ソニー:ROE10%目標達成は12年度に、3D強化-中計

赤字脱却に取り組んでいるソニー は19日、新中期経営計画を発表した。映像が飛び出して見える3D(3 次元)関連商品やオンラインサービス、リチウムイオンバッテリー事 業などを強化し、新市場を開拓。12年度(2013年3月期)までに株主 資本利益率(ROE)10%を目指す。前期(09年3月期)のROEは

3.08%で、達成時期は従来計画より2年先送りする。

ソニーは前期に14年ぶりの営業赤字に転落し、今期は2期連続の 最終赤字に陥る見通し。ハワード・ストリンガー最高経営責任者(C EO)は収益改善のため、製造拠点の再編や人員削減などの構造改革 を断行。昨秋のリーマンショック以降、ともに厳しい事業環境にあり ながら業績好調な韓国サムスン電子を追撃する。

構造改革は、主力のテレビ事業を中心に今期末までに57カ所ある 製造拠点を47カ所に集約することをすでに打ち出している。人員削減 は昨年9月からの1年間で1万9500人に達し、吉岡浩副社長は会見で 2万人削減が視野に入っていることを明らかにした。今期中に3300億 円のコスト削減もはかる。

3Dで1兆円超売り上げ目標

至上命題となっているテレビ、ゲームの両事業の黒字化は来期中 に成し遂げる。テレビ事業について、吉岡副社長は外部委託比率を現 状の20%から来期は40%強に引き上げ、収益性を改善することを表明。

デザインや使い勝手の改善、BRICs(ブラジル、ロシア、イ ンド、中国)といった新興国市場の需要取り込みなどで数量を拡大す るほか来期中に3D対応テレビなどを投入し、13年3月期には20%の 台数シェア獲得を狙うとしている。

調査会社ディスプレイサーチが18日に発表した7-9月の世界の テレビ販売額シェアによると、ソニーは3位の9.9%で、トップのサム スン電子21.9%、2位のLG電子12.9%に水をあけられている。

会見に同席した平井一夫執行役EVP兼ソニーコンピュータエン タテインメント社長は、家庭用ゲーム機「プレイステーション3(P S3)」に関して、来期に15%のコスト削減を図るとした。部品点数の 削減や設計の見直しなどが寄与する。

強化する3D関連商品(コンテンツを除く)では、12年度に1兆 円超を売り上げ目標として掲げた。映画ではすでに3D対応のプロジ ェクターを全米で1万台以上を受注。3D映画を来期末までに世界の 3000スクリーン以上で見られるようにする。来年には世界で3D対応 テレビ「BRAVIA(ブラビア)」、ブルーレイディスク(BD)再 生機も発売する予定だ。パソコン「VAIO(バイオ)」やゲーム機 「プレイステーション3」でも順次3Dを展開する。

ネットワークサービス事業を立ち上げ

3300万人以上のアカウント数を持つプレイステーションネットワ ークの基盤とあわせ、新たなプラットフォームも展開する。テレビや パソコン、デジタル音楽プレーヤー、電子書籍閲覧端末といったハー ドウェアにゲームや音楽、ビデオなどのソフトウェアをダウンロード しインストールできる新規のオンラインサービスを立ち上げる。この サービスを13年3月期までに年間3000億円規模の事業に育て、対応 商品数は3億5000万台を目指す。

リチウムイオンバッテリー事業については、13年3月期までに売 上高を現在の2倍程度に伸ばす計画で、中期的に1000億円規模の開発 投資を実施する。ノートパソコンや携帯電話向けなど既存事業で規模 のメリットを追及するとともに、吉岡副社長は家庭・業務用バックア ップ電源などの蓄電用、自動車用への参入を検討していることを明ら かにした。

三菱UFJ証券の石野雅彦アナリストは、背伸びしていない内容 で、将来の収益確保に最重要となる商品力強化について「具体的な処 方箋を出した」点を評価した。

一方、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹投信グルー プ長はソニーについて「市場には期待も失望もない」と話した。「コス ト構造を変えて利益確保できる体質にはなったが、どの事業を伸ばし て成長していくかが見えてこない」とし、成長戦略に目新しさがない と語った。

--共同取材:Masaki Kondo, Pavel Alpeyev,駅義則

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