【今週の債券】堅調か、需給悪化懸念が後退-長期金利は1.3%前半も

今週の債券相場は堅調(利回りは 低下)となりそう。国債増発に伴う需給懸念が緩和されたほか、日米両 国で主要な国債入札を通過したことが買い材料視されそうだ。これまで 様子見だった投資家の買い需要が膨らめば、新発10年国債利回りは10 月半ば以来の低い水準となる1.3%台前半で推移しそうだ。

DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンド マネジャーは、長期的な財政悪化を見込んだ売りが収束して、金利はい ったん天井をつけたと指摘。そのうえで、「先週後半のようなピッチで 買われることはないにせよ、これまで買い遅れた投資家の押し目買いに 支えられて金利は上がりにくい展開だろう」との見方を示した。

今週の新発10年債利回りについて、13日夕方までに市場参加者3 人に聞いたところ、予想レンジは1.30%-1.40%に集約された。

新発10年債利回りは10日午前に1.485%まで上昇して、6月16日 以来の高い水準を記録したが、その後の3営業日で最大15.5ベーシス ポイント(bp)も低下した。金利が市場の想定以上のピッチで低下した ため、週初には買い控えの雰囲気が広がることも考えられるが、時間の 経過とともに投資家の買いがにじみ出てくる公算が大きい。

債券需給への懸念は今後もくすぶり続けるが、藤井裕久財務相が前 週に長期金利の上昇をけん制したため、国債増発に対する過度の警戒感 は緩み始めた。DIAMアセットの山崎氏は、2010年度の新規国債発 行額が44兆円を上回るとなれば、10年債利回りは1.5%を突破しかね ないとしながらも、「予算編成が本格化する12月まで回答は出ないだ けに、当面は1.3%台中心のボックス相場だろう」とみる。

投資家は押し目買い

10年債利回りは8月につけた直近ピーク1.46%を上回ったが、市 場の見通しどおりに1.5%付近では低下に転じた。ただ、前週はじめま では投資家も腰が引けて積極的に買えておらず、岡三アセットマネジメ ントの山田聡債券運用部長は、財政のテーマがあるかぎり金利上昇の余 地は残すとしながらも、「12月には国債償還を控えていることもあっ て、金利上昇時にはたんたんと買いを入れざるをえない」とみる。

BNPパリバ証券の山脇貴史シニア債券ストラテジストも、金利の 乱高下によって買いそびれた投資家は押し目買いスタンスで臨んでくる とみており、「10年債利回りは8月と同様に1.4%台は上振れの領域と の認識から、今後は1.25-1.40%のレンジを形成する」と読む。

もっとも、前週後半の相場上昇は、売り方の買い戻しがけん引した 可能性が高く、10年債利回り1.3%台前半からの買いも期待しづらい。 みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、今後も国債増発 リスクがつきまとうことは金利低下を抑制するため、当面は戻り売りと 押し目買いが交錯するとしたうえで、「10年債は1.30%から1.4%台前 半でのもみ合いを想定している」という。

GDP統計や20年債入札に注目

今週は7-9月期の実質国内総生産(GDP、16日)発表のほか、 20年国債入札(19日)や日銀金融政策決定会合(19、20日)が予定さ れているが、いずれも債券市場に及ぼす影響は限定的との見方が多い。

ブルームバーグが実施したエコノミスト調査によると、7-9月期 の実質GDPは前期比0.7%増、年率換算では3.0%のプラス成長が予 想されている。

一方、19日に行われる20年利付国債(11月債)の入札は無難な結 果が見込まれている。新発20年債利回りは10日に2.18%をつけたもの の、前週末には一時2.08%まで低下した。シティグループ証券の佐野 一彦チーフストラテジストは、20年債利回り2.1%割れでは絶対金利水 準を重視する投資家が積極的になる理由を見出しにくいとしながらも 「結果が予想外に良いとなれば反発相場に弾みがつくかもしれない」と みる。

市場参加者の予想レンジとコメント

11月13日夕までに集計した市場参加者の予想レンジは、以下の通 り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは303回債。

◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長

先物12月物138円20銭-139円20銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「長期金利は緩やかな低下基調に入る。警戒された5年入札や巨額 の米債入札を順調に消化し、需給懸念だけでは売りが続かないことがは っきりした。20年入札も問題ないだろう。来週は日米とも休みが多く なり、12月に入れば大量償還も意識され、年内の需給環境は好転する 方向だ。日本株は上値が重く、安全資産への資金の流れが続く中で、今 後は銀行勢が買ってくるかが焦点だ」

◎大和住銀投信投資顧問・伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダー

先物12月物138円30銭-139円30銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「7-9月期GDP統計をはじめ、日銀金融政策決定会合、米小売 売上高などは材料視されないだろう。株価のもたつきや人民元切り上げ に伴う円高への思惑などで債券相場はしっかりの展開か。藤井財務相か ら国債管理や財政規律に関してポジティブな発言が出て悪材料出尽くし 感もある。20年債入札は金利が低下したとはいえ無難な結果とみる」

◎岡三アセットマネジメント・山田聡債券運用部長

先物12月物138円30銭-139円30銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「10年債利回りは1.3%台で足場を固める。財政悪化をテーマにし た金利上昇に歯止めがかかり、再びレンジ取引に戻された格好だ。国内 投資家にとっては債券残高を積む前に金利が急低下してしまっただけに 今後は押し目買いがじわじわと出てきそう。7-9月期の実質GDPは プラス成長が続こうが、市場は先行きの景気減速を意識し始めている」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Saburo Funabiki

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