【日本株週間展望】下落、低成績に海外勢愛想尽かす-アジアで劣後

11月第3週(16-20日)の日本 株相場は下落する見通し。世界的な景気回復期待が根強く、一方的に 売り崩す向きは少ないが、日本株は中国などほかのアジア諸国に対し 株価の上昇率が著しく低く、海外勢を中心に敬遠され始めている。

MU投資顧問の森川央シニアストラテジストは、「日本はデフレ 環境下で長期金利が上昇基調にあり、株価上昇を抑える要因になって いる。海外に比べアンダーパフォームしてしまうのは仕方ない」と話 す。

欧州銀行大手のクレディ・スイス・グループは10日、顧客に対し 日本株の組み入れ比率を「市場平均並み」に下げるよう推奨した。前 回は25%の「オーバーウエート」だった。世界の主要株価指数が年初 から軒並み20%以上上げる中、TOPIXは13日時点で0.9%上昇と 見劣りするため。ストラテジストのアンドリュー・ガースウエート氏 は、「投資家は日本に対し、長期的に幻滅しているようだ」と述べる。

同氏はリポートで、日本には無駄な財政支出で「経済成長以上の 増税を行うリスクがある」と指摘。あるファンドマネジャーからは、 仮に中国をオーバーウエートにして運用資産を減らしたとしても、何 とか許されようが、日本をオーバーウエートにしてパフォーマンスが 悪い場合は許されない、と打ち明けられたという。

東京証券取引所が12日発表した11月1週の投資部門別売買状況 によると、外国人は日本株を現物で292億円買い越したが、先物では 1300億円強売り越した。現物も、夏場に毎週数千億円買い越した状況 からは細り気味。ブルームバーグが世界の端末ユーザー1232人を対象 にまとめた11月の投資家信頼感調査でも、日本株に対する信頼感指数 は44.30と、前月から1.13ポイント低下、強気と弱気の境目を示す50 を下回る。

カントリーアロケーション再考

野村総合研究所(NRI)が10月にまとめた「日本の資産運用ビ ジネス2009」によると、日本の投資家が保有する資産は09年3月末 時点で1570兆円と、1年前から6.5%減少。また、資産運用機関が運 用委託を受けている金額は約315兆円(海外顧客分含む)と、16%減 った。

NRIでは、ここ数年成長を続けてきた資産運用業界としては、 初めてと言える収益の大幅な落ち込みだったとし、特に外資系運用会 社の収入の低下が国内系に比べ大きかった点に言及している。ただ、 向こう3-5年間の資産運用ビジネスの伸びを聞いたアンケート調査 では、「年率10%以上の成長が可能」と答えた経営者が日系で約5割、 外資系で約7割を占め、概して強気だという。

NRIの金融ITイノベーション研究部の浦壁厚郎副主任研究員 によれば、「リーマンショック以降、ホームアセット・バイアス(自 国資産への偏重)を外し外国資産の組み入れを増やそうという機運が 高まっている」ため、期待リターンの低い日本株の比率を下げ、外国 株を高める向きが多い。特に、新興国の組み入れ需要が増えており、 「ベンチマークをMSCIオール・カントリー・ワールド・インデッ クス(ACWI)とするグローバルな商品が人気化している」という。

世界株上昇もそろそろ、東欧リスク

世界の主要株価指数は年初来、米S&P500種株価指数で20%、 独DAX指数で18%、中国上海総合指数、ムンバイSENSEX、ブ ラジルボベスパ指数はそろって70%以上上昇し、低迷する日本株との 格差を鮮明にしている。

しかし、米モルガン・スタンレーのファンドマネジャー、ルチル・ シャルマ氏は「景気刺激策の効果が薄れ始め、イージーマネー(金融 緩和)で生じた信用バブルが崩壊するのに伴って上昇相場は終わる」 と予測。そうなれば、ブラジルなど1次産品生産国が深刻な打撃を受 けると警鐘を鳴らす。

MSCI新興市場指数は2009年の年明け以降で75%上昇、MS CIワールドインデックスの同26%を50ポイント近くアウトパフォ ームした。このため、ヘッジファンドなどの短期投資家が11月初旬に ロシア、東欧、ブラジルなどの新興エマージング株をいったん売り放 す動きを見せていたとされ、先行きが注視されている。

第一生命経済研究所経済調査部の西濱徹エコノミストは、「東欧 諸国には成熟した資産市場がなく、欧州金融機関の状況で大きく振れ る。欧州の景気回復が一巡してしまった今、東欧諸国の株式資産を積 極的に買っていく材料は乏しい」との見方だ。

ポーランドの9月の小売売上高は前年同月比8.8%減、同3カ月 移動平均は5%減。ハンガリーの小売売上高も8月が7.2%減で、今 月23日に公表される9月分もブルームバーグのエコノミスト予想で は6.6%減が見込まれる。規制当局の圧力から欧州金融機関のバラン スシート調整が懸念される中、東欧諸国の株価下落が鮮明になれば、 欧州金融機関の追加損失懸念が助長される可能性がある。

西濱氏は、「東欧諸国のほとんどがドイツ向けに商品を売ってお けばそれで良いとの風潮が強く、自国の内需拡大策を打ってこなかっ た」と指摘、東欧圏だけで経済を浮揚させるだけの実力を持ち合わせ ていない、と分析している。

日本で7-9月GDP、米小売売上高

11月3週の日本株相場に影響を与えそうな主な予定は、16日に日 本の7-9月国内総生産(GDP)の1次速報が発表予定。米国では 同日、10月の小売売上高と11月ニューヨーク連銀製造業景気指数が 発表され、18日には10月の住宅着工件数と消費者物価指数、19日に は週間新規失業保険申請件数などの公表も控える。

*T 【市場関係者の当面の日本株相場の見方】 ●大和投資信託・投資調査部の長野吉納シニア・ストラテジスト 「方向性に欠ける展開が続きそうだ。きっかけがないと株価は上昇し ずらい。ただ、7-9月期GDPが設備投資増加により事前の市場予 想を上回れば、株価上昇のきっかけになる可能性が十分にある。日経 平均株価は1万100円から200円まで上昇しそう」

●日興コーディアル証券の大西史一国際市場分析共同部長 「しばらくは上値が重い展開だ。3月安値を基点にして世界の主要株 価を見ると、民主党の圧勝が伝わり始めた7月あたりから日本株は取 り残されている。製造業の派遣禁止などによる企業負担は不透明で、 赤字国債で金利上昇リスクも出ている。民主党はマーケットと対話が うまく出来ていないようだ」。

●スミザーズ・コーポレーションのアンドルー・スミザーズ氏 「日本は新世界秩序下での勇士だ。短期視点では、世界主要株式相場 同様、東京もコーシャス(慎重視)としているが、長期でみれば日本 はおおむね内需、外需とも明るい。日本企業は米国企業に比べ収益見 通しが良く、株価が割安だ」 *T

--取材協力:池田 亜希子、浅野 文重、常冨 浩太郎、 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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