7-9月期の実質GDPは年率4.8%増に加速、予想上回る

今年7-9月期の日本の実質GD P(国内総生産)1次速報値は、前期比年率4.8%増と2四半期連続 でプラス成長となり、事前予想を大幅に上回った。アジア向けを中心 とした輸出好調や政策効果の継続による個人消費の増加に加え、設備 投資の回復も寄与した。10-12月期以降もプラス基調は維持するもの の、政策効果の息切れで成長率は鈍化するとの見方が有力だ。

内閣府が16日発表した四半期別国民所得統計によると、7-9月 期の実質GDPは前期比1.2%増。輸出が同6.4%増となったほか、前 政権による経済対策の効果が持続し、GDPの約6割を占める個人消 費は同0.7%増と2期連続で増加した。これまで出遅れていた設備投 資も同1.6%増と6期ぶりにプラス転換した。一方、公共投資は同

1.2%減、住宅投資は同7.7%減とともに減少した。内需は前期比0.8% 増と6四半期ぶりの増加となった。

また、4-6月の実質GDPは前期比0.7%増、前期比年率2.7% 増と、2次速報段階の前期比0.6%増、前期比年率2.3%増から上方修 正された。

日本経済は昨年10-12月、今年1-3月期に戦後最悪に匹敵する 急速な落ち込みを経て、4-6月期は5期ぶりにプラス成長に復帰。 中国を中心とした海外経済の回復に伴う輸出や生産の増加に加え、エ コカー減税や家電製品のエコポイント制度などの一連の消費下支え策 が奏功した。ただ、企業が依然過剰設備・雇用を抱える中、雇用者報 酬(名目)は7-9月期に前年同期比3.7%減と、所得環境は依然と して厳しいことを裏付けた。鳩山由紀夫政権が描く消費主導の自律的 な景気回復への道は険しい。

手放しで喜べない

菅直人経済財政担当相はGDP統計公表後の記者会見で、事前予 想を上回るプラス成長になったものの「これで、手放しで喜べるとは 全く思っていない」とし、「特に雇用の状況についてはまだまだ予断を 許さない」と指摘。さらに、名目成長率が実質成長率を下回ったこと に関しては「デフレ的な状況に入りつつあるのではとの懸念を持って いる」との認識を示した。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは発表後、「7- 9月期は公共投資の増加が止まり外需寄与度も縮小する中で、設備投 資が増加に転じるなど、成長の内容も4-6月期よりは改善している」 と評価した上で、「10-12月期以降についても、当面は潜在成長率を 上回る成長が実現する可能性が高く、いわゆる『二番底』は回避され る」とみる。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査(対象20人)によ ると、7-9月期の実質GDPの予想中央値は前期比0.7%増、年率 換算では前期比2.9%増だった。

来年前半は「踊り場」程度の停滞

伊藤忠商事の丸山義正主任研究員は「日本経済にとって正念場と なるのは、景気対策の効果が一巡する来年前半であり、四半期ベース でマイナス成長に陥る可能性も否定はできない」と指摘。ただし、「世 界経済回復による輸出増加が支えとなり、マイナス成長が2四半期は 続かず、『二番底』ではなく『踊り場』と認識すべき程度の停滞になる と考えていると語った。

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午後零時35 分現在、1ドル=89円65銭。発表直前は同89円60銭近辺で推移し ていた。同時刻現在、東京株式市場の日経平均株価は前週末比25円 38銭高の9795円69銭。債券市場では東京先物市場の中心限月12月 物が同6銭安の138円82銭。

内需・外需

7-9月期の輸入は、生産の持ち直しに伴う原材料輸入の増加に より、3期ぶりにプラスとなった。この結果、輸出から輸入を引いた 外需の成長への寄与度はプラス0.4%。一方、内需はプラス0.8%だっ た。また、民間在庫品増加の成長率への寄与度は、4-6月期のマイ ナス0.7%からプラス0.4%に転じた。

ドイツ証券の松岡幹裕チーフエコノミストは「内需回復の持続性 へのハードルは依然として高いと考えるが、一方で、海外経済の回復 が続くなら、他人任せではあるが、輸出の回復は続くだろう」とみる。 「この場合、第2ラウンドの波及効果として、輸出に関連する国内設 備投資が回復し始める」と見込んでいる。

内閣府の外郭団体の社団法人・経済企画協会が12日に発表した民 間エコノミストを対象としたESPフォーキャスト調査(回答期間10 月28日-11月4日:回答数38人)によると、10-12月期の実質成長 率(前期比年率)は平均1.5%、1-3月期は同0.89%と鈍化を見込 んでいる。

名目GDPはマイナス

7-9月期の名目GDPは前期比0.1%減、年率換算では0.3%減 と6期連続の減少となった。一方、名目GDPを実質GDPに変換す る際に用いられる物価指数のGDPデフレーターは7-9月期に前年 同期比0.2%上昇した。

丸山氏は「これまでの大幅な需給ギャップ拡大を受けたデフレ圧 力は今後も残存し、日本経済は当面デフレの状況が続く」とした上で、 「GDPデフレーターが10-12月期から前年比マイナスに転じ、再び プラス圏に戻るのは2012年1-3月期と予想している」としている。

内閣府は4月末の経済見通し試算で、09年度の実質成長率を

3.3%減としているが、10-12月期以降、0.9%減程度(年率3.4%減 程度)の成長でこの数値を達成できる。三井住友アセットマネジメン トの宅森昭吉チーフエコノミストは「09年度は政府見通しを上回る可 能性が大きい」とした上で、残り各2四半期が前期比0.5%増という 伸び率なら、09年度の成長率は前年度比2.4%減にとどまるとの試算 を示した。

菅直人副総理・国家戦略相は6日の閣議後会見で、今年度補正予 算の2.9兆円相当の執行停止により、経済成長率が0.2ポイント下押 しされるとの内閣府試算を示す一方、政府が打ち出した緊急雇用対策 や検討中の09年度2次補正予算で相殺できるとの認識を示している。 16日の記者会見では、雇用、環境、景気などを柱とした09年度2次 補正予算や10年度予算を通じ、「景気回復から成長への方向につなげ ていきたい」と強調した。

--取材協力:Minh Bui Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 伊藤辰雄 Tatsuo Ito +81-3-3201-3655 tito2@bloomberg.net

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