの増額はすべ きでない。日銀券ルールは堅持した方がよい。しかし、鳩山内閣の姿 勢いかんで、もっともらしい理屈をつけての買い入れ増額に日銀が追 い込まれる可能性は否定できないので、注視が必要」と語る。

そうした中、政府は19日午前、12月2日に任期切れを迎える水 野温氏日銀政策委員会審議委員の後任に、神戸大学教授の宮尾龍蔵氏 を起用する国会同意人事案を提示した。宮尾教授は2001年4月、ブル ームバーグ・ニュースのインタビューで「日銀が長期国債買い切りオペ を増額しても、実体経済への波及メカニズムは働かないし、需要に対 する刺激効果は期待できない」と指摘した。

宮尾教授は強い味方に

インタビューが行われたのは、日銀が2001年3月に量的緩和政策 を導入した直後。宮尾教授はさらに、「政府や市場の圧力に屈し、日銀 が当座預金残高の目標や長期国債オペに関する制約を緩めることにで もなれば、国債価格や円の暴落といった副作用がより現実味を帯びて くる」と述べていた。白川日銀は政府の圧力に対抗する強い味方を手 にしたと言えそうだ。

日銀は20日の金融政策決定会合で、長期国債の買い入れ額も月

1.8兆円に据え置いた。議事要旨は12月24日に公表される。白川方 明総裁は午後3時半に記者会見する。今後の金融政策決定会合などの 予定は以下の通り。

会合開催       総裁会見  金融経済月報  議事要s旨
12月17、18日   12月18日     12月21日     1月29日
1月25、26日   1月26日     1月27日     2月23日
2月17、18日   2月18日     2月19日     3月23日
3月16、17日   3月17日     3月18日     4月12日
4月6、7日   4月7日     4月8日     5月6日
4月27日       4月27日        -        5月26日
5月20、21日   5月21日     5月24日     6月18日
6月14、15日   6月15日     6月16日       未定

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、議事要旨は午 前8時50分。経済・物価情勢の展望(展望リポート)は4月27日の 午後3時に公表される。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE