2-10年国債利回り格差、財政懸念で3年半ぶり水準更新も

日本政府が発行する国債の利回り 曲線は傾斜化が進み、2年物と10年物の利回りスプレッド(格差)は 前週につけた3年半ぶりの高水準を年明けにも更新する可能性がある。 鳩山由紀夫政権の財政運営への不透明感や増発懸念が根強いためで、特 に長期金利に対する上昇圧力からくる格差拡大はしばらく続くとみられ ている

国債の2-10年スプレッドは10日、120ベーシスポイント(1bp=

0.01%)にまで拡大して、2006年5月9日以来およそ3年6カ月ぶりの 水準に達した。中期債の利回りが低位で安定しているのとは対照的に、 長期債の利回りは上昇が急速だったためだ。

みずほインベスターズ証券チーフマーケットアナリストの井上明彦 氏は、「財政リスクプレミアム(金利上乗せ)で長期ゾーンの利回りは 上昇が続く半面、足元の低金利政策に支えられて、短中期債利回りは安 定している」と指摘する。

井上氏は今後の2年と10年のスプレッドについて、短期的な調整 による縮小の動きはあるものの拡大傾向は継続すると指摘した上で、 「年明け以降に10年債利回りが再び1.5%を試す局面があれば、同ス プレッドも直近の最大値120bpを超える可能性がある」と言う。

財政リスク払しょくできず

今年度第2次補正予算や来年度予算編成に向けて、どの年限の国債 がどのくらい増額され、市中消化額がどの程度になるかが次第に明らか になってくる。市場では、そうなれば過度な需給悪化懸念は和らぐとの 見方もあるが、財政リスクまでは払しょくできないので、中長期的な 中・長期スプレッドの拡大傾向に変わりはないとみられている。

11月分以降の短中期債の増発については、投資家の資金余剰や低 金利政策の長期化観測の強まりで影響は限定的となっている。一方、10 年物などの長期債については、固定した投資家層が不在なだけに「需要 が懸念される」と、井上氏は話す。

様々な金利動向を見極めて民間金融機関が金利取引をする円・円ス ワップ相場では国債消化不良による財政破たんへの思惑を背景に、長・ 中期スプレッドの拡大を狙った海外勢からの売りが膨らんだと言われて いる。損保ジャパン・グローバル運用部債券運用第1グループリーダー の砺波政明氏は、国債利回りを含めた長・中期金利スプレッドの拡大は 「海外勢によるスワップ絡みのポジション(持ち高)によるものだ」と みている。

こうしたスプレッドの動きは国内の事情だけが反映されたものでは ないとの指摘もある。日興コーディアル証券国際市場分析共同部長の末 沢豪謙氏は、「世界的な財政出動で、長期や超長期債の発行を増やす動 きがある。将来のインフレ懸念や需給要因を背景に、世界的な利回り曲 線の傾斜化の流れは変わらない」と言い、長短スプレッドは緩やかな拡 大傾向が続くとみている。

足元では拡大傾向が一服

もっとも、足元では拡大傾向が一服し、2-10年債利回りスプレ ッドは縮小している。16日の同スプレッドは109.1bpとなり、10日に つけた3年半ぶりの高水準である120bpから10bp以上も縮小した。こ れは藤井裕久財務相と菅直人国家戦略担当相が10日に新規国債発行を 抑制する意向を表明したことがきっかけとなった。

長期金利の代表的指標である新発10年債利回りも10日の1.485% から、足元では1.3%台前半に水準を大きく切り下げている。クレデ ィ・スイス証券債券調査部長の河野研郎氏は、2年債利回りがあまり 動いていないのに対して、10年債利回りは目先の天井を打って低下に 転じたと説明した。

17日の債券相場は上昇し、新発10年債利回りは一時、前日比3bp 低い1.30%と約1カ月ぶりの低い水準に低下した。前日の米国債相場 が続伸したほか、政府が景気判断を示す月例経済報告に約3年ぶりに 「デフレ」の表現が復活する可能性が高いとの観測などが買い安心感 につながっている。

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