環境税やたばこ増税、暫定税率見直しと難問山積み-税調稼働

来年度税制改正をめぐる政府税制 調査会の議論が本格化、来月11日にも税制改正大綱をとりまとめる。 検討項目にはガソリン税の暫定税率などの租税特別措置(租特)の見 直しをはじめ、環境税の導入、たばこ増税などの難問が目白押し。今 年度税収が40兆円を下回る可能性が強まる中で、来年度税収が減収と なる事態を回避するための増減税のバランスが欠かせない。

税調は17日からほぼ連日開催されるが、調整は早くも難航。「ペ イ・アズ・ユー・ゴー(見合いの財源なくして減税なし)の原則が達 成できていない。厳しい切り込みをお願いしたい」-。5、6の両日、 各府省の税制改正要望の説明を受けた峰崎直樹財務副大臣は、いら立 ちを隠さなかった。要望の大半を占める減税項目で、税調が求めてい た見合いの財源案が示されていなかったからだ。

民主党の政権公約(マニフェスト)では新政策実現のため、租税 特別措置の大幅な見直しによって2013年度までに2.7兆円を確保する と明記している。しかし、減税要望が194項目、総額約6300億円に上 った一方で、租特の廃止・縮減は38項目にとどまった。

今年度税収(当初予算額46.1兆円)の下振れを受け、来年度税収 も40兆円前後となる見通し。一方で、来年度予算の概算要求総額は 95兆円と初の90兆円台に乗った。藤井裕久財務相は「来年度の新規 国債発行額を今年度の44兆円以下に抑える」と豪語するが、省内では このままでは予算が組めないと危機感が強まっている。

峰崎氏は企画委員会後の記者会見で、241項目ある租特のうち、 「合理性」、「有効性」、「相当性」などの指針にそぐわない税制に ついては期限切れを迎えたものを原則廃止とする方針を発表。租特 のゼロベースからの徹底した見直しをあらためて強調した。

環境税はネットで増税

マニフェストの最優先課題のうち、鳩山由紀夫首相はガソリン税 と自動車重量税にかかる暫定税率を来年度に廃止する考えを示してい るが、その場合、来年度税収はさらに約1.7兆円(国税分)の減収と なる。「地球温暖化対策税」がその補てん財源として浮上している。

鳩山首相が打ち上げた温室効果ガス25%削減目標を背景に、環境 省も強気だ。小沢鋭仁環境相は来年度からの導入に意欲を示し、「2 兆円前後を中心に検討する」と言明。現行のガソリン税のほか、重油 や石炭などすべての化石燃料にかかる石油石炭税の枠組みを基に幅広 く負担を求める構えだ。一方で、車体にかかる自動車重量税は対象外 としており、ネットで増税となる可能性が高い。

環境省の要望通り、二酸化炭素(CO2)排出量に応じた税負担 を求めれば、ほかの化石燃料の中でも税率が低い石炭にかかる税率ア ップは必至だ。ただ、これは電力・鉄鋼業界の負担増につながること から、経済産業省が難色を示している。看板を替えただけの暫定税率 との見方も否めず、調整は難航しそうだ。

中小企業の法人税減税に難色

一方で、経産省がマニフェスト案件として力を入れる中小企業の 法人税率の軽減税率の引き下げ(18%から11%)は、1900億円(国税 分)の税収減を伴うため、財務省が難色を示している。峰崎氏はヒア リングで、「マニフェストには財源を確保しながらとある」とした上 で、「経産省は租税特別措置の王様。租特を見直し、課税ベースを広げ て税率を下げていけば説得力がある」とくぎを刺した。

これに対し、増子輝彦経産副大臣は「わが省だけでペイ・ア・ユ ー・ゴーをやれば大変なことになる。税調全体として考える必要があ る」と反論。さらに「日本の産業構造の99%を占める中小企業が頑張 って黒字にして税収を上げていく時に恩恵が得られる政策を実現すべ きだ」とし、両者の議論は平行線をたどっている。

たばこ増税めぐる攻防

「初年度600円に設定し、700円、800円と段階的な値上げも考え られる」-。6日のヒアリングでは、たばこ税引き上げの具体的な金 額を例示した長浜博行厚生労働副大臣の発言に出席者から驚きの声が 上がった。これに対し、渡辺周総務副大臣は現行の1箱300円を来年 度から一気に倍増すれば 「大衆増税」になると指摘。たばこ増税に理 解を示しながらも、3-5年かけて引き上げるべきとした。

長浜氏の発言を「非常に大胆」と評した峰崎氏も8日のNHKの 番組で、「1本1円程度上げていく今までのようなやり方ではだめだ。 健康に良くないという観点から、この問題を正面からとらえていく」 と述べ、たばこ税の大幅な引き上げを示唆。一方で、喫煙者の需要低 下により「減収になる」とも指摘した。

たばこ税は毎年1兆円程度の税収を確保しており、09年度は1兆 377億円を見込んでいる。しかし、販売量は1998年度から下降を続け、 08年度には75%程度の2537億本まで減少。厚労省は、たばこを500 円にした場合の男性の喫煙率は08年度の36.8%から27.1-33.4%、 600円では25.3-31.1%に低下すると試算している。

たばこ1箱にかかるたばこ税(国税分)は87.44円。1985年の創 設以降、4回実施されたたばこ増税の引き上げ幅はいずれも1本当た り0.82円-0.9円(地方税分含む)にとどまっている。

財務省内では、来年度から増税に踏み切っても「1本1円程度」 との見方もある。来年7月の参院選を控えての大衆増税には与党から の反発も予想される。峰崎氏は実施時期について「これからの議論」 と明言を避けており、先送りの可能性も否定できない。

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