ベアマーケットの日本に有望銘柄、セコムやシマノ-米アンホールド

「ベアマーケット(弱気相場)が 20年続く日本株は非常に安くなった。世界の中でも株価が企業の本 質的価値を大きく下回る銘柄が豊富なのは日本だけ」。米アンホール ド&S.ブライシュローダー社のポートフォリオ・マネジャー、アベ イ・デシュパンデ氏は、日本株に最も多く投資する投資家の1つであ る理由をこう話す。

デシュパンデ氏は、バリュー株投資の王道を行く米国の「ファー スト・イーグル・グローバル・ファンド」の運用者の1人。同ファン ドは1979年設定、9月末現在の設定来上昇率は65倍で、MSCIワ ールド・インデックスの17倍を大きく上回る。純資産総額は195億 ドル(1兆7360億円)。アンホールド社は「ファースト・イーグル」 を含めて現在、総額8000億-1兆円を日本株に投資している。

アンホールド社の投資哲学は、長期的に有望と考えられるものの、 一時的に景気が低迷している国や業界、投資家の関心が薄くなった企 業に注目し、株価が本質的価値を35-50%下回る極めて割安な銘柄 に投資するというもの。

「ファースト・イーグル・グローバル・ファンド」のホームペー ジによると、9月末の組み入れ上位10銘柄のうち日本企業はセコム、 ファナック、SMC、アステラス製薬、キーエンスと半数を占める。 1位は流動性確保のため常に一定割合を組み入れている金のETFで あり、セコムが実質1位だ。また日本株の比率は23%で、1位の米 国の28%に迫る。

ファナック、シマノなど日本企業が多数

ファナックやSMC、キーエンス、シマノは海外売上高比率が高 いグローバルプレイヤー。世界シェア、利益率も高く、豊富な現金を 有しバランスシートも良好だ。「こうした良い会社をバリュエーショ ンから見て安く買える銘柄が多いのが日本市場。結果的に日本株の比 率が高くなっている」と、デシュパンデ氏はいう。

しかし、常に日本株を多く組み入れていたわけではない。バブル 経済さなかの1988年、バリュー投資の観点から保有できる銘柄がな くなったとし、日本株をすべて売却した。10年後に日本株投資を再 開。ただこの時も、IT(情報技術)バブルの芽が育っていた中で、 買ったのはセコムやシマノ、損保株などインターネット関連株以外だ った。

10年以上保有するシマノは、自転車部品の分野で世界では圧倒 的なシェアを持つ。デシュパンデ氏は、シマノの強さはそのスケール だといい、技術開発予算の多さに着目。同社が開発した電動ギアは今、 高級品に搭載されているが、それが中級品、低価格品へと広がること で、10年後に自転車のギアは大きく変わり、シマノの競争優位性が さらに高まると予想する。

10月末現在、シマノ株の年初来騰落率はプラス0.5%で、TOP IXのプラス4.1%を下回る。この点について、デシュパンデ氏は 「世界的な景気後退の影響で利益水準や利益率が低下している今期の 業績を反映している」と解説。ただ、長期の事業サイクルの中で達成 する収益が重要と見ており、「何十年もこうした事業を今後継続して 高い収益を出していくことを考えると、まだまだ割安」という。

事業をただで買える

天然調味料のアリアケジャパン、カラオケの第一興商、ボイラー の長府製作所、衛生白衣を製造するナガイレーベンなど、もうかる事 業を展開し、経営もしっかりしている小型株も多く保有する。

長府製は保有する現金が株式時価総額を上回っており、「これは 事業がただで買えるということ」とデシュパンデ氏。こうした現在の 日本株の投資環境は、1930年代の大恐慌直後の米国で見られた以外 はどこにも見当たらず、それほど日本株の安さを示しているという。 日本以外の投資比率を見ると、アジアが6.7%、ラテンアメリカが

1.3%と新興国が低い。中国やインドは非常に割高、米国や欧州はフ ェアバリューと見ている。

ただ日本株の組み入れ比率は2割を超え、過去にないほど高くな ったため、「買い進む段階は終わった」とし、今後は株価の下落で本 質的価値を大きく下回る場面で買い増したい」と、デシュパンデ氏は 話す。

「ファースト・イーグル・グローバル・ファンド」と同様の手法 で運用されるファンドは、日本では9月にソシエテジェネラルアセッ トマネジメントが追加型投信「日興SGレジェンド・イーグル・ファ ンド」として設定した。同ファンドの純資産総額は17日現在331億 円。デシュパンデ氏へのインタビューは17日に東京で行った。

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