11月12日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルがユーロに対して上昇、一 時は8月以来の大幅高を記録した。米株式相場が下落し、高利回り資 産への需要が後退したのが背景。

ドルは対ユーロで上昇。前日のドルは一段の売りが促される節 目以上には下げなかったことからその後は反転し、対ユーロで上昇し ていた。南アフリカ・ランド、ノルウェー・クローネ、カナダ・ドル は米ドルに対して下落。金が最高値から下落し、原油も売られたのが 背景だった。

インタラクティブ・ブローカーズ・グループのシニアマーケッ ト・アナリスト、アンドリュー・ウィルキンソン氏は、「この日のリ スクに対する投資家心理は積極的ではないようだ。ドル安見通しに変 化はない。しかし今のところ1ユーロ=1.50ドルを超えるユーロ高 を試す勢いはなさそうだ」と語った。

ニューヨーク時間午後4時7分現在、ドルは対ユーロで1ユー ロ=1.4837ドル。一時は1.1%高と、日中取引としては8月7日以 来の大幅上昇を記録した。前日は1.4987ドルだった。円はユーロ に対して0.4%上昇の1ユーロ=134円15銭(前日は134円69 銭)。円は対ドルで0.6%下げて1ドル=90円39銭。

スウェーデン・クローナは対ドルで1.3%安、ニュージーラン ド・ドルも同1%下落した。低金利通貨で資金を調達し高金利通貨で 運用するキャリー取引が減少するとの見方が広がった。米国の政策金 利は事実上ゼロ、キャリー取引の資金調達通貨として選好されている。

中国の温首相

中国の温家宝首相は12日、北京のフォーラムでテレビ演説を 行い、大恐慌以後で最悪の金融危機に見舞われた世界は、緩やかでま だら模様の回復局面にあるとの認識を示した。温首相は人民元につい ては発言しなかった。

ゴールドマン・サックス・グループのエコノミスト、喬虹、宋 宇両氏(香港在勤)は12日付の調査リポートで、「中国の通貨当局 者は、人民元の為替レートを変化させるかどうか決断していないよう だ」と述べた。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE) のドル指数は前日比0.7%上昇の75.704と、2日連続上昇。

日本は強いドル支持

古本伸一郎財務政務官は12日午後、シンガポールで、ブルー ムバーグ・ニュースなど一部報道各社のグループインタビューに応じ、 強いドルを支持、日本の外貨準備について「ポートフォリオを基本的 に変えるつもりはない。外貨準備のほとんどは米国債だが、これを維 持していく」との考えを示した。

ガイトナー米財務長官は12日、ブルームバーグテレビジョン とのインタビューで、「強い」ドルを維持することは米国にとって 「非常に重要」とあらためて表明した。

◎米国株式市場

米株式相場は下落。ヒューレット・パッカード(HP)による スリーコム買収発表を好感し一時上昇する場面もあったが、先週分の 原油在庫が予想を上回る増加となったことでエネルギー関連株が大き く売られ値を消した。主要株価指数は前日、13カ月ぶり高値を付け ていた。

原油相場の下落を受け、サウスウエスタン・エナジーやレンジ・ リソーシズを中心に売りが出て、S&P500種の石油・天然ガス関 連40銘柄中、39銘柄が値下がりした。ドルが主要16通貨のうち 14通貨に対し値上がりしたことで、商品相場は下げが拡大した。一 方でスリーコムは31%高と急伸。上昇率は2007年以降で最大とな った。HPがスリーコムを27億ドルで買収すると発表したことが材 料。

S&P500種株価指数は前日比1%安の1087.24で終了。エネ ルギー省の週間在庫統計発表前は1101.97まで上昇する場面もあっ た。ダウ工業株30種平均は93.79ドル(0.9%)下げて

10197.47ドル。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率 は1対8。

アルパイン・ミューチュアル・ファンズのファンドマネジャー、 サラ・ハント氏は「ファンダメンタルズはまだそれほどしっかりして いない」とし、「エネルギー株について言えば、需要サイドへの懸念 がなおも多く残っている。小休止の状態になりつつある。買いへの強 い意欲が出てきても、そのたびに景気が依然としてかなり悪いとの現 実に水を差される傾向にある」と指摘した。

「漠然とした期待感」

政府の刺激策や金融当局の利下げで、7-9月(第3四半期)の 米国内総生産(GDP)は5四半期ぶりのプラスとなった。ブルーム バーグのデータによれば、S&P500種の株価収益率は約22倍と、 02年以来の高水準となった。

リサーチ・アフィリエーツの創業者ロバート・アーノット氏は 「株式相場は漠然とした期待感を背景に上昇してきた」とし、「流動 性によって生じた強気相場はその流動性の流れが止まる前に終わると 仮定するのは常に危険なことだ。流動性の流れはしばらく続くが、市 場はファンダメンタルズよりももっとずっと先走っている」と述べた。

米市場での通常取引開始前、アジア株と米株先物相場は下落した。 中国の温家宝首相の発言を受け、世界経済の回復ペースは緩慢になる との懸念が高まったことが背景。

「緩慢かつ困難」

温首相は北京のフォーラムでテレビ演説を行い、「最悪期は脱し た」と述べた上で、「世界経済は回復し始めているが、完全な回復ま では緩慢で、困難なプロセスになろう」と語った。

サウスウエスタン・エナジーは4.8 %安の42.57ドル。独立 系エネルギー会社のレンジ・リソーシズは4.3%下げて48.98ドル。 米石油2位のシェブロンは1.4%安の77.42ドル。

S&P500種のエネルギー株指数は2%安と、全10業種の中で 最大の下げとなった。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 日比3%安の1バレル=76.94ドルで終了。米エネルギー省が発表 した週間在庫統計によれば、先週の原油在庫は前週比176万バレル 増の3億3770万バレルだった。ブルームバーグ・ニュースがまとめ たアナリストの予想平均値では100万バレル増と見込まれていた。

ソラリス・アセット・マネジメントのティム・グリスキー最高投 資責任者(CIO)は、「経済が安定化や成長の兆しを示しつつある にもかかわらず、原油の需要は高まってきていない」と指摘。「これ は景気回復の力強さに対し少し疑問を投げ掛けるものだ」との見方を 示した。

スリーコム買収

スリーコムはHPによる買収発表を好感し31%高の7.46ドル。 HPのマーク・ハード最高経営責任者(CEO)は、年間1180億ド ルに上る売上高のてこ入れを目指している。HPは0.6%安の

49.70ドルだった。

◎米国債市場

米国債相場は上昇。株価の下落で資金が国債に流入した。米財 務省30年債としては過去最大規模となる160億ドルの入札を実施 し、今週の3回の中長期債入札を終了した。

国債相場上昇の背景には、ドルがほとんどの主要通貨に対して上 昇したこともある。米2年債と30年債の利回り格差は3.60ポイン トと、6月以来の最大に拡大。財務省が期間の長い債券の発行を増や すとの観測がきっかけとなっている。30年債はこの日の入札直後に は下落する場面もあった。投資家の需要を測る指標の応札倍率が5月 以来の最低だったことが嫌気された。

クレディ・スイス証券の金利ストラテジスト、カール・ランツ氏 (ニューヨーク在勤)は、「入札終了後に一定の買い注文がみられた。 入札時にはいくらか慎重になっていた買い手からだった」と指摘。 「経済の新たな常態と鈍い成長を確信している投資家にとって、こう した利回り水準は魅力的のようだ」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時21分現在、10年債利回りは前営業日比5ベーシスポイ ント(bp、1bp=0.01ポイント)低下の3.44%。同年債(表 面利率3.375%、2019年11月償還)価格は13/32上げて99 14/32。

既発の30年債利回りは4.40%。この日の入札で、最高落札利 回りは4.469%と、入札直前の市場予想の4.424%を上回った。応 札倍率は2.26倍と、過去10回の入札の平均2.39倍を下回った。

「安心感」

ジェフリーズ・グループの主任テクニカルストラテジスト、ジョ ン・スピネロ氏(ニューヨーク在勤)は「全体的なトレンドは利回り 上昇方向だが、一定の時点で市場は反発する傾向がある」と指摘。 「入札を終えたという安心感がしばらくは市場を支えるだろう」と述 べた。

S&P500種株価指数は1%安。前日は13カ月ぶり高値で取引 を終えていた。

ガイトナー米財務長官は、発行済み国債の平均残存期間を引き延 ばすことで、借り入れコストを過去最低水準で維持したい意向を示し ている。財務省当局者は4日、平均残存期間6-7年を長期の目標と すると発表した。財務省のデータによると、現在の平均残存期間は約 53カ月と、過去平均の約5年を下回っている。

財務省は今週、総額810億ドルの国債を発行した。この中には 9日入札の3年債400億ドル、10日に実施された10年債250億ド ルが含まれる。米国は景気刺激策の財源として前例のない規模で国債 を発行。流通市場で取引される米国債総額は6兆9500億ドルに膨ら んでいる。9月には過去最高の7兆100億ドルに達していた。

2兆3800億ドル

ゴールドマン・サックス・グループの10月20日付リポートに よると、米利付国債の発行額は10月1日からの今会計年度には2兆 3800億ドルと、前会計年度の1兆8100億ドルから増加する見通し だ。

こうした発行額を背景に、一部投資家の間ではこの日の相場上昇 は続かないとの見方が浮上している。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は反落。最高値を更新する場面もあっ たものの、ドルが対主要通貨で前日に付けた1年3カ月ぶりの安値か ら戻したため、代替投資としての需要が弱まり、下げに転じた。

安全資産としての需要に対し、ドルの上昇が上値を抑え、金は前 日終値を挟んでもみ合う場面が目立った。主要6通貨に対するインタ ーコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は前日、2008年8月 以来の最低水準を付けた。投資家マーク・ファーバー氏は11日、金 が1オンス当たり1000ドルを再び下回ることはないとの見通しを 明らかにした。

ヘレウス・プレシャス・メタルズ・マネジメントのセールス担 当バイスプレジデント、ミゲル・ペレスサンタラ氏(ニューヨーク在 勤)はリポートで「ドルが反発、金の上昇相場はやや冷やされたが、 強気が続いていることに変化はない」と指摘した。さらに、金などの 貴金属相場は「投資資金が押し上げてきたものの、その資金流入が収 まれば、相場は下落する可能性がある」との見解を示した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比8ドル(0.7%)安の1オンス=1106.60ドルで取 引を終了した。一時は1123.40ドルまで上昇し、過去最高値を更新 した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は反落。米エネルギー省の週間統計で原 油在庫が予想以上に増加したことを嫌気し、売りが出た。需要低迷で 製油所の稼働率が約1年ぶりの低水準に落ち込んだことも悪材料。

原油在庫は前週比176万バレル増の3億3770万バレル。ブル ームバーグがまとめたアナリスト調査では100万バレルの増加が見 込まれていた。製油所の稼働率は、ハリケーン「グスタフ」と「アイ ク」の影響で操業停止に追い込まれていた2008年9月以来の低水準。

エネルギー顧問会社、オイル・アウトルックス・アンド・オピニ オンズのカール・ラリー社長は「需要が弱く、製油所に悪影響が及び 始めていることが大きな問題だ。原油在庫の増加は消費者にとって良 いことだが、需要が弱いため、ガソリンなどの石油製品生産に原油は さほど必要ではなくなるだろう」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 日比2.34ドル(2.95%)安の1バレル=76.94ドルで終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は続伸。BTグループが通期のキャッシュフロー 見通しを引き上げたほか、ブリティッシュ・エアウェイズとスペイン のイベリア航空との合併観測が買い材料となった。

英最大の固定電話会社BTグループは、通期のキャッシュフロ ー見通しを上方修正した。ブリティッシュ・エアウェイズとイベリア 航空はいずれも大幅高。両社は合併案を協議するため取締役会を開い た。

一方、コンテナ船輸送世界最大手のデンマーク企業、A.P. モラー・マースクは下落。同社が発表した四半期決算で、市場予想を 上回る赤字を計上したのが売り材料だった。

ダウ欧州600指数は前日比0.2%高の246.61。同指数は今年 3月から56%回復した。同指数の平均株価収益率(PER)は52 倍を上回り、2003年以来の高水準付近にある。

キャンター・フィッツジェラルドのチーフグローバル・ストラ テジスト、スティーブン・ポープ氏は「相場は本物の上昇基調にある。 これまでのような安値に戻ることはないだろう。まだ様子見に回って いる資金が豊富にある。株価の回復はまだ始まりから3分の1の水準 にあり、上昇は続くだろう」と語る。

12日の西欧市場では、18カ国のうち11カ国の主要株価指数が 下落した。ダウ・ユーロ50種指数は前日比0.1%安、ダウ・欧州 50種指数は0.1%上昇。

◎欧州債券市場

欧州債市場では、ドイツ10年債相場が下落。欧州の株式相場が 上昇したほか、この日発表された先週の米新規失業保険申請件数が予 想を下回ったことが背景にある。

10年債利回りは一時、9月23日以来の高水準まで4ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)に近づいた。米労働省が12日 に発表した7日に終わった1週間の新規失業保険申請件数は前週比1 万2000件減の50万2000件と、1月以降で最低となった。この日 のダウ欧州600指数は上昇。

RIAキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ニック・ スタメンコビッチ氏は「個人消費にとって重要な雇用市場で転機の兆 候があったならば、国債にとっては悪材料だ。だが、先行きの不透明 感は根強い」と語った。

ロンドン時間午後4時半現在、10年債利回りは前日比1bp上 昇の3.35%。一時は3.38%まで上げた。同国債(表面利率3.25%、 2020年1月償還)価格は0.11ポイント下げ99.13。一方、2年債 利回りは1.21%と、前日を2bp下回った。

◎英国債市場

英国債市場では、10年債相場が下落。同利回りは前日比3ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し3.78%となった。

英国政府はこの日、10億ポンドのインフレ連動債(表面利率

1.25%、2032年償還)を入札した。入札結果によれば、実効利回 りは0.59%、応札倍率は1.66倍となった。前回の4月入札では

2.08倍だった。

11月のブルームバーグ・プロフェッショナル・グローバル信頼 感指数によると、今後6カ月間にポンドは下落し、英国債利回りは上 昇する見込み。

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