ツムラ株が急反落、増益増配飲み込む薬価改定への不透明感(Update1

医療用漢方薬最大手のツムラ株が 急反落。医療用漢方薬に経営資源を集中させて臨んだ今期は、収益性 改善などで大幅な増収増益を達成できそう。増配方針も示し、アナリ ストらは高く評価したが、来春の薬価改定がまったく読めず、不透明 感から売り圧力が強まった。

この日のツムラ株は、朝方に一時0.7%高と小高い場面もあった が、中堅製薬メーカーの下げが目立つようになると徐々に売り込まれ、 午後零時50分に9.8%安の2770円まで下げた。下落率は、2008年10 月10日の10.8%以来の大きさ。

東海東京調査センターの赤羽高シニアアナリストは、「きのうの 『事業仕分け』で、財務省から貼付剤や漢方薬などのOTC類似薬を 公的医療保険の対象から外すよう提案があり、仕分け人15人中、11 人が賛成に回ったことが嫌気されたようだ」と指摘。実際に適用から 外されることはないと思うとしながらも、「リスクを先んじて織り込む 向きも出て、きょうの急落となった」と受け止めていた。

ツムラ常務の森善樹氏は11日午後、東京証券取引所内での決算会 見後に、「今回の薬価改定はまったく先が読めない。弊社としては4月 の薬価改定を前に3億円程度の買い控えがあると見込んだ」と話した。

政府の行政刷新会議は11日、2010年度予算の概算要求の無駄を 公開で洗い出す「事業仕分け」を開始。民主党政権下では初となる診 療報酬改定については、各紙報道によると、同じ有効成分の後発医薬 品がある先発医薬品の価格を、後発医薬品並みに下げる方針などが示 された。

漢方への理解が必要

ツムラはこの日午前10時からアナリストや投資家向けに決算説 明会を行った。同社広報担当の中島実氏によると、芳井順一社長は100 人弱の説明会参加者に対し、「今回のワーキンググループの議論が法的 拘束力を持つものではないと理解している」と語り、「医療現場で漢方 薬がいかに重用されているか、を説明する機会が欲しい」などと述べ た。

決算説明会に出席した赤羽氏は、「芳井社長の自信に満ちた回答は 好感できるが、事業仕分けはそもそも素人がみて、国のお金の使い方 が適正かどうかを議論する場だ。腰痛などで適用をとった医療用貼付 剤などと比べると、OTCで購入が可能な医療用漢方薬は狙い撃ちの 対象となりやすく、リスクが高い」とみていた。

業績増額、増配

ツムラが11日に公表した今期(2010年3月期)業績予想は、連 結営業利益で前期比21%増の200 億円と、アナリスト予想の平均179 億円を上回った。「抑肝散」「六君子湯」「大建中湯」の注力3製品の処 方(数量ベース)が20%超の伸びと、医療現場での漢方薬に対する需 要の高まりが背景。中間配当を23円に増額(前回予想20円、前年同 期17円)、期末配当も23円に上げ、年間46円(前期34円)の予定だ。

みずほ証券の岩田俊幸シニアアナリストは、「営業利益の増額修正 は事前の想定通りだが、配当の引き上げはポジティブ・サプライズだ った」と指摘。家庭用品事業を分離して医療用漢方薬に特化したツム ラに対し、「増配は新体制が成功裏に進んでいることへの自信の表れと みられ、積極的に評価したい」と話している。

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