債券、相場急騰の反動が先物上値を抑制-金利上昇時の買い需要を期待

債券相場は上値の重い展開。前週 半ば以降に相場が急騰したことの反動を警戒する見方から、先物は日中 を通してもみ合い推移に終始した。一方、現物市場では金利上昇時に投 資家の買いが入るとの期待が相場を下支えしていた。

東京海上日動火災保険投資部の岳俊太郎債券投資グループリーダー は、投資家は増発懸念を背景に買いを見送っていたが、前週後半に金利 が急低下したことで買いの機会を逃したとの思いが強いといい、「相場 が下がれば買わなければいけないという雰囲気だ」と指摘した。

東京先物市場の中心限月12月物は前週末比11銭安い138円77銭 で始まった。開始直後の売りをこなすと買いが優勢となって、一時は6 銭高の138円94銭まで上昇した。その後、午後に入ると再びマイナス 圏での推移となったが、取引終盤にかけてはじりじりと下げ幅を縮めて おり、結局は2銭安の138円86銭で取引を終えた。

先物12月物は9日の日中安値137円29銭から13日の高値139円2 銭まで、わずか4営業日で1円73銭も上昇したことから、急ピッチの 相場上昇に対する警戒感が広がった。日興コーディアル証券の野村真司 チーフ債券ストラテジストは、新規材料に乏しいなかで積極的な現物買 いは見込めないといい、「先週後半にかけて踏み上げの様相を呈した先 物についても落ち着きどころを見定める展開だ」と指摘した。

みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジストも、12 月物の未決済残高である建玉が12、13日の両日に5000億円弱も減った ことから、「週末の相場急伸は売り方の買い戻しがけん引したことがう かがえる」といい、市場で高値警戒感が広がりやすいとみる。

しかし、現物市場では金利上昇時の買いが見込まれており、先物相 場も日中は底堅さを維持する展開となった。DIAMアセットマネジメ ントの山崎信人エグゼクティブファンドマネジャーは、2010年度以降 の増発規模が不透明なのは事実としながらも、国内投資家はこうした懸 念を背景に売るのではなくむしろ押し目買いスタンスで臨むといい、当 面は先物市場での売りも出にくい環境だとの見方を示した。

10年債利回りは1.33%

現物市場で新発10年物の303回債利回りは前週末比0.5ベーシス ポイント(bp)高い1.345%で始まった。買いが膨らむと徐々に水準を 切り下げ、午前10時過ぎには1bp低い1.33%をつけた。その後は1.33 -1.34%での推移が続いており、午前4時10分現在では1bp低い

1.33%での取引だ。

303回債利回りは前週後半にかけて急ピッチで低下したため、10日 午前につけた1.485%は当面の天井との見方が有力だ。短期的には株価 反発などを嫌気して売りが優勢となっても、金利上昇時には投資家から の需要が膨らむ公算が大きい。前週末の米債相場が金融緩和政策の長期 化観測から続伸したことも支えとなっており、今週は1.3%台後半での 投資家の買いを探る展開が見込まれている。

一方、国債需給の不透明感はなお根強いことから、投資家が金利低 下に追随してまで買いに動く公算は小さいとの指摘もあった。日興コー ディアル証の野村氏は、政府の「事業仕分け」による歳出削減期待が、 市場では後づけ的に買い材料視されたが、来年度の新規国債発行額がど れだけ抑制できるかは不透明だといい、「12月までの10年債のレンジ は1.35%-1.50%程度ではないか」との見方を示した。

米債安定も下支え要因

米債相場が安定感を取り戻していることも、国内債相場の下支え要 因だと意識されている。DIAMアセットの山崎氏は、米国では連邦公 開市場委員会(FOMC)と雇用統計を通過する過程で2年債利回りが 大きく低下するなど、低金利政策の長期化観測が強まったと分析。「米 金利が安定し始めたことを受けて、日本の財政悪化をはやして売り込ん だ海外勢は当面は日本国債に手を出してこない」とみていた。

米連邦準備制度理事会(FRB)が3、4日に開催したFOMCで は、米国の利上げは労働市場とインフレが上向く時期次第としており、 市場では2010年前半の利上げ実施の観測が後退した。さらに、10月の 米雇用統計で失業率は10.2%に上昇して、1983年以来で初めて10%台 に上振れており、米2年債利回りは前月後半につけていた1%台から足 元では0.8%台前半での推移となっている。

日興コーディアル証の野村氏は、国内では今週に20年国債入札 (19日)以外に特段の材料がないため、「国内債市場は米国で発表さ れる経済統計の内容や、これを受けた米金利の動向に一喜一憂する展開 だろう」との見方を示した。

--取材協力:池田祐美 Editors:Hidenori Yamanaka, Saburo Funabiki

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