11月19日の海外株式・債券・為替・商品市場(Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では円が対ユーロで2週間ぶりの高値 に上昇。ドルも値上がりした。株式相場が世界的に月初来の大幅安と なったことを受け、円やドルで借り入れた資金を高利回り資産に投資 するキャリー取引の損失をヘッジする動きが活発になった。

円は主要16通貨すべてに対して上昇した。ブルームバーグのデ ータによると、円やドルを調達通貨としてオーストラリア・ドルに投 資する取引ではこの日1.3%の損失が出た。ガイトナー米財務長官は 議会証言で、中国が人民元の柔軟性向上に向けて行動を起こすと確信 していると述べた。

BNPパリバ・セキュリティーズの為替ストラテジスト、セバス チャン・ゲーリー氏(ニューヨーク在勤)は、「市場は非常に神経質 になっており、今はリスクを取る動きがあまり多くない」と述べた。 「ドル・ショートという大きな取引に対し、緊張感が高まっている」 と付け加えた。

ニューヨーク時間午後4時1分現在、円は対ユーロで前日0.6% 高の1ユーロ=132円87銭(前日は同133円64銭)。一時は3日 以来の高値水準となる同131円76銭を付ける場面もあった。円は対 ドルで0.3%高の1ドル=89円7銭(前日は同89円32銭)。ドル は対ユーロで0.3%高の1ユーロ=1.4919ドル(前日は同1.4963 ド

ル)。

市場ではドルが1ユーロ=1.50ドルを超えて下落しなかったこ とから、ドル・ショートのポジションが一部手じまわれたとの指摘も ある。

オーストラリア・ドルが安い

オーストラリア・ドルは対円で1.4%安。スウェーデン・クロー ナはドルに対して0.9%値下がりした。株式相場が下げたことからキ ャリー取引が抑制された。政策金利が米国では0-0.25%、日本は

0.1%であることから、ドルと円が調達通貨として選好されている。

MSCI世界指数は1.7%安。10月30日に前日比1.9%下げて 終了して以来の大幅下落となった。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は0.1%上昇の75.283。16日には74.679と、08年8月 以

来の低水準を付けた。

人民元

ガイトナー財務長官は上下両院合同経済委員会で証言し、中国は 同国経済の輸出依存度が低下するのに伴い、人民元の統制を緩めるだ ろうとの見通しを示した。

長官は「中国が望んでいることだ」とした上で、「中国がそれを 実行すると強く確信する」と述べた。

人民元は対ドルで7月以降1ドル=約6.83元付近で取引されて いる。それ以前の3年間に元は対ドルで21%上昇した。

下落基調にあるドルに連動していることから、人民元は過去1年 間に対ユーロで16%下落、対円では7%値下がりしている。

資源国通貨

景気回復が足踏みしているとの懸念から、原油などの商品相場や カナダ・ドル、ニュージーランド・ドルが下落したことも、円とドル 上昇の背景にある。

カナダ・ドルは対米ドルで0.8%安。同国の最大輸出品目である 原油の価格が下落したことが背景。ニュージーランド・ドルは対米ド ルで一時2.5%下げた。

◎米国株式市場

米株式相場は続落。これまでの上昇は経済成長見通しに比べて行 き過ぎていたとの懸念から、売りが優勢になり、世界的な株安の流れ を引き継いだ。バンク・オブ・アメリカ(BOA)が半導体銘柄の投 資判断を引き下げたことも悪材料。

先進23カ国の株式から成るMSCI世界指数は前日比1.7%安 と、今月最大の下げ。S&P500種株価指数は1.3%安の1094.90。 インテルやテキサス・インスツルメンツ(TI)が安い。ダウ工業株 30種平均は93.87ドル(0.9%)下落の10332.44ドル。

MSCI世界指数は過去8カ月に68%上昇、株価収益率(PE R)は7年ぶりの高水準にあり、来年の企業収益が25%伸びるとの 予想をすでに織り込んでいるとの見方が株安の背景にある。

経済協力開発機構(OECD)は19日発表した経済見通しで、 来年の加盟30カ国の成長率予想を1.9%と、従来予想の2倍に上方 修正した。一方、各国の政府債務の増大が成長の足かせとなるとの見 通しを示した。

フィデュシャリー・トラストのファンドマネジャー、マイケル・ マレーニー氏は「相場が上げ一服となるのは完全に理にかなっている。 投資家心理は少し強気になり過ぎていた」と述べた。

14日に終わった1週間の新規失業保険申請件数が10カ月ぶり低 水準にとどまったものの、売りが優勢になった。フィラデルフィア連 銀が19日に発表した11月の同地区製造業景況指数は予想以上に上 昇した。

S&P500種の下落率は10月30日(2.8%安)以来で最大とな った。

半導体

インテルは4.1%安、TIは3.4%下げた。BOA傘下メリルリ ンチのアジア半導体調査責任者、ダニエル・ヘイラー氏は半導体の供 給増加を指摘し、業績が悪化する恐れがあるとして、インテルとTI の投資判断を「バイ(買い)」から「ニュートラル(中立)」にそれ ぞれ引き下げた。世界の半導体業界全体の判断も「ポジティブ」から 「ネガティブ」へ引き下げた。

S&P500種の半導体株指数は3.7%下落。全24産業グループ で最も下げた。

商品相場が下落

アルコアは3.9%安。ダウ平均の構成銘柄の中で下落率2位とな った。アルミや銅など金属相場が軒並み下げたことが背景にある。

コノコフィリップスは1.9%下落。原油相場が4日ぶりに反落し たことが売りを誘った。S&P500種のエネルギー株指数は2.1%下 落。全10セクター中で最も下げがきつい。情報技術(IT)株指数 は1.6%下げ、全体へのマイナス寄与度では最大となった。

銀行株

メレディス・ホイットニー・アドバイザリー・グループの創業者、 メレディス・ホイットニー氏の見解を嫌気し、銀行株が下げた。同氏 は19日、「銀行株は依然、ひどく割高だ」とし、政府による住宅ロ ーン担保証券(MBS)の購入に依存していると指摘した。同氏は 2007年にシティグループの減配を予想して的中させたことで知られ る。JPモルガンとウェルズ・ファーゴはいずれも1.9%下落。S& P500種の金融株指数は2%安。

MBSの評価損の影響で世界の金融機関が計上した損失は07年 以降、1兆7000億ドルに上っている。失業した住宅保有者がローン を支払えず、住宅ローンの返済遅延が引き続き増加している。

全米抵当貸付銀行協会(MBA)の発表によると、連邦住宅局 (FHA)が保証する住宅ローンは6本につき1本の割合で支払いが 少なくも1カ月分は滞っており、7-9月(第3四半期)の差し押さ え率は3.32%に上昇した。両方とも少なくとも1979年以降で最高。

債券ファンド運用大手、米パシフィック・インベストメント・マ ネジメント(PIMCO)の共同最高投資責任者(CIO)、ビル・ グロス氏は19日、低金利が株式やリスクの高い債券で新たな資産バ ブルを作り出す恐れがあると指摘した。

◎米国債市場

米国債市場では、3カ月物Tビル(財務省短期証券)金利が一時、 昨年の金融市場の凍結以来で初めてマイナスに転じた。高利回り資産 の上昇ペースに経済成長が追いつかないとの懸念が背景にある。

MSCI世界指数が過去8カ月で68%上げており、来年の企業 収益25%回復予想は織り込み済みとの観測から株式相場が下落。資 金が国債に流れた。セントルイス連銀のブラード総裁は18日、過去 の経験から見ると利上げは2012年初めまでない可能性があるとの認 識を示した。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)のキャンタ ー・フィッツジェラルドのチーフ債券ストラテジスト、ジョージ・ゴ ンキャルベス氏は「経済が行き詰まり、債券に代わる有望な投資先が 見つからない間は、投資家は米国債を買うだろう」と述べた。

ジェフリーズの米国債トレーダー、サラ・ソーベック氏(ニュー ヨーク在勤)によれば、1月に償還を迎える一部のTビルについて金 利がマイナスに転じた。3カ月物Tビルのレートは年初来の最低とな る0.0051%。6カ月物Tビルのレートは1958年以来の低水準に落 ち込んだ。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時24分現在、2年債利回りは前日比5ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下の0.70%。2年債(表面利率 1%、2011年10月償還)価格は3/32上げて100 18/32。利回り は

一時0.6759%と、昨年12月19日以来の低水準を付けた。

ブラード総裁

ソーベック氏は「投資家は早い段階で年末に備えつつあり、流動 性の確保に動いている」との見方を示した。

銀行はバランスシートにある資産の質を高めるため、年末にかけ て最も安全な年限の国債を購入する傾向がある。

2年債は前日、ブラード総裁の発言を受けて上昇した。RBCキ ャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、トム・ポーセリ、金利 ストラテジストのクリスチャン・クーパー両氏はリポートで、「ブラ ード総裁がこうした考えを明らかにしたことを極端な見解として片付 けるべきではない」と指摘。「最も弱気なアナリストの間でさえ、 2012年という可能性については聞かれなかった。だがこの考えは今、 信頼性が高まっている」と加えた。

新たな資産バブル

債券ファンド運用大手、米パシフィック・インベストメント・マ ネジメント(PIMCO)の共同最高投資責任者(CIO)、ビル・ グロス氏は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を過去最 低水準で維持していることを背景に、新たな資産バブルの「システミ ックリスク」が増大しているとの認識を示した。

グロス氏は同社のウェブサイト上で公表した12月の投資見通し で、「FOMCは米経済をリフレート(再膨張)させようとしている。 リフレーションの過程では短期金利を痛みを伴うほどの低水準まで引 き下げることが必要になるため、投資家は短期金融市場から、よりリ スクの高い債券や株式に資金を移すよう強制、または誘導されること になる」と解説している。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は続伸。ドルが下落するとの見方から、 投資家の間では代替投資需要が根強い。

この日のドルはユーロに対して一時0.8%値上がりし、これに伴 い金は下落する場面もあった。ドルがその後値上がり分を削ると、金 は買いが優勢となった。前日の金は一時オンス当たり1153.40ドル と、最高値を更新した。

ラサール・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のトレーダー、 マシュー・ジーマン氏は「持続的なドル上昇を信じている投資家は誰 もいない。ドルが上昇しても金は下げ渋る。これは非常に強気な金相 場を示唆している。市場参加者はさらなる金上昇を望んでいる」と述 べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比0.7ドル高の1オンス=1141.90ドルで取引を終了 した。この日の金は一時、1%安まで売り込まれる場面もあった。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は反落。株式相場が下げ、市場参加者は米 景気と燃料需要の回復ペースが予想よりも鈍くなると受け止められ、 4日ぶりに下落した。

原油とS&P500種株価指数は今月最大の下げを記録。バンク・ オブ・アメリカ(BOA)が半導体メーカーの株式投資判断を引き下 げたのが売り材料だった。ドルが対ユーロで上昇し、代替投資として の原油の魅力が損なわれたことも売りを誘った。

エネルギー顧問会社、オイル・アウトルックス・アンド・オピニ オンズのカール・ラリー社長は「原油市場は下げ材料を探している。 今のところ株価が下落し、それに原油も追随している。群集心理が働 いてみな原油を売りたがっている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 日比2.12ドル(2.66%)安の1バレル=77.46ドルで終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は3日続落。この日は月初来で最大の下げとなった。 フランスの食品大手ダノングループによる売上高見通し引き下げが嫌 気されたほか、金属価格の下落に伴い鉱業株が値下がりした。

ダノンは6カ月ぶりの大幅安。同社は中期の売上高見通しを引き 下げた。消費支出に「大規模な」変化がみられることを理由に挙げた。 スイスの資源大手エクストラータと銀生産会社フレスニージョ(メキ シコ)も下落し、資源株を押し下げた。欧州最大の半導体製造装置メ ーカー、オランダのASMLホールディングと半導体設計の英ARM ホールディングスも安い。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが 投資判断を引き下げたことが嫌気された。

ダウ欧州600指数は前日比1.7%安の245.52と、下落率は10 月30日以来の最大。同指数は3月9日に付けた年初来安値からは 55%上昇。株価収益率(PER)は52倍と03年以来の高水準付近 にとどまっている。

ベアリング・アセット・マネジメント(ロンドン)のマリオ・ バレンサイス最高投資責任者(CIO)は、「株式相場は過去6カ月 くらいかなり強引に値上がりした。今は値固めの時期だ」と指摘。 「株式相場は世界的に出来高が減少しており、短期的な天井が非常に 近いことを示唆している可能性がある」と述べた。

ブルームバーグのデータによると、ニューヨーク証券取引所の出 来高は今月、17日までの1日平均が11億8000万株と7月以来の低 水準となっている。

19日の西欧市場では、18カ国中アイスランドを除く17カ国の 主要株価指数が下落。ダウ・ユーロ50種指数は前日比1.7%安、ダ ウ・欧州50種指数は1.5%下げた。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が上昇。欧州中央銀行(ECB) が政策金利を過去最低水準に据え置くとの観測が強まったほか、弱い 業績見通しを背景に株式相場が下落したことが手掛かりとなった。

独10年債利回りは1週間余りの最低水準となった。仏食料品メ ーカー、ダノンが売上高見通しを下方修正したことが嫌気され、ダウ 欧州600指数は3日連続安となった。この日はフランスとスペイン が合わせて110億ユーロを超える国債を入札したが、ドイツ債相場 には大きく影響しなかった。一方、ギリシャ10年債相場は下落し、 同利回りは4カ月ぶり高水準となった。

ウニクレディトの債券ストラテジスト、ジュゼッペ・マラフィー ノ氏(ミラノ在勤)は、「マクロ経済を取り巻く環境は国債相場への 支援要因となるだろう。供給が相場に影響を及ぼす可能性があり、よ り不安定となる恐れもある」と語った。

ロンドン時間午後4時50分現在、10年債利回りは前日比2ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.26%。同国債(表 面利率3.25%、2020年1月償還)価格は0.18ポイント上げ

99.87 となった。2年債利回りは1.30%と、前日を1bp下回った。

金利先物動向によれば、ECB利上げ観測は今月に入り後退した。 欧州銀行間取引金利(EURIBOR)先物6月限はこの日、2bp 低下の1.07%となった。10月30日は1.27%だった。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。10年債利回りは前日比3ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下の3.65%。2年債利回りは1.24% と、 前日から1bp低下した。

この日のポンドは対ドルで3日続落。英銀の信用損失が拡大する との懸念が相場への押し下げ要因となった。

英紙デーリー・テレグラフは19日、信用情報会社エクスペリア ンのドン・ロバート最高経営責任者(CEO)が「デフォルト(債務 不履行)がピークに達したとはまだ確信できない」と語ったと報じた。

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