雇用なき景気回復が株価後押し-FRB議長、16日に昼食会で講演

米連邦準備制度理事会(FRB) のバーナンキ議長は、過去60年余りで最長のリセッション(景気後退) に陥った米国の成長率をプラスに転換させるのに成功した。これまで のところ、その恩恵を主に受けているのは、メーンストリート(一般 社会)ではなくウォールストリート(金融界)だ。

バーナンキ議長は16日、ニューヨーク・エコノミック・クラブの 昼食会で講演する。FRBが政策金利を「長期にわたり」「異例の低水 準」に据え置く方針を維持する中、株式相場は3月9日以降これまで に62%上昇した。一方で10月の失業率は10.2%と、26年ぶりの高水 準に達している。

バーナンキ議長の政策余地は限られている。FRBの政策金利が すでにゼロ付近にあり、バランスシートの規模も過去最高の2兆1400 億ドルを若干下回る高水準にあるためだ。今後は、企業のコスト削減 や生産性向上の取り組みが株式相場を後押しし続ける一方、ジョブレ ス・リカバリー(雇用増加を伴わない景気回復)がさらに鮮明になる 可能性がある。

IHSグローバル・インサイトの主任エコノミスト、ナリマン・ ベーラベシュ氏は「『良いニュースと悪いニュースがあります』という 話だ」と指摘。「企業セクターは財務状況がとても良好な状態を保つだ ろう。これは株式市場にとって好都合だ。悪いニュースは、失業が来 年春にかけて続くことだ」と語った。

7-9月期の米国内総生産(GDP)は前期比年率3.5%増と、 1年1四半期ぶりにプラス成長に転じた。けん引役となったのは、生 産性の大幅な伸びだ。労働省が5日発表した7-9月期の非農業部門 労働生産性指数は同9.5%上昇と、過去6年で最大の伸びを記録した。

生産性の改善

生産性の伸びは企業利益や株式相場を押し上げた。S&P500種 株価指数は過去8カ月で62%上昇。ブルームバーグの集計データによ ると、直近の四半期決算では、指数採用企業の8割以上の利益がアナ リスト予想平均を上回った。

ウェルズ・キャピタル・マネジメントの主任投資ストラテジスジ スト、ジェームズ・ポールセン氏は、企業収益の拡大は持続的な景気 回復と将来の雇用の「種」になり、継続的な株式投資を正当化すると 指摘した。

政策金利を非常に低い水準に維持するというFRBの公約も、株 価上昇に一役買っている。JPモルガン・チェースの主任エコノミス ト、ブルース・カスマン氏によると、FRBは来年いっぱい政策金利 をゼロ付近の水準に据え置く可能性が高い。

FTNファイナンシャルの主任エコノミスト、クリストファー・ ロー氏は「失業率が上昇している中でFRBが利上げを実施すること はない」と指摘した。

政治的リスク

債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネ ジメント(PIMCO)のモハメド・エルエリアン最高経営責任者(C EO)によると、FRBの緩和的な金融政策は、「緩慢な成長と高水準 の失業」というファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の現状を 逸脱した水準に株式相場を上昇させてしまう恐れがあるという。

失業増加は来年11月の中間選挙を前に、オバマ大統領はじめ民主 党陣営の政治的リスクになる。今月実施された世論調査によると、知 事選で共和党候補が勝利したニュージャージー、バージニア州の有権 者の間では、経済が最大の関心事だった。

オバマ大統領は12日、ホワイトハウスで12月に雇用サミットを 開催すると発表した。

同大統領は「これまでところ、経済成長はわれわれが心待ちにし ている雇用の伸びにつながっていない」と説明。「われわれには、米国 の雇用創出を加速させるため、可能な限りすべての責任ある追加措置 を検討する義務がある」との考えを示した。

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