11月16日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨に対して15カ月 ぶり安値に下落。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が 「強いドル」に言及したものの、FRBの政策対応を疑問視する声が 広がった。

ドルは対ユーロで一時1ユーロ=1.4881ドルまで上昇した。バ ーナンキ議長はニューヨークでの講演で、FRBはドルの価値変動を 「注視」しており、「金融政策と米国経済の基調的な強さとが相まっ て強いドルを確実なものにする」と述べたことが背景。ドルはこの発 言から10分も経たないうちに、下落に転じた。FRBが政策金利を ゼロ付近で維持する必要に迫られるとの観測が広がりドル買いが控え られた。

RBSセキュリティーズの外国為替戦略責任者、アラン・ラスキ ン氏は、「バーナンキ議長は口先によるドル支援に乗り出した」と指 摘。「同時に、議長はなお経済の課題も認識しており政策金利を長期 にわたり低水準に据え置くだろう。ドルを支える政策を確実にする方 法など想像さえできない」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時2分現在、主要6通貨に対するインタ ーコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は前週末比0.6%低下 の74.880。一時は08年8月以来の低水準となる74.679を付けた。

バーナンキ議長は、銀行融資の縮小と低迷する労働市場という経 済の「向かい風」が米国の景気回復ペースを抑制することになるだろ うとして、借り入れコストの低水準維持が正当化されるとの見解を示 した。

ドル対ユーロ

ドルは対ユーロで前週末比0.5%安の1ユーロ=1.4974ドル(前 週末は同1.4903ドル)。ユーロは対円で0.2%安の1ユーロ=133円 32銭(前週末は同133円63銭)。ドルは対円で0.6%安の1ドル= 89円12銭(前週末は同89円66銭)。バーナンキ議長の講演開始か ら2時間以内には同88円76銭と、10月9日以来の安値を付けた。

ドルは08年10月には対ユーロで1ユーロ=1.2330ドルと、ほ ぼ3年ぶりの高値に上昇していた。世界経済がリセッション(景気後 退)で苦しむのに伴い、米国債に逃避する動きが広がったことが背景。 ドルはそれ以降18%下落。景気回復の兆しを背景に、リスクの高い 株式などに資金が流れた。

ノルウェー・クローネは対ドルで1%高。ブラジル・レアルは

0.6%値上がりした。低金利通貨で調達した資金を高金利通貨で運用 するキャリー取引が活発化するとの観測が背景。米国の政策金利 はゼロ付近にとどまっていることから、ドルを調達通貨に選好する動 きが強まっている。

「注視」と再発言

バーナンキ議長は08年6月3日にも「注視している」との表現 を講演で用いた。この日のニューヨークでの講演では、FRBの金融 政策が「強いドルを確実なものにし、ドルが世界的な金融安定化の源 となるよう支援するだろう」と述べた。

ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、リチャード・ フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は、「金融安定化への言及は、 弱いドルがシステミックリスクになりかねず、ほかの資産にも悪影響 を及ぼす可能性があるとの議長の認識を暗示している」と指摘。「弱 いドルは多くの人々にとって不安材料になっている」と述べた。

中国商務省はこれより先、通貨人民元の上昇容認を求める声を退 ける姿勢を示した。オバマ米大統領は初の公式訪中2日目の17日、 北京で米中首脳会談に臨む。

商務省の姚堅報道官はこの日、北京で行われた定例記者会見で、 ドル安が進行する中で、人民元など一部通貨の相場上昇を求めること は「世界経済の回復に寄与せず、公平でもない」と述べた。

◎米国株式市場

米株式相場は続伸。主な株価指数は1年1カ月ぶりの高値を付け た。商品相場の上昇と小売売上高の回復に加え、アジア太平洋経済協 力会議(APEC)首脳会議が景気刺激策を維持するとの宣言を採択 したことを好感し、買いが膨らんだ。

S&P500種のエネルギー株指数を構成する40銘柄のうち、エ クソンモービルなど39銘柄が上昇した。原油相場が6週間ぶりの大 幅高となったことが材料。10月の小売売上高が前月比1.4%増加した ことを背景に、ターゲットやシアーズ・ホールディングスが上昇した。 アメリカン・エキスプレス(アメックス)は大幅高。ローンのデフォ ルト(債務不履行)が6カ月連続で減少したことがきっかけ。

S&P500種株価指数は前週末比1.5%高の1109.30。ダウ工業 株30種平均は136.49ドル(1.3%)上昇の10406.96ドル。

デイナ・インベストメント・アドバイザーズ(運用資産28億ド ル、ウィスコンシン州ブルックフィールド)の最高投資責任者(CI O)、ジョゼフ・ベランス氏は「この日は小売売上高がどの材料より も影響力が強かったようだ。小売売上高の増加は大部分の市場と企業 に役立つはずだ。売上高が伸びるとの認識が強まるだろう」と述べた。

シンガポールで開かれていたAPEC首脳会議は15日、持続的 な経済成長まで景気刺激策を維持するとの首脳宣言を採択して閉幕。 16日は香港からロンドンに至るまで主な株価指数が上昇した。

バーナンキFRB議長は16日、銀行融資の縮小と低迷する労働 市場という経済の「向かい風」が、米国の景気回復ペースを抑制する ことになるだろうとの見解を示した。

バーナンキ議長はニューヨーク・エコノミック・クラブで講演し、 「なお重大な試練に直面している」と語り、「融資の流れは依然とし て抑制され、経済活動も弱く、失業率も高過ぎる水準にある。将来的 に揺り戻しに直面する可能性がある」と続けた。

ジェフリーズの株式取引ストラテジスト、クレイグ・ペックハム 氏は「世界の首脳は景気刺激策から撤退するのは時期尚早だとみてい る」と語った。

ドル安・商品高

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は0.6%低下の74.880。一時は74.679と、2008年8月以来 の低水準を付けた。一方、原材料19銘柄で構成するロイター・ジェ フリーズCRB指数は2.8%上昇。9月以来の大幅高となった。これ を背景にS&P500種の素材株指数は2.3%上昇した。

原油相場の急反発を材料に、S&P500種のエネルギー株指数は

2.5%高。全10セクター中で最も上昇した。

デボン・エナジーは4.7%高。債務縮小や陸上のエネルギー開発 資金として最大75億ドルを調達するため、メキシコ湾や海外にある 資産を売却する計画を明らかにした。

金が最高値更新

金相場が過去最高値を更新したことを背景に、バリック・ゴール ドやニューモント・マイニングが大幅高となった。

セキュリティー・グローバル・インベスターズ(ニューヨーク州 アービングトン)の運用担当者、マーク・ブロンゾ氏はブルームバー グラジオとのインタビューで、金の最近の上昇について「株式相場に とっては非常に明るい材料だ」と指摘。「商品買い・ドル売りの流れ で、株式相場にとっては好材料のようだ。景気刺激策の効果が続く限 り、この動きは続くと思う」と語った。

JPモルガン・チェースが「フォーカスリスト(買い推奨リス ト)」に入れたUSスチールとAKスチール・ホールディングがとも に急伸した。需要増を背景にした価格上昇見通しが推奨理由。

個人消費

ビーコンクレスト・キャピタル・マネジメントの最高投資責任者 (CIO)、ケビン・ディブニー氏は「米個人消費に関する良いニュ ースは何でも前向きに受け止められるだろう。年末商戦が近づくにつ れ、注目が一段と高まる。そのため、消費関連の明るいニュースは非 常に真剣にとらえられるだろう」と述べた。

ノードストロムはゴールドマン・サックス・グループが投資判断 を「中立」から「買い」に引き上げたことが買い材料。「富裕層の回 復から恩恵を受ける中心的な存在になる」との見方が判断引き上げの 理由。

◎米国債市場

米国債相場は上昇。2年債利回りは1月以来の低水準を付けた。 バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が経済の「向かい 風」に言及、この影響で政策金利は「長期にわたって」過去最低水準 に据え置かれるとの認識をあらためて示したことが材料。

2年債と30年債の利回り格差は3.50ポイントと、前週末13日 の3.54ポイントから縮小。バーナンキ議長はニューヨーク・エコノ ミック・クラブで講演し、「銀行の貸し渋りの影響で、一部の企業は 事業拡大や雇用の能力が限定される」と述べた。

HSBCセキュリティーズUSAの金利ストラテジスト、ローレ ンス・ダイヤー氏はFRB議長発言について、「連邦公開市場委員会 (FOMC)が前回の会合後に発表した、経済が非常に長期的な減速 に直面しておりインフレの問題はないとのメッセージと非常に合致し ていた」とし、「政策金利はより長期にわたって低水準が続くとの見 方を支持するものだ」と指摘した。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時14現在、2年債利回りは前週末比4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下の0.77%。一時は0.76%と、 1月23日以来の低水準を付けた。2年債(表面利率1%、2011年10 月償還)価格は2/32上げて100 14/32。

30年債利回りは8bp下げて4.27%。10年債利回りは7bp低 下し3.36%

「なお重大な試練」

バーナンキ議長は講演で、「経済はなお重大な試練に直面してい る」と語り、「融資の流れは依然として抑制され、経済活動も弱く、 失業率も高過ぎる水準にある。将来的に揺り戻しに直面する可能性が ある」と続けた。

また、「可能ならば最善のアプローチは、資産価格のバブルが将 来はじけた場合に備え、過度のリスクテークを抑制する監督・規制手 法を利用しシステムの回復力を確実にすることだ」と述べた。

「期待外れな状態続く」

米商務省が16日発表した10月の小売売上高(速報値)は季節調 整済みで前月比1.4%増加と、前月の2.3%減(速報値1.5%減)か らプラスに転じた。変動の大きい自動車を除くベースでは0.2%増だ った。

ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)のチー フ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「個人消費の回復は期待 外れな状態が続いている」とし、「需要や融資獲得の減少が影響し、 回復ペースは人々が期待していたよりもずっと遅くなっている」との 見方を示した。

ニューヨーク連銀が16日に発表した11月の同地区の製造業景況 指数は23.5と、前月の34.6から低下。ブルームバーグ・ニュースが まとめたエコノミスト予想の中央値30.0も下回った。

シティグループによると、米国債相場は今週予定される総額650 億ドルの利払いと償還金支払いを背景に、利回りが低下する可能性が ある。

シティの金利ストラテジスト、ニシャイ・パテル氏(ロンドン在 勤)は顧客向けリポートで、10年債はレンジ取引になるとした上で、 利回りが3.60%に上昇した際の押し目買いを推奨。一方、利回りが

3.20%を下回る水準に低下した場合には売るべきだと指摘した。利回 りは来年まで3.1-3.7%で推移すると予想している。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は上昇、過去6営業日のうちで4度目の 最高値更新となった。投資家はドル下落に対する代替投資として金に 買いを入れている。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数はこの日最大0.9%低下、年初からの低下率は8.1%となっ た。ドルは年初から29%値上がりしている。過去最低水準にある金 利や政府支出の拡大でドルは下落している。

ヘッジファンド、ゴールド・アロー・キャピタル・マネジメント のパートナー、ヘイスベルト・フルーネウェーゲン氏は「誰もが究極 の通貨である金を求めている。これほどまでに金利が低いのであれば、 ドル下落は不思議ではない。またドルを保有する魅力もない。投資家 の間では価値の低い通貨に対する保険が必要だとの認識が高まってい る」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前営業日比22.50ドル(2%)高の1オンス=1139.20ドル で取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は大幅反発。過去6週間で最大の値上がり だった。ドルが下落した一方で、S&P500種株価指数が1年1カ月 ぶり高値に上昇し、世界経済とエネルギー需要が回復しつつあるとの 信頼感につながった。

投資家はドル安を受けて代替投資としての原油に買いを入れた。 この日は、10月の米小売売上高が予想以上に伸びたことやアジア太 平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が景気刺激策の維持を宣言し たことが好感され、株式相場が上昇した。石油消費で世界3位の日本 の7-9月(第3四半期)国内総生産は4.8%増加した。

BNPパリバ(ニューヨーク)のブローカー、リック・ネイビー 氏は「ドルが下落し、株が上昇している。両方とも金相場の支援材料 だ。投資資金が引き続き流入している。それも相場を一段と押し上げ るだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 営業日比2.55ドル(3.34%)高の1バレル=78.90ドルで終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇、1年1カ月ぶりの高値となった。アジア太 平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が景気刺激策を維持するとの 宣言を採択したほか、今年7-9月期の日本の実質国内総生産(GD P)が予想を上回るプラス成長となったことが好感された。また、10 月の米小売売上高がプラスに転じたことも買い材料となった。

商品相場の上昇を背景に、オーストラリアの鉱山会社BHPビリ トンと、英豪系の同業リオ・ティントを中心に資源株が買われた。ド イツの鉄鋼大手、ティッセンクルップは4.5%上げた。米部門サフウ エイ売却を明らかにしたことが買いにつながった。

ビデオ会議関連製品を手掛けるノルウェーのタンバーグは3.6% 上昇。ネットワーク機器最大手の米シスコシステムズがタンバーグに 対する買収提示額を34億ドルに引き上げたことがきっかけ。

ダウ欧州600指数は前週末比1.4%高の251.34と、2008年10月 3日以来の高値で引けた。同指数は3月以来の水準からは59%上げ ている。

アクサ・インベストメント・マネジメントのストラテジスト、シ ャルル・ドートレム氏(パリ在勤)は、「経済の良好な兆候は継続す るだろう。当社は株式相場を前向きに見ている。経済の好材料で株式 相場は続伸し、2010年の業績見通しは上方修正されるだろう」と語 った。

◎欧州債券市場

欧州債相場は上昇。10月のユーロ圏消費者物価指数(CPI) は前年同月比0.1%低下と、5カ月連続のマイナスとなったことで、 欧州中央銀行(ECB)が景気刺激策を維持するとの観測が強まった。

独10年債利回りは低下。前週末は9月23日以来の高水準に接近 していた。

モニュメント・セキュリティーズのストラテジスト、マーク・オ スワルド氏(ロンドン在勤)は、「ユーロ圏のインフレ状況はかなり 明るくなっており、これだけでも国債相場を十分に下支えできるだろ う」と指摘。「供給が相場を圧迫する可能性は低いと当社はみてい る」と語った。

ロンドン時間午後4時39分現在、10年債利回りは前週末比5ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.32%。同国債 (表面利率3.25%、2020年1月償還)価格は前週末比0.45ポイント 上げ99.36。2年債利回りは1.18%と、前週末を2bp下回った。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。11月の英住宅価格統計で希望売却価格が前 月比で下落したことを受け、同国のリセッション(景気後退)脱却は 各国に比べ遅れるとの懸念が高まったことから、国債の安全性が見直 された。

10年債利回りはほぼ2週間ぶりの低水準まで2ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01ポイント)未満まで迫った。英最大の住宅 不動産ウェブサイト、ライトムーブが発表した英国の11月の住宅希 望売却価格は前月比1.6%値下がりした。10月は同2.8%値上がりし ていた。先週発表されたユーロ圏の2009年7-9月(第3四半期) 実質GDP(域内総生産)速報値は前期比で0.4%増加した一方、英 国は先月、リセッションから抜け出せずにいるとの認識を示していた。

ロンドン時間午後5時現在、10年債利回りは前週末比5bp低 下の3.74%。同国債(表面利率4.5%、2019年3月償還)価格は

0.38ポイント上げて105.89。2年債利回りはほぼ変わらずの1.33%。

RBCキャピタル・マーケッツのシニア債券ストラテジスト、リ チャード・マクガイアー氏(ロンドン在勤)は、今週は入札予定がな いことも英国債相場を支えていると指摘する。「発行がないことを背 景に、英国でも海外でも国債相場に買い注文が入っている」と述べた。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 藤田比呂子 Hiroko Fujita +81-3-3201-8662 hfujita2@bloomberg.net Editor:Yoshito Okubo、Akiko Kobari 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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