ドル軟調、米低金利継続観測が重し―米小売、米中会談に注目(訂正)

東京外国為替市場ではドルが軟調。 米国の低金利政策の継続見通しを背景に、ドルを借り入れ高利回り資産 に投資する「ドル・キャリー取引」が続くとの観測がドルの重しとなっ た。

一方、海外時間に米国の小売売上高の発表や米連邦準備制度理事会 (FRB)のバーナンキ議長の講演を控えて、米長期金利や米国株の動 向に注目が集まる中、積極的にドルの下値を追う動きは限られた。17 日の米中首脳会談を前に、人民元の切り上げ問題の行方を見極めたいと の意向も様子見姿勢を強めた。

ブルームバーグ・データによると、ドルはメキシコ・ペソとブラジ ル・レアルを除く主要14通貨に対して前週末比で弱含みとなっている。 対ユーロでは1ユーロ=1.49ドル台前半から一時、1.4977ドルと2営 業日ぶりの水準までじりじりとドル安が進んだ。

新生銀行キャピタルマーケッツ部のキム・カンジャ次長は、「基 本的には今週もドル売りで、ユーロ・ドルも先週1回下がっているので ユーロが買いやすくなっている。あとは中国が人民元を切り上げるかど うかがもう一段ドルが売られるかどうかのポイントになる」と語る。

一方、ドル・円相場は1ドル=89円台前半から半ばで方向感に乏 しい展開が続いた。キム氏は、91円台半ばからの輸出企業のドル売り と89円台前半からの輸入企業のドル買いに挟まれた状況は変わらない と指摘。「ドル・インデックスが下がってきているという意味でドルの 上値も徐々に重くなっているが、この水準でドルを売ってくる動きはな いので、豪ドルやユーロなどその他の主要通貨が対ドルで思い切り上が らない限り、ドル・円が89円を割るのは難しい」とみている。

米小売売上高に注目

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によればこ の日発表される10月の米小売売上高は前月比0.9%増と前月(同1.5% 減)からプラスに転じる見通しだ。

前週末の海外市場では11月の米ロイター・ミシガン大学消費者マ インド指数(速報値)消費者マインド指数の予想外に低下したことから FRBが当面、低金利政策を継続させるとの観測が強まり、ドル売りに つながった。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、小売売上 高が堅調な内容となれば、「安心感が広がり、株が高く推移できるだろ う。そうなるとリスクテークという話になりやすく、ドル売りでいいと いうことになる」と指摘する。

その他にも今週は生産者および消費者物価指数や鉱工業生産、住宅 着工など米国で経済指標の発表が相次ぐ。新生銀のキム氏は、6カ月物 のドル建てLIBOR(ロンドン銀行間取引)が円建てLIBORを割 り込む可能性も指摘されている中で、インフレ指標が予想より強めとな り、米短期金利が上昇すれば、「反応が大きくなる」と指摘。一時的に ドルの買い戻しが強まる可能性もあるとみている。

人民元問題を注視―あす米中首脳会談

市場では、中国人民銀行(中央銀行)が先週発表した四半期報告で 人民元の安定を維持するとの文言が取り除かれたことで、世界経済が回 復に向かうのに伴い、中国当局が人民元の対ドルでの上昇を容認するの ではないかと観測が広がっている。

こうした中、中国商務省の姚堅報道官は16日、ドル安が進行する 中で、人民元など一部通貨の相場上昇を求めることは「世界経済の回復 に寄与せず、公平でもない」と指摘。オバマ米大統領の初の公式訪問が スタートする中、通貨人民元の上昇容認を求める声を退ける姿勢を示し た。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、人民元問 題について米中首脳会談の行方を見極める必要があるとした上で、「少 なくとも中国景気が失速して世界景気に良いことは一つもないことから 今、人民元を無理矢理にどうことするということはないだろう」と予想 する。「中国のゼロ回答ではないだろうから、徐々に変動幅を広げると いう程度の話で、それほどサプライズはないのではないか」とみている。

日本の材料には反応薄

一方、国内では日本の7-9月期の国内総生産(GDP)が発表さ れ、事前予想を上回る成長率となったが、円相場への影響は限定的とな った。また、午後には日経テレコンが、政府が日本の物価が持続的に下 落する「デフレ」に陥っていると認定する方向で最終調整に入ったと報 じたが、市場で目立った反応は見られなかった。

ユーロ・円相場は前週末に1ユーロ=132円台後半と今月4日以来 の水準までユーロ売り・円買いが進む場面が見られたが、週明けの取引 では134円台前半まで円がじり安となった。

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