HSBCのブラジル株投信が成績トップ、消費重点-日本の個人視線

アジア籍の投資信託で、年初来の 運用成績でトップに立つのがHSBC投信のブラジル株ファンドだ。 潜在成長力の高さが評価され、ブラジル株は世界平均をしのぐ上昇率 を記録、中でも消費関連株への積極投資が同ファンドの好成果につな がっている。2016年の五輪開催も決まり、豊富な話題性、成長期待の 高揚から、日本の個人マネーの流入も急増している。

ブルームバーグ・データによると、英銀HSBCホールディング ス傘下のHSBC投信が運用する追加型投信「HSBCブラジルオー プン」の年初来上昇率は16日現在で2.6倍と、アジア・太平洋で登録 されている純資産総額100億円以上の投信2181本中で1位。2位は韓 国の「未来アセット・ブラジル・インダストリ・レプレゼンタティブ・ エクイティ・インベストメント・トラスト」で2.5倍。

ブラジルオープンの運用を担当するHSBCグローバル・アセッ ト・マネジメント・ブラジルの最高経営責任者(CEO)、ペドロ・バ ストス氏は「ブラジルは内需主導で景気が回復に向かっており、内需 関連、特に消費関連に重点を置いて投資している点が、良好なパフォ ーマンスにつながっている」と指摘する。

好成績の主因は、ブラジル株の大幅反発だ。代表的指数のボベス パ指数の年初来上昇率は77%と、MSCIワールドインデックスの 28%を圧倒。ほかのBRICs市場との比較では、ロシアRTS指数 の134%に及ばないが、中国上海総合指数の80%、インドのムンバイ SENSEX30指数の76%とそん色ない。

GDP6割占める消費関連に重点

ファンドの上昇率はブラジル市場全体を大きく上回り、個別銘柄 の選択効果も存分に発揮されている。指数やほかのファンドとの違い は、消費関連株に重きを置いている点だ。HSBC投信によると、ボ ベスパ指数ではブラジル石油公社(ペトロブラス)やヴァーレなどエネ ルギーや素材株、イタウ・ウニバンコ・ホールディングスといった銀 行株の比重が高く、消費関連は9月末現在で12.4%に過ぎない。

しかし、ブラジルの国内総生産(GDP)の6割は消費が占める 現状から、HSBCでは経済成長を反映したポートフォリオを目指し、 消費関連株を36.2%と積極的に組み入れてきた。ほかのファンドを見 ると、ビー・エヌ・ピー・パリバ・アセットマネジメントの「BNPパリ バ・ブラジル・ファンド」では素材や金融、エネルギーで73.4%を占 めており、一般消費財・サービスはわずか5.1%。大和投資信託の「ダ イワ・ブラジル株式ファンド」もエネルギー19.2%、素材30.4%、金 融20.7%と、ベンチマークのボベスパ指数とほぼ同程度だ。

組み入れトップは食肉加工のJBS

「HSBCブラジルオープン」の組み入れトップ銘柄は食肉加工 大手のJBS。組み入れ比率は7.3%と、MSCIブラジル指数での 比率0.6%に対し大幅なオーバーウエート。HSBC投信の山本賢司 取締役は、国内消費の伸びだけでなく、「世界の新興国では経済成長に 伴い肉食へと食が変化するため、国内外で需要を取れる」点を投資魅 力に挙げた。JBS株は国内2位の同業ベルチン買収や米ピルグリム ス・プライドの発行済み株式の64%取得を発表した9月に18%上げた。

バストス氏は、所得向上やインフレ率の低位安定、クレジットカ ードや消費者ローンなど金融サービスの拡充を背景に、「個人消費は今 後も持続的拡大が見込まれる」とし、消費関連に重点を置く投資スタ ンスを維持する方針だ。

国際通貨基金(IMF)の2010年の世界経済見通しによると、中 国のGDP成長率は9%、インドは6.4%で、日本は1.7%。ブラジル は、ルラ大統領が5%成長見通しを示している。ブラジルは中国など と比べ輸出比率が低く、足元の成長率は先進国の消費拡大の恩恵を受 ける中国やインドに劣るが、中印成長による食品、資源需要の高まり はブラジルに追い風。また、リオデジャネイロでのオリンピック開催 に伴うインフラ投資は144億ドルと計画され、内需拡大への期待も強 い。

HSBCのチーフ・エマージング・マーケット・エコノミストの フィリップ・プール氏は、財政政策が良く管理され、対GDP負債比 率も低く、構造改革が進んでいることなども評価し、ブラジルを「エ マージングの中でも中長期展望はベストシナリオ」と位置付ける。ま たHSBC投信の山本氏は、ブラジルの株式時価総額が円換算で100 兆円と、GDP150兆円の3分の2に過ぎない点に言及。「先進国並み の100%まで上昇してもおかしくはない」と見ている。

資金流入顕著に

「HSBCブラジルオープン」を販売する三菱UFJ証券では、 オリンピック開催地がリオに決定してから販売が急増。同ファンドの 10 月の販売額は120億円と、販売高ランキングで3位になった。同証 の高野誠投資信託課長は、「サッカー・ワールドカップに続くビッグイ ベントによって経済成長が加速するとの見方が強まり、今投資する理 由付けになっている」と話す。

同ファンドは、国内初のブラジル株ファンドとして2006年3月に 設定され、純資産総額は16日現在で2170億円。9月末からは1029億 円(90%)増え、国内最大のブラジル株ファンドとなっている。

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