東京外為:円が上昇幅縮小、APEC控えアジア通貨めぐる思惑交錯

東京外国為替市場では、午後の取 引終盤で円が上昇幅を縮小する展開となった。12日にシンガポールで 開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)財務相会合を控えて、 世界経済の不均衡是正に向けたアジア通貨への上昇圧力が警戒されてい たが、為替相場が主要議題にならないとの一部報道を受けて、円が売り 戻される格好となった。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、先週末の20カ 国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で各国の景気刺激策維持 が確認されたことを背景にリスク選好的な動きが生じていたが、足元で は「エンジンが切れてきた感がある」と指摘。そうしたなか、「APE Cに市場の関心が移っていく」格好となり、中国の人民元を中心とした アジア通貨の動向が注目されている面があると説明している。

ドル・円相場は午後に一時1ドル=89円29銭と、円が2日以来、 約1週間ぶりの高値を更新。午後の取引終盤には、日本の政府関係者の 話として、APECでは、為替相場は焦点とならず、中国の人民元に関 する議論は行われない見通しだとの報道が伝わると、89円台後半まで 円が押し戻されている。

ユーロ・円相場も一時1ユーロ=133円81銭と、2営業日ぶりの 水準まで円が上昇したあと、134円台半ばまで円が水準を切り下げてい る。

APECに焦点移行か

米財務省関係によると、ガイトナー財務長官はAPEC財務相会合 で、アジア各国における内需拡大の必要性を協議する見通し。ソシエ テ・ジェネラル銀行の斎藤裕司外国為替本部長は、「アジア通貨高の思 惑が生じやすい」と指摘していた。

アジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁は11日、シンガポール でブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューに応じ、「人民元の 柔軟性向上を容認することが中国にとって必要であり、適切だ」と指摘。 「人民元はより柔軟性を増すと確信しており、中国経済にとってもそれ が必要だ」と語った。

ドル先安観根強い

一方、米金利の先安観がくすぶるなか、ドルで資金を調達して高金 利通貨に投資する流れは根強い。ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で 1ユーロ=1.4939ドルまでドルが上昇する場面がみられたが、この日 の東京市場では1.49ドル台後半を中心に推移。一時は1.5014ドルまで ドルが水準を切り下げている。

3カ月物ドル建てロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は過去最 低水準まで低下して推移。また、前日は株価の予想変動率の指標である シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX 指数)が22.84と、10月23日以来の水準まで低下しており、リスク資 産向け投資を回避する動きが鈍っていることも示されている。

三菱東京UFJ銀行市場業務部の高見和行上席調査役は、米国の金 融緩和の継続が見込まれる中、「レバレッジを効かせ、ドルを調達して 何かに投資するというオペレーションが当面続く」として、中期的には ドル安の流れが続くと見る向きが多いと指摘する。

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