NY外為:ドルは15カ月ぶり安値-FRB議長発言を疑問視

ニューヨーク外国為替市場 ではドルが主要通貨に対して15カ月ぶり安値に下落。バーナンキ 米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「強いドル」に言及したも のの、FRBの政策対応を疑問視する声が広がった。

ドルは対ユーロで一時1ユーロ=1.4881ドルまで上昇した。 バーナンキ議長はニューヨークでの講演で、FRBはドルの価値変 動を「注視」しており、「金融政策と米国経済の基調的な強さとが 相まって強いドルを確実なものにする」と述べたことが背景。ドル はこの発言から10分も経たないうちに、下落に転じた。FRBが 政策金利をゼロ付近で維持する必要に迫られるとの観測が広がりド ル買いが控えられた。

RBSセキュリティーズの外国為替戦略責任者、アラン・ラス キン氏は、「バーナンキ議長は口先によるドル支援に乗り出した」 と指摘。「同時に、議長はなお経済の課題も認識しており政策金利 を長期にわたり低水準に据え置くだろう。ドルを支える政策を確実 にする方法など想像さえできない」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時2分現在、主要6通貨に対するイン ターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は前週末比

0.6%低下の74.880。一時は08年8月以来の低水準となる

74.679を付けた。

バーナンキ議長は、銀行融資の縮小と低迷する労働市場という 経済の「向かい風」が米国の景気回復ペースを抑制することになる だろうとして、借り入れコストの低水準維持が正当化されるとの見 解を示した。

ドル対ユーロ

ドルは対ユーロで前週末比0.5%安の1ユーロ=1.4974ドル (前週末は同1.4903ドル)。ユーロは対円で0.2%安の1ユー ロ=133円32銭(前週末は同133円63銭)。ドルは対円で

0.6%安の1ドル=89円12銭(前週末は同89円66銭)。バー ナンキ議長の講演開始から2時間以内には同88円76銭と、10 月9日以来の安値を付けた。

ドルは08年10月には対ユーロで1ユーロ=1.2330ドルと、 ほぼ3年ぶりの高値に上昇していた。世界経済がリセッション(景 気後退)で苦しむのに伴い、米国債に逃避する動きが広がったこと が背景。ドルはそれ以降18%下落。景気回復の兆しを背景に、リ スクの高い株式などに資金が流れた。

ノルウェー・クローネは対ドルで1%高。ブラジル・レアルは

0.6%値上がりした。低金利通貨で調達した資金を高金利通貨で運 用するキャリー取引が活発化するとの観測が背景。米国の政策金利 はゼロ付近にとどまっていることから、ドルを調達通貨に選好する 動きが強まっている。

「注視」と再発言

バーナンキ議長は08年6月3日にも「注視している」との表 現を講演で用いた。この日のニューヨークでの講演では、FRBの 金融政策が「強いドルを確実なものにし、ドルが世界的な金融安定 化の源となるよう支援するだろう」と述べた。

ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、リチャー ド・フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は、「金融安定化への 言及は、弱いドルがシステミックリスクになりかねず、ほかの資産 にも悪影響を及ぼす可能性があるとの議長の認識を暗示している」 と指摘。「弱いドルは多くの人々にとって不安材料になっている」 と述べた。

中国商務省はこれより先、通貨人民元の上昇容認を求める声を 退ける姿勢を示した。オバマ米大統領は初の公式訪中2日目の17 日、北京で米中首脳会談に臨む。

商務省の姚堅報道官はこの日、北京で行われた定例記者会見で、 ドル安が進行する中で、人民元など一部通貨の相場上昇を求めるこ とは「世界経済の回復に寄与せず、公平でもない」と述べた。

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