10月の国内企業物価は6.7%低下-2カ月連続で下落率縮小

10月の国内企業物価指数は、昨年 夏にピークを付けた原油価格高騰の影響がはく落しつつあるため、前 年比の下落率が2カ月連続で縮小した。マイナス幅は今後さらに縮小 に向かう見込みだが、景気が昨年秋以降大きく落ち込んだことや円高 の影響で、企業物価の下落は長期化する公算が大きい。

日本銀行が12日発表した10月の国内企業物価指数は前年同月比

6.7%低下した。前月比は0.7%低下だった。ブルームバーグ・ニュー スの予想調査では前年同月比は6.0%低下、前月比は0.1%低下。9月 の確報値は前年同月比8.0%低下、前月比横ばいだった。

原油相場が昨年7月に1バレル=147ドルの最高値を付けた反動 で、国内企業物価指数の前年比は7、8月に8.5%低下と過去最大の 下落率となった。しかし、原油相場が昨年同時期から急速に下落に転 じた影響で、企業物価は今後、一段と縮小に向かう可能性が高い。た だ、需要の低迷に加え、円高の影響もあり、国内企業物価には当面、 下落圧力がかかり続ける見込みだ。

日銀調査統計局の肥後雅博企画役は「前年比では7、8月がボト ムで、マイナス幅は今後縮小に向かう可能性が高い」と指摘した。一 方、前月比で比較的大幅な下落となったことについては「中国向けの 需要が一服したことに加え、国内の需要も低迷しており、鉄鋼などが 下落した。原材料高の価格転嫁も進んでいない」としている。

今後徐々に円高の影響が

今後は円高も物価の下押し要因となる。BNPパリバ証券の河野 龍太郎チーフエコノミストは「8月中旬から円高が急速に進んだ影響 が国内企業物価にも徐々に表れてくる」と指摘する。12日の東京外国 為替市場で円の対ドル相場は1ドル=89円台後半で推移している。

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは 統計発表前、「日本の物価は幅広い流通段階において、8月に前年比マ イナス幅の底を打ったようだ」としながらも、「国内の需要不足に根差 すホームメード型(国産型)デフレはむしろこれからが本番だ」と指 摘。「今後は国内需給ギャップを背景として、高速度の下落から粘着的 な下落にギアをシフトする段階に入る」と指摘した。

4-6月の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率2.3% 増と5期ぶりにプラスに転じたが、1-3月までの景気の落ち込みが 大きかったことから、経済全体の需要と供給の乖離(かいり)を示す 需給ギャップはGDPのマイナス7.8%、実額40兆円程度に達した。 16日発表される7-9月のGDP成長率は2期連続のプラス成長が 予想されているが、依然として大幅な需要不足が続く見込みだ。

粘り強く緩和続ける日銀

日銀は先月30日公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート) で企業物価について「マクロ的な需給バランスの悪化を反映し、2009 年度後半も下落を続けるが、国際商品市況の動向を反映し下落ペース は鈍化するとみられる。10年度以降はマクロ的な需給バランスの改善 に伴い下落幅は徐々に縮小する」と予測。09年度マイナス5.2%、10 年度マイナス1.4%という見通し(政策委員の中心値)を示した。

日銀は同日の金融政策決定会合後の声明文で、「当面、現在の低金 利水準を維持する」とともに「極めて緩和的な金融環境を維持してい く」と表明した。JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は「デフレ下 にある日本では、『粘り強く』緩和を続けざるを得ないことをより明確 に示唆すべきではないか」と指摘している。

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