債券は上昇、日米で低金利長期化観測-長期金利は1カ月ぶり低水準に

債券相場は上昇(利回りは低下)。 日米両国で低金利政策の長期化観測が広がるなか、先物市場では海外勢 など売り方からの買い戻しが再燃したもよう。新発10年国債利回りは ほぼ1カ月ぶり低水準となる1.30%をつける場面もあった。

三井住友海上きらめき生命保険経理財務部の堀川真一部長は、国債 増発への懸念が弱まる一方、内外で低金利政策が維持される見通しが強 まったと指摘。「金利急低下によって現物債は様子見姿勢もうかがえた が、先物などの買い戻しが相場を引っ張った」との見方を示した。

現物市場で新発10年物の303回債利回りは前日比3ベーシスポイ ント(bp)低い1.30%で始まった。新発10年債としては10月14日に 以来の低い水準を記録した。その後は1.30-1.31%での推移が続いてお り、午後4時26分現在では2.5bp低い1.305%での取引だ。

現物債相場は前日にはもみ合いとなったが、その後の米債相場の上 昇を反映した買いが優勢となった。また、東京外為市場の円相場は1ド ル=89円ちょうどを挟んだ推移。前日の海外市場では一時88円76銭 と、10月9日以来の円高・ドル安水準をつけるなど、外部環境が改善 傾向にあることが債券市場で買い材料視されていた。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は16日、銀行 の貸し渋りの影響や失業率の高さなどに言及し、政策金利は長期にわた って低い水準に抑えられるとの認識を示しており、これを受けた米債市 場は2年債など短い年限が相場上昇をけん引した。

デフレ観測も買い材料

また、物価が持続的に下落するデフレ観測が意識されたことも債券 買いの一因となった。大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第 2グループリーダーは、政府がデフレを表明する可能性が高まったこと で、米国と同様に日本でも利上げが遠のくとの思惑が市場で強まったと いう。政府は2006年7月の月例経済報告で、物価判断について「デフ レ」という文言を約5年ぶりに削除していた。

菅直人経済財政担当相は16日の会見で、名目成長率が実質成長率 を下回ったことについて「デフレ的な状況に入りつつあるのではとの懸 念を持っている」として従来の発言から一歩踏み込んだ。菅氏はまた、 「政府としてトータルに判断するのはその他の指標を含めて精査の上で 11月20日に予定されている月例経済報告でお示ししたい」と述べた。

先物は1カ月ぶり高値圏

東京先物市場の中心限月12月物は前日比36銭高い139円22銭で 始まり、直後には139円28銭まで上昇して10月14日以来の高値をつ けた。次第に売りが優勢となると午前10時過ぎには139円11銭まで伸 び悩んだが、その後は139円20銭を挟んで一進一退が続き、結局は35 銭高の139円21銭で終了した。

先物相場は前日には上値の重さが意識されていたが、この日は再び 事前の予想以上の上昇となった。HSBC証券の白石誠司氏チーフスト ラテジストは、財政悪化への懸念が薄れつつあるなかで、海外勢が売り 持ち高を解消する買い戻しに動いていると指摘。金利低下のピッチが速 かったことで投資家の現物買いがやや慎重になる一方で、先物市場では 引き続き買い戻しが優勢となっていたもようだ。

超長期債利回りの低下には警戒も

現物市場では超長期債の利回り低下も加速した。20年物の113回債 利回りは10日午前に2.18%まで上昇したが、その後は急ピッチに金利 水準を切り下げ、この日は10月半ば以来の2.05%をつけた。三井住友 海上きらめき生命の堀川氏は、前週に2.2%乗せを待って買いそびれた 生命保険会社などが買っているほか、10年債を売却して5年や20年債 に入れ替える動きも出たもようだと分析した。

もっとも、19日に20年国債(11月債)の入札実施を控えて、足元 の金利低下の速さに対する警戒感もくすぶった。大和住銀投信の伊藤氏 によると、20年債には生保のほかに一部の銀行からも買いが入ったと されるが、「利回り2%台前半では生保などの買いが見送られる公算が 大きく、そうであれば明後日の入札が低調に終わって市場全体の金利低 下の流れを止める可能性がある」との見方を示した。

三井住友海上きらめき生命の堀川氏も、19日午前までに調整が入 らずに20年債の入札を迎えると、投資家の買いが引いて厳しい入札結 果が示されることも考えられると述べた。

--取材協力:池田祐美 Editors:Hidenori Yamanaka,Tetsuzo Ushiroyama

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 赤間信行 Nobuyuki Akama +81-3-3201-8842 akam@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Rocky Swift +81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE