11月10日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨に対して反発。ド ル指数は前日に付けた1年3カ月ぶり安値から戻した。リスク資産へ の需要が弱まるとの観測が背景。

フィッチ・レーティングスは最高格付けを付与された主要国経済 の中では英国の信用格付けのリスクが最も高いと指摘。これを嫌気し、 英ポンドはドルに対して下落した。ブラジル・レアルは対ドルでの下 落率がブルームバーグの調査する主要16通貨の中で最大だった。対 ドルでのレアル高を抑制するため政府が介入を試みるとの見方が広が った。

バンク・オブ・ノバスコシアの通貨戦略ディレクター、カミラ・ サットン氏(トロント在勤)は「前日はドルが大幅に下落した。この 日はその一部を回復しただけだ。大半の通貨は前日並みの高値で取引 されている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時6分現在、主要6通貨に対するインタ ーコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は75.033。前日は

75.026だった。前日は一時、74.930と、2008年8月以来の最低を付 けた。年初からは7.7%下落。

ポンドが安い

ポンドは対ドルで6日ぶりの下落。1ポンド=1.6727ドルは前 日比0.2%安。前日は一時、8月6日以来の高値をつける場面もあっ た。

フィッチの世界ソブリン格付け責任者のデービッド・ライリー氏 は電子メールで、英国は「財政の調整の必要性が最も大きい」と指摘 した。その上で、英国債についての「ステーブル(安定的)の見通し は、同国政府が来年、財政健全化に向けたより強い政策を明示的に示 すとの予想が背景だ」と説明した。

バークレイズのロンドン在勤の為替ストラテジスト、ポール・ロ ビンソン氏は、ポンド下落は「買いの好機」だと指摘する。同氏は、 「フィッチは英国の格付けを変更する計画はないと強調している。こ れ以外のニュースはより前向きな内容だ」と述べた。

ブラジル・レアル

レアルは対ドルで0.7%下落。市場参加者の間では、ブラジル政 府が輸出企業を支援するためにレアル高の抑制を試みるとの見方が広 がっている。

グローバル・ファイナンシャル・アドバイザーズのパートナー、 ミゲル・ダウド氏は、「政府はレアル高を容認しないとの感触が広が っている。政府は為替の方向性を変えるような強力な措置は持ってい なくとも、相場の上げを抑える程度はできる」と語る。

レアルは年初からドルに対して35%上昇。政府は先月19日、海 外の株式および債券の購入を対象に2%の課税を発表した。

ドルはこの日、対ユーロで0.2%上昇して、1ユーロ=1.4977ド ル。前日は1.4999ドル。バンク・オブ・ノバスコシアのサットン氏 は、年末時点の相場を1ユーロ=1.50ドル、来年末には1.60ドルま でドルが下落すると予想している。ユーロは対円で0.2%安の1ユー ロ=134円59銭(前日は134円91銭)。ドルは円に対しては1ドル =89円85銭(前日89円93銭)となっている。

◎米国株式市場

米株式市場では軟調な銘柄が多かった。MBIAやフルアー、エ レクトロニック・アーツ(EA)の決算が期待外れな内容だったこと を嫌気した。S&P500種株価指数は小幅ながら7営業日ぶりに下げ た。

金融保証会社(モノライン)世界最大手のMBIAは27%下落。 同社が発表した2009年7-9月(第3四半期)決算は、クレジット デリバティブ市場を通じて保証していた証券の価格下落が響き、純損 益が7億2780万ドルの赤字となった。エンジニアリング大手のフル アーは7.6%安。通期の利益見通しを下方修正したことが嫌気された。 EAも安い。同社の決算は7-9月(第3四半期)まで11四半期連 続の赤字となった。

一方、ダウ工業株30種平均はこの日も上昇。13カ月ぶり高値を 付けた。アメリカン・エキスプレス(アメックス)やバンク・オブ・ アメリカ(BOA)の値上がりが寄与した。

ルーミス・セイレス(ミシガン州ブルームフィールドヒルズ)の ファンドマネジャー、ディーン・グリス氏は「市場はどの企業がどう いった内容の決算を発表するかによって、日々一進一退を繰り返して いるようだ。きょうはやや期待外れな決算がいくつか見られた」と指 摘。「かなり良かった前日からの反動もある程度見られる」と分析し た。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は5対8。S& P500種株価指数は前日比0.1%未満安い1093.01。前日は2.2%上昇 していた。ダウ工業株30種平均は20.03ドル(0.2%)高の

10246.97ドルと、終値ベースでは2008年10月3日以来の高値とな った。

S&P500種は取引開始後の1時間で一時0.3%高まで上昇し、 10月9日に付けた1年ぶり高値まで1.5ポイント以内とする場面も あった。

「漸進的な改善」

ユナイテッド・ネーションズ・フェデラル・クレジット・ユニオ ン(ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、クリストファー・ サリバン氏は、「ここからさらに上昇するには、経済成長や企業活動 の面において漸進的な改善が続く必要がある。またできれば、レイオ フのペースが引き続き鈍化することも必要だ」と指摘した。

ブルームバーグがまとめたデータによれば、S&P500種の構成 銘柄中で10月7日以降に7-9月期決算を発表した430社のうち、 83%は予想を上回った。平均1株利益は同四半期に15%減少し、9 四半期連続での減益となっている。

MBIA、フルアー

MBIAは27%安の3.52ドル。08年4月以降で最大の下げとな った。同社の第3四半期決算は純損失が1株当たり3.50ドル。ブル ームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト予想の平均では1.09ド ルと見込まれていた。

フルアーは7.6%下落の44.38ドルと、3月以降で最大の下げ。 米上場エンジニアリング最大手の同社は、通期の利益見通しを引き下 げた。第3四半期決算では、1株利益が89セントと、市場の予想平 均90セントを若干下回った。

EAは6.4%安の18.29ドル。ゲームソフトメーカーの同社が発 表した7-9月(第2四半期)決算は、純損失が3億9100万ドル (1株当たり1.21ドル)と、前年同期から拡大。一部項目調整後の 1株利益は6セントで、ブルームバーグがまとめたアナリストの予想 平均(10セント)に届かなかった。

AIG、BOA

保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) は3.9%高の37.59ドル。格付け会社ムーディーズ・インベスター ズ・サービスは、米政府から救済措置を受けたAIGについて、金融 市場が安定すれば米連邦準備制度理事会(FRB)からの融資枠と、 米財務省による出資の「大部分または全額」の返済が可能になるとの 見方を示した。

BOAは1.7%上昇の16.03ドル。ケネス・ルイス最高経営責任 者(CEO)は、メリルリンチ買収に伴うコスト削減について、目標 の70億ドルのうち年内に45%を達成するとの見通しを明らかにした。 買収完了時点では25%と見込んでいた。

アメックスは1.6%高の39.68ドル。同社は10月の世界全体で のカード支払額が3%増加したと発表した。株高で富裕層顧客の心理 が改善した可能性がある。

◎米国債市場

米国債相場はほぼ変わらず。米財務省が実施した10年債入札は 好調だったものの、市場の関心は12日の30年債入札に移った。

10年債入札の最高落札利回りは3.470%と、入札直前の市場予想 の3.475%を下回った。投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.81 倍と、過去10回の入札の平均2.61倍を上回った。アトランタ連銀の ロックハート総裁は、戦後最悪のリセッション(景気後退)からの回 復は緩やかなものだろうと述べた。

BNPパリバ・セキュリティーズの金利ストラテジスト、サブラ ト・プラカシュ氏は、「10年債入札は非常に好調だったが、市場の関 心は30年債入札に移っている」と指摘。「30年債は別の生き物だ。 入札前には幾分のスティープ化がみられるかもしれない」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時29分現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇の3.48%。同年債(表面利率

3.625%、2019年8月償還)価格は2/32下げて101 7/32。

30年債利回りは1bp上昇の4.41%。発行日取引の同年債利回 りは4.45%。

入札にかけて相場上昇

この日の10年債入札で、海外の中央銀行を含む間接入札の割合 は47.3%。前回10月の入札では47.4%だった。過去10回の入札の 平均は36.2%。

スタイフェル・ニコラスのボルティモア部門で政府債トレーディ ング責任者を務めるマーティン・ミッチェル氏は「順調な入札だっ た」と指摘。「10年債相場は入札前に上昇、一部投資家の応札意欲を そぐリスクがあったものの、需要は引き続き堅調だった」と述べた。

前回10月7日実施の10年債入札(発行額200億ドル)では、最 高落札利回りが3.210%。応札倍率は3.01倍と、ブルームバーグが 1994年に集計を開始して以来2番目に高い水準だった。

ミラー・タバクの主任経済ストラテジスト、ダン・グリーンハウ ス氏は顧客向けリポートで、「応札倍率データは財務省の無視できな い国債販売能力を裏付けている。しかし、この事実は、国債発行増や 財政赤字拡大をめぐる懸念によってかき消される傾向があるようだ」 と指摘した。

国債のリターン

前日実施された400億ドルの3年債入札は、1981年に3年債の 定期入札が開始されて以来最大の規模だった。最高落札利回りは

1.404%と、入札直前の市場予想1.419%を下回った。財務省は12日 に30年債としては過去最大規模となる160億ドルの入札を実施する。

米国は景気刺激策の財源として前例のない規模で国債を発行。流 通市場で取引される米国債総額は6兆9500億ドルに膨らんでいる。 9月には過去最高の7兆100億ドルに達していた。

メリルリンチの米国債マスター指数によると、米国債の今年7月 1日以降の投資収益率は1.796%。今年上期の収益率は1978年の同 指数集計開始以来の最悪を記録していた。米国債相場は今年上期、金 融市場の安定化と財政赤字拡大を背景に下落。国債の安全需要が後退 した。

米2年債と10年債の利回り格差は2.64ポイントに縮小。今月6 日には7月27日以来の最大となる2.70ポイントまで拡大していた。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は7日続伸。過去3年で最長の上昇局面 となった。米金融政策がドル安につながるとの思惑から代替投資とし ての需要が強まった。

前日の市場では、主要6通貨に対するインターコンチネンタル取 引所(ICE)のドル指数は1年3カ月ぶりの低水準を付け、金は1 オンス=1111.70ドルと過去最高値を更新した。米連邦公開市場委員 会(FOMC)はリセッション(景気後退)からの脱却を図り、昨年 12月以降、政策金利を事実上のゼロで維持している。

インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズのヘッドディ ーラー、フランク・マギー氏は「ドル安が金相場を押し上げている。 米国はリセッションから脱却する最後の国となるため、FOMCは低 金利を維持せざるを得ないだろう。流動性は金融システムに潤沢にあ り、金相場はそれを反映している」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比1.10ドル(0.1%)高の1オンス=1102.50ドルで取 引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は反落。ドルが主要貿易相手国の通貨に対 して上昇したため、売りが優勢になった。熱帯性低気圧「アイダ」が 勢力を弱めたことも弱材料。

ドルが上昇し、商品の魅力が弱まったことを受け、原油相場は一 時1.9%下落した。米国立ハリケーンセンター(NHC)によれば、 アイダの風速は毎時35マイル(秒速約16メートル)と、それまでの 45マイルから減速した。石油関連企業は操業再開に向け準備を進め ている。

トラディション・エナジー(コネティカット州)のアナリスト兼 ブローカー、ジーン・マクギリアン氏は「金融市場がなお材料になっ ている。現在は経済指標主導で動いており、ドル相場とS&P500種 株価指数への注目度が高い状態が続くだろう」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 日比38セント(0.48%)安の1バレル=79.05ドルで終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は反落。欧州最大の銀行、英HSBCホールディン グスが好決算を発表したものの、11月の独景況感指数が予想以上に 悪化したことが相場に影を落とし、5日ぶりに下げた。

英銀2位のバークレイズは大幅安。7-9月(第3四半期)の同 行決算は前年同期比54%の減益となった。アイルランドの建材会社 CRHも安い。同社は通期の利益が前年比で最大55%減少するとの 見通しを示した。一方、HSBCは大幅高。同社は7-9月の税引き 前利益が前年同期を「大幅」に上回ったと発表した。

ダウ欧州600指数は前日比0.2%安の245.31で引けた。同指数 は3月9日に付けた今年の最安値からは55%上昇。政府の刺激策と 過去最低の政策金利がリセッション(景気後退)からの脱却を支援す るとの観測が背景となっている。

ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントのファンドマネジ ャー、アンドレア・ウィリアムス氏は、「市場の崩壊は考えられない が、さらなる乱高下は恐らくあるだろう」と述べた。

ドイツの欧州経済研究所センター(ZEW)による11月の独景 況感指数が発表されると、株式相場は上げ幅を縮小した。11月の期 待指数は51.1と、10月の56.0から低下。ブルームバーグ・ニュー スがまとめたエコノミスト39人の予想中央値は55.0だった

10日の西欧市場では、18カ国中フランスとルクセンブルクを除 く16カ国の主要株価指数が下落。ダウ・ユーロ50種指数は前日比

0.1%安、ダウ・欧州50種指数はほぼ変わらず。

バークレイズが安い

バークレイズは5.1%安。同社の7-9月決算は、純利益が前年 同期に比べ54%減少の10億8000万ポンドだった。さらに1-9月 の評価損が前年同期を「大幅に上回る」水準だったと明らかにした。

CRHは3.4%安。同社は人員削減費用などがかさみ、通期の税 引き前利益が7億3000万-7億6000万ユーロになるとの見通しを示 した。08年実績は16億3000万ユーロだった。さらに為替差損が利 益を押し下げると予想した。

HSBCは4%高。同社は7-9月に不良債権が減少した。また 09年1-9月利益は自社債務の評価額変動の影響を除いたベースで 08年実績を上回っていると発表した。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が上昇。10日に発表された11月 のドイツ景況感指数が予想以上の落ち込みとなったことを背景に、国 債需要が高まった。

独2年債利回りは1カ月余りで最低の水準となった。ドイツの欧 州経済研究所センター(ZEW)がこの日発表した11月の独景況感 指数は51.1と、前月の56.0から低下。エコノミスト予想は55.0だ った。オランダは同日、30億ユーロ規模の国債(表面利率2.5%、償 還2012年)を入札した。

BNPパリバのシニア債券ストラテジスト、パトリック・ジャッ ク氏(パリ在勤)は、「ZEWのデータは国債相場への支援要因だっ た。だが、一つの指標では大幅上昇のきっかけとはならない」と述べ た。

ロンドン時間午後4時22分現在、2年債利回りは前日比1ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.23%。一時は

1.22%まで下げた。同国債(表面利率1.25%、2011年9月償還)価 格は0.02ポイント上げ100.04。10年債利回りは3.27%と、前日か ら4bp低下した。

◎英国債市場

英国債市場では、10年債相場が上昇。英公債管理局(DMO) が10日実施した国債入札は順調だった。

10年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)低下の3.79%。2年債利回りは0.75%と、前日からほぼ変 わらずだった。

DMOによれば、2019年償還の国債(発行額37億5000万ポン ド)入札で、平均落札利回りは3.92%となった。応札倍率は1.96倍 と、7月の前回入札と同じだった。

UBSのストラテジスト、ミハイル・ボジノフ氏(ロンドン在 勤)は「応札はかなり旺盛だった」とし、「英国債が割安だった」こ とが要因かもしれないと語った。

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